ゆく年、のみ
この年末年始は、我が家に両親がきてまして
今、パチンコ屋に送ってきました
自分の金を出してまで
球を転がして何が楽しいのか
サッパリ分かりませんが
働き詰めだった両親は
老後の時間をどうやって食いつぶすかで
ここに至ったようです
パチンコの後に、あんかけ焼きそばを食べたい
と、母が言ったのですが
この大みそかに街中華がやっているのか
という議論を、3人でしばし続け
分からないことを3人で話しても
仕方がないと
あきらめがつくまでに
5分程度必要でした
見事な時間の食いつぶし様です
そして
前述の通り先ほどパチンコ屋に
送っていったのですが
着いた先で
母が携帯電話を忘れたというのです
こりゃ
大変だ
連絡できないと
俺が駐車場で延々と待たないといけなくなる
じゃなければ、土地勘のない両親が
遭難してしまう
分かった分かった
俺が取りに戻るから、球転がしてて
ということで両親が
パチンコ屋に消えていったのを見届けると
山ちゃんは再び来た道を戻るのでした
家につくと
椅子の上に携帯電話が置いてありました
と
目線をあげたその先に
父の入れ歯
あの前歯1本で
あんかけ焼きそばを食べる気なのだろうか
と、恐ろしくなりました
母は携帯電話を忘れ
父は入れ歯を忘れた
この人たちは
どうやって
生きているのだろう
自信満々の父を思い浮かべて
不安に駆られました
まさか
入れ歯を忘れたことも気づかず
あんかけ焼きそばを食べ終えるのだろうか
見てみたい気もするけれど
それは息子として
殺人の次にやってはいけない行為
父の入れ歯をティッシュにくるんで
オーバーのポケットにねじ込んだのでした
もうこの歳になると
ゆく年、のみだな
不安だらけの日本の未来を
ポケットの中の入れ歯に投影しながら
パチンコ屋に戻る山ちゃんでした
だけど
こんな両親でも暮らしていける
日本の社会に
改めて、大感謝もしているのです
これが、新年一発目になるとは
山ちゃんもビックリぽん
明けまして、おめでとうございます