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noteとAIについて│AIにはない「思考力」の身につけ方 今井むつみ
noteに触れるようになって、驚いたことの一つに「AIを活用している人の多さ」がある。
それは画像だったり、記事内での要約や引用だったり、記事そのものを「AIを活用して書いている」と自己紹介しているクリエイターも存在する。
明記していない人や、ひとまず叩き台としてAIに出力してもらう人も含めると、印象よりもずっと多くの方がAIを活用しているのだろう。
私はなんだか気が引けてしまい、これまで1度も使用したことがない。AIを活用して書かれた記事を見るたびに「実は、とんでもない浦島太郎状態になっているのでは」と危機感を覚えていた。
「AIにこんな風に指示すると、記事作成の助けになりますよ」という記事のスキが4桁を越えているのを発見したときは、いよいよ「人が1から自力で書く意味とは?!」と暗く深い思考の森に突入しそうになった。
そんなときに出会ったのが、この本だ。
10代の読者に向けて書かれた薄くて読みやすい一冊は、私の中の「記事作成における人間とAIの戦い」に、ひとまず終止符を打ってくれた。
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学校で急速に広がる生成AIの使用。
なぜ“ChatGPTにおまかせ”ではダメなのか?
カギは、人間がことばの学習で身につける「推論の力」が失われることにあった。すべての教育関係者・保護者必読の一冊。
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「思考力」というと、なんだか難しいことのように感じられるかもしれない。しかし、私たちは今この瞬間に文章を読みながら、思考力を駆使している。そしてその時に頭の中で働いているのは、「推論の力」だ。この力は人間だけにあり、AIにはないものだ。その違いと謎を解き明かしていく。
AIにはない「思考力」の身につけ方
著者:今井むつみ
出版社 : 筑摩書房 (2024/11/7)
発売日 : 2024/11/7
言語 : 日本語
単行本(ソフトカバー) : 128ページ
✒子どもの言語獲得時期、「生きた知識」の重要性、「9歳の壁」はなぜ起こるか、言語が使えるという意味、バイリンガルの子供が陥りやすい壁、ChatGPTに東大入試を解かせてみた、人間の記憶容量は1GB、AIの文章は縮小再生産、抽象的な概念を経験と繋げる重要性
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この本は、人間がどのように言語を獲得していくのか、から始まり、AIには及ばない範囲はどこかという話まで繋がっていく。
子供が何歳頃までにどのような考え方を習得するのか、といったあたりは、教育関係者や子を持つ親にも役に立つだろうし、ChatGPTに東大入試を解かせてどの科目が得意なのか実験する、という話も面白い。
ちなみに、東大入試実験の結果は理数系の科目が壊滅的に悪かった。日々ChatGPTの精度も上がっていくのだろうけれど、どうしてその様になったのか、AIに存在しない力は何か。という話も作中でわかりやすく語られ、理解を助けてくれている。
(少し話が逸れるが、暗記だけで入試を乗り切って大学数学が全くわからない男のマンガで「数学は暗記では無理。理解しなくては」と言っていたことが「本当なんだ!」と感じる結果で興味深かった)
さて、ここからは「記事作成を人間が行う意義」について私なりの結論を書きたい。
この本を読んでいて、思ったのだけれど。
…あれ?私が記事を書く時、AIに力を発揮させたい場所はあるのだろうか。
AIを使った文章作成はどちらかと言うと添削に近い感覚で、いま楽しんでいる「書くこと」とは離れてしまう気がする。
「…今は使わなくてもいいかな」そう思った。
少し歪だったり、熟れていない私だけの文章のクセが、AIを通せば全てスッキリした日本語になる。それもなんだか味気なく感じるし、少しずつ、気になったところを直していけたらいい。
ひとまず、そんな所に着地した。
著者は作中で何度も、AIに頼りっぱなしではなく、失敗から学ぶことや経験と紐づく「生きた知識」を増やすことの重要性を語っている。
noteを書くことは、きっと、そんな風に考えて積み上げていく訓練になるだろう。そう期待しながら、これからも書き続けていきたいと思う。
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