帰りの航空券は捨てておしまい!
「どうも。キャサリンです。」
「バンッ」と風が吹いた気がした。
強烈なオーラを身にまとう女。
日本人なんだけど、彼女の名前はキャサリンだ。それ以外にない。
わたしは、一瞬で彼女に夢中になってしまった。
「どうも、和歌子です。」
🛫🛫🛫🛫🛫🛫🛫🛫
明日、空港に向かうので、一泊だけイスタンブールの日本人宿に泊まる。
18時間しか滞在出来ない私を悔やんだ。いい宿だった。
私はサバサンドを買って食べた。
宿に帰るやいなやすぐにリビングルームに居座る。
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リビングルームには、ひまわりの種がおいてある。これをムキムキ食べながら過ごす。いつの間にかテーブルには、
キャサリン様とわたくし、数人の男たちが座っていた。男たちは、旅の武勇伝を披露して、楽しい宴だったのは記憶している。夜が深まると、キャサリン様が、語りはじめる。
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「あたしねぇ。日本では、SMクラブで働いていたのぉ。」私達は、女王のお言葉を拝聴した。どんな客が多いか、芸能人では、○○が常連だとか。
「わたしね。普通に街歩いてても、変態がよってくるのよ。いきなり、やってきてさぁ。しもべにしてくれ。とか言われる。」これには、大爆笑だった。ここにいる聴衆全てが、彼女に惹かれ、しもべになりたいと思っていたところだ。
キャサリンはバックパックをもち、服も旅人のそれだが、オーラが強すぎて、隠しきれない女王感があるのだ。女のわたしでも、キャサリンにならと思ってしまう。(帰りの航空券を捨てろと言われたら捨てます。)
「わたしがあった一番の変態はね。目フェチ。ホテルにいったんだけどさ、瞬きして。っていうの。パチパチしてって。だからパチパチして、もっと早くって言うから、パチパチパチパチパチって瞬きしたら、ウォーって向こうは、いっちゃうの。わたしの服が一切乱れてないっていうね。ホテルでやる意味ある?」
あっはっは。お腹が痛い。だーめだ。深夜を越えて、笑いのツボにズボズボはまる。寝てる人いるのに、こんなにリビングで爆笑ってしまって大丈夫だろうか。ひいている青年がいる。それがよりおかしい。
ひとりのしもべが言う。
「ひまわりの種ってさっ。この殻をむく分のカロリーしか入ってないんだね。一晩食い続けたのに腹が一杯になんねー。」
私は、キャサリンでお腹が一杯でしあわせであった。
朝方、大音量でコーランが鳴り響く、テーブルには山になったひまわりの殻。宴はそろそろお開きだ。
みんなそれぞれのベッドに帰る。キャサリンが私に囁く、「私、もっとドン引きのネタがあるの。」(この人は、本当に私に航空券を捨てさせるつもりか?)
「ううん。もうお腹いっぱい。今度あった時にとっておく。」
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4時間後には空港に向かわなければいけない。
帰りの航空券を捨てればよかったと今でも思う。
教訓、好きな場所が見つかったら沈没すべし、いい宿が永遠に存在するとは限らない。
赤 和歌子
とんでもないことでございます。