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私がもっと身に付けたい力
過去私が勤めていた園の、年少の話です。
子どもの机は、4人用でした。
Aくんと、Bくんは向かい合わせに座ります。
Aくんは、うまくいかなかったり、気に入らないことがあると、「きーっ」となりやすい子。
Bくんは、ぼーっとしていることが、多い子。
ある日の給食の時間、
Aくんが、「もう、Bくんなんか嫌いだー!」と突然パニックになり、怒り出しました。
「どうした?どうした?」と聞いても、大パニックで、話が聞ける状態ではありません。
Bくんも、キョトンとしてます。
トラブルが起こった様子もありません。
とりあえず、一旦落ち着きましたが、その後も食事中に、Aくんのパニックが再び起こります。
また、大きなトラブルがあった様子もなく、私には突然スイッチが入ったようにしか見えませんでした。
そして、また落ち着き、食事を食べ始めたとき、私は気付きました。
Bくんは、背が高く、椅子のサイズがBくんは小さかったのです。
Bくんは、足を伸ばすことで、無意識にバランスを取っていました。
しかし、それでも安定せず、そわそわ足が動いていました。
その足が、向かいに座るAくんに何度か当たり、Aくんは不快感を自分の知っている言葉の中で、訴えていたのです。
「あ~!気付けなくてごめんね!Aくん嫌だったんだね!でも、Bくんわざとじゃないの。先生が椅子間違えちゃってたみたい。ごめんね」と言って、急いで年長の部屋まで行き、年少クラスより大きい椅子を1脚借りてきました。
それでも、まだ数センチ足りず、ウレタンマットを座面に重ねると、足が床と直角になり、Aくんに足があたることもなくなり、Bくんも落ち着いて食事が取れました。
保護者に経緯を説明し、こういった椅子を使いたいとお伝えすると、快く承諾してくださり、Bくん用の椅子が出来ました。
また、Cちゃんは、とても小柄な女の子でした。年少クラスの椅子は足が届かず、いつも足がブラブラして、時には落ちそうになってしまうことも。
それを遊んでいると思い、真似して、おっとっと~と落ちるふりをして遊ぶ子も出てきました。お友だちと頭と頭がぶつかりそうになったり、机に頭をぶつけそうになったりと、とても危ない。
そこで、Cちゃんの足の下に、牛乳パックで作った土台を敷くと、Cちゃんは、安定して座れるように。真似をする子もいなくなりました。
Dくんは、座っている途中で、ズルズルと腰が前にいってしまい、いつも腰で座っていました。そのまま、椅子から滑り落ちてしまうこともあります。
「お尻を、ぎゅぎゅぎゅっと後ろまで下げてね」と言うと、下げれますが、時間が経つと、段々滑り落ちてきてしまいます。
そこで、滑り止めマットを、座布団代わりに椅子にしくと、姿勢を保つことが出来るようになりました。
身体を支える筋力がまだ足りなかったのです。
椅子を、足場を、数センチ上げた。
椅子をちょっとだけ滑りにくくした。
たったこれだけの、ちょっとした変化で、大きく困り感が減ることがあります。
発達途中である子どもたちには、その数センチが、とても大きな力を持ったりするのです。
いつでも子どもが、言葉ではないヒントをくれたりするものです。
保育者として、そのヒントを見る目をやしないたいと思うのです。
保育に関するテーマ、もう少し深掘りして欲しいテーマなどもありましたら、
コメントくださると、嬉しいです♬