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【読書】スティーブン・キング/The Institute 異能機関


ずば抜けて知能指数の高いルークは実はほんの少し手の届かないものを動かすことができる超能力も持っていた。心優しい両親と共に平穏な日々を暮らす彼に突如訪れた過酷な運命。"IT"の子どもたちの活躍を彷彿させる、ワクワクドキドキ、悪との対決、これぞキング、と言える快作でした。


警官の話?

冒頭は新天地を求め流れていくティムの話から始まります。子供なんて出てこないじゃない?と思いながらも、この人結構いいキャラだなーと思い、染み込ませてからの本題への展開でした。いや、前振りちょい長いですって。(スタンドほどではないので全然OKですけど)

つぶつぶ

タイトルに写真アップしているので見ていただくと分かるのですが、下巻のカバーで電車に乗っている少年の前にキラキラひかる何かが描かれています。これがシュタージライトという、キングらしい意味不明だけどあるあるな表現なのですが、超能力を発揮する時に見えるものらしいです。

(翻訳者に感謝ですが)この辺りの描写が実に面白く、あー、キングっぽいなぁ〜と思うのです。この辺りは受け止め方を人に説明しても仕方がないと思うので、細かな表現や感想は他人に任せます。私はここが面白かった、とだけにしておきます。

The Institute

さて、ルーク同様、超能力を持った子どもたちはある種の研究所、タイトルでいうところの「The Institute」に連れて行かれます。

自分の寝ていた部屋とそっくりに再現された部屋で目を覚ますとドアを開けるとそこは似たような境遇の子供達が集められた謎の施設。食べ物や運動場はあっても外へは逃げられません。

そして時々謎の検査を受けさせられ、時には暴行まがいのきついことも。色々仲間と情報交換をしていると、今いるところはフロントハーフと言って最初に集められ、状態と整えてるまでの場所らしい。

TKとTP

ルークはものを動かすテレキネシス、TKポジティブだが、色々な薬や検査、水槽での潜水検査(溺れさせられそうになる過酷ないじめのようなトライアル)を経て、少しずつテレパシー、TPの能力も身につけ始めます。

ルーク以外の友達たちの中にすごくTPの強いエイヴァリーがいて、彼とルークは頭の中の会話を通して繋がっていきます。エイヴァリーが年下でとても可愛い存在なので、この絆が後半でとてもとても大事になってきます。

そしてある時、バックハーフに連れて行かれると、そこでは最初は同じような感じだがいずれおかしくなるのか、存在を感じなくなるらしい。

脱出・追跡・対決

このままではやばいと感じたルークは持ち前の高い知性を働かせ、観察を続けます。利用を許されたコンピュータも通常アクセスできないのですが、そこはうまく出し抜いて外部情報にアクセスします。

親たちは生きている、これが終われば記憶を消されてあなたたちは元通り親のものへ帰ることができると聞いていたけど実は家族は殺されていて、ルーク自身が殺害したかのような報道がなされているのにも驚きつつ受け入れて、今の状況から脱出する気持ちを強く持つようになります。

やがて色々なことがわかります。監視カメラは埃まみれ。長年誰も脱走なんてしようとしなかったのか、古い装置、おざなりな監視というのがわかってきます。

そして味方も作ることができました。お世話がかりのモーリーンは最初は情報をうまく機関側へ伝えるスパイのようなことをしていたが、借金の対応方法を教えたことでルークに身の危険も顧みず協力してくれます。

決死の覚悟で脱出するルーク、行き着く先で、上巻冒頭続いた元警官ティムの流れ着いたデュプリーに。二人の運命をここで交差します。そしてここから悪いおじさんおばさんたちがルーク取り戻しまたは殺害、証拠隠滅に一斉に押し寄せるのですが、アメリカ南部を舐めてもらっては困るんですね。

そしてラストは子どもたちを舐めんなよ、って終わり方です。

もうだいぶお話を書いてしまいましたが細かなところはこの続きはぜひ本を読んでください。

Netflixで放送されている全米で人気のストレンジャーシングスはキングへのオマージュがたっぷりと仕込まれているようですが、本書はその路線にピッタリハマるような作品です。

少年たちの活躍といえばITやスタンドバイミーが有名ですが本書もなかなかでした。そして子どもたちを助けるティムもかなりかっこよかったです。

おすすめ度:★★★★(敵が弱すぎたかもwww)

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