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『モンテ・クリスト伯』-その4 復讐するには秘密を探れ!&悪党らの家族も利用し復讐が始動する!-
(Spoiler Alert!ネタバレ注意!)
みなさん、こんにちは!
前回の記事の最後に、モンテ・クリスト伯の住居があるシャンゼリゼ大通りを紹介しました。
今回もまず、パリの舞台となっている場所をみてから、『モンテ・クリスト伯』をご紹介していきたいと思いますが、YouTubeでも解説していますので、あわせてご覧頂けると嬉しいです^^
まず、パリのエルデ通りとオートイユをご紹介したいと思います。
エルデ通り27番地は、軍人として名を成し(実は戦地での裏切りで今の地位についたという秘密がある)、今では伯爵となったフェルナンの邸宅がある場所として登場します。
エルデ通りは、オペラ座に近く、しかもオスマン大通りとイタリアン通りというパリでも有名な目抜き通りと繋がっているという、超便利な立地です。
(オペラ座周辺は、拙著「アルセーヌ・ルパンと歩くフランス」でも紹介しているので、ご興味ある方は是非ご一読くださいね)
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そして、オートイユのフォンテーヌ通り28番地は、ヴィルフォールを陥れるために、モンテ・クリスト伯が、別荘として買った邸宅がある場所。
ヴィルフォールは、昔、この邸宅の庭に赤ん坊を埋めたという秘密を持っている。
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因みに、オートイユは、パリ16区の南に位置し、アルセーヌ・ルパンシリーズにもしょっちゅう出ててくる地区なので、ルパンファンにとってはなじみのある場所です。
↓ではここから、物語をみていきます。
モンテ・クリスト伯が、悪党3人を破滅させるために取った方法とは・・?
それは、悪党3人の秘密を白日の下にさらすことでした。
3人ともそれなりの地位について、パリの社交界にも出入りしていますから、秘密(スキャンダル)が公になることは致命的でした。
モンテ・クリスト伯は、そこを狙ったんですね。
そして、悪党の当事者3人だけではなく、3人の家族をも利用して、復讐を開始します。
まず、フェルナンに関しては、息子をローマで助けて、息子からフェルナンに近づく作戦。
ダングラールに関しては銀行家なので、モンテ・クリスト伯が直接会うことに。
(モンテ・クリスト伯は、大金持ちなので、銀行に行くのはたやすい)
また同時に、彼の娘を利用する。
前科者の人間を、身分の高い者だと紹介し、娘婿として勧めたのだ。
結果、結婚寸前に、前科者だとバレて(モンテ・クリスト伯がそのようにしむけた)、社交界(パリの上流社会)で、ダングラールは大恥をかく。
しかも、娘はもともと結婚などしたくなかったため、この事件を機に、家出してしまう。
ダングラールは、最後、無一文になり、国外へ逃亡する。
ヴィルフォールに関しては、家に出入りしている従僕を利用して、ヴィルフォールが、昔、産まれたばかりの赤ん坊を生きたまま庭へ埋めた過去があることを突き止める。
そして、彼の現在の奥さんは2番目の妻で、先妻は死んでいたのだが、彼の家族が次々死ぬ事件が起こる。
そして、ついに、先妻との間にできた娘が毒殺される。
娘を殺したのは、なんと(現在の)妻だった。
自分の息子に遺産を残したいため、先妻に関係がある人物や遺産が渡りそうな人物に、日頃から少しずつ毒をもっていたのだ!
モンテクリスト伯の復讐って、完璧だと思いませんか?
復讐するには、その人の秘密を晒すこと、そして家族をも巻き込んで破滅に追い込む。
いつもながら、アレクサンドル・デュマは凄いですね。
次回は、いよいよ『モンテ・クリスト伯』の最終回です。
続く。