【#創作大賞2024】蒼に溶ける 第2章 ③ 母と娘
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結依の言葉が引き金になったかのように、沙和子の口から心の欠片がぽつぽつとこぼれ始める。
「恵まれてるっていうのはよく判ってるの。お父さんに言われるまでもなくね。だから逆に誰にも言えなかった。だって何をどう言ったって、自慢か嫌味にしか聞こえないもの」
結依は、さもおかしそうに笑った。
「お金に不自由してないから働かせてもらえません、夫は優しいです、何でも買ってくれます、どこにでも行かせてくれます、でもそれは私の望むものじゃなくて夫の望むもの