フラワーデモ。「私たちは性暴力には屈しない」、毎月11日に女性たちの魂の叫び、全国へ。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
「フラワーデモ」とは、2019年3月、女性への性暴力事件について立て続けに無罪判決が出たことをきっかけに、性暴力の根絶や被害者との連帯を求めて活動するデモ行動です。
その後「フラワーデモ」は全国に広がり、各地で毎月11日を開催日として実施され、性暴力の根絶や被害者に寄り添う気持ちを訴え、4年目を迎えました。
「フラワーデモ」の参加者たちは、「性暴力は男女の別ではない 全ての人に対する問題」や、性被害を訴える「#Me Too」、連帯を示す「#With You」などと書かれたプラカードを手に持って、駅前に立ちました。
今回はこの「フラワーデモ」について、皆さんと一緒に考えたいと思います。
「フラワーデモ」の成り立ち
2022年6月11日に、名古屋で「フラワーデモ」開催
性暴力の根絶を掲げる「フラワーデモ」が2022年6月11日、愛知県名古屋市中区の久屋大通公園で開催されました。プラカードや花を手にした男女約30人が集合し、性暴力や性差別に対する気持ちを語り合いました。名古屋では2019年6月11日に初めて「フラワーデモ」が開催されました。
それから3年が経過したこの日は、津地裁と富山地裁で出た、2022年5月に性犯罪の無罪判決に対し、抗議の声が上げました。「フラワーデモ」の呼びかけ人で、作家の北原みのりさんは富山地裁判決に触れ、「本当に大きなショックを受けましたが、署名などの被害に遭われた女性への支援活動がすぐに実行されたことに、この3年間での変化を肌で感じました」と述べ、SNSで「#itisrape」(それはレイプだ)というハッシュタグを使って呼びかけ、抗議の声を上げる取り組みの重要性を掲げました。
その後女性たち「フラワーデモ」を事前に知った10人程度が応援に訪れ、「私たちは黙らない」「私たちはひとりじゃない」などと書かれたプラカードと花を持ち、街頭に立ちました。
SNSで開催を知り、「フラワーデモ」に参加したスクールカウンセラーの女性は「幼い頃からジェンダー平等に関して思慮し、きっかけを持つことが大切です。自分ができることは行いたいです」と話しました。
参照:性暴力にNO! 名古屋・久屋大通公園で「フラワーデモ」 朝日新聞デジタル(2022年)
「フラワーデモ」発起人の1人の女性の声
「女性が暮らす環境はどんどん悪くなって来ています。苦しさを感じても、声を上げられない女性はまだまだいます」。埼玉県さいたま市のJR浦和駅東口で毎月11日夜、性暴力根絶を訴える《フラワーデモ埼玉》の発起人の1人、女性Aさんはこう言いました。
女性Aさんが声を上げるのは性暴力に対してだけではありません。1970年、外資系企業に就職して以降、50歳になるまで「猛烈社員」として勤務し、シングルマザーとして娘の成長を見守りました。いつも肌で感じたのは「女性の人権のなさや生活環境が整っていないこと」でした。現在、気がかりなのは正規社員ではない、非正規で仕事をする女性の多さでした。「若い女性が使い捨てにされ、社会の歪さが増している。お子さんの貧困は、ご両親の貧困の問題でもある」と言いました。
2019年3月、東京都の青山で開催されたウイメンズパレードに女性Aさんは参加しました。その時、現在までに駅前に立ち続ける契機となった光景が目に留まりました。ウイメンズパレードが終了した後、それぞれ「波」「風」と書かれたTシャツを着用した若い女性2人がマイクを握って、「先輩たちのご苦労があって今の私たちはいます。今度は私たちは黙りません。波と風を起こします」と宣言しました。
「この女性2人の声に、過去の経験が断片的に思い起こされました」。1970年代から「男社会」でキャリアを重ねて来た中で、女性Aさん自身、上司のパワハラや取引先でのセクハラ被害を受けてきました。
「被害者は誰にも相談出来ず、1人で抱え込んでいます。失職したくないから。私は我慢を通したけど、その苦しさを思い起こせば、若い人に我慢しろとは、とても言えません」と、JR浦和駅での「フラワーデモ」で、有志たちと2019年12月から駅前に立ち続けています。
女性Aさんは「性暴力に対して、訴えてもいいんだよと言いたい。それでも訴えられない女性はまだ沢山います。その人たちに『私はここにいるから』と発信していきたい。残りの人生を賭けて、波風を起こそうと思っています」と述べました。
2022年の「フラワーデモ」は、
新型コロナウイルスの影響で街頭に立てない時はオンラインで開催しながら「フラワーデモ」を継続して来ました。埋もれてしまう被害者の声を多くの人に発信したいだけでなく、被害者の背中も押しています。
2022年11月11日、広島県広島市で行われ、幼い頃に実の父親から性的虐待を受けた女性が裁判で損害賠償を求めたところ、裁判所が女性の訴えを退けたことに対して反発の声を上げた「フラワーデモ」は、女性の代理人を務めた弁護士の女性Bさんが「女性は判決に打ちのめされましたが、彼女の想いは少しでも社会が変化していくことです。性暴力を受けたままで黙りはしないという機運は日々高まっています」と女性が控訴したことを報告すると、「フラワーデモ」の参加者からは賛同する拍手が送られていました。
主催者の1人の女性Cさんは、「性暴力の傷は何年たっても回復しません。女性の性暴力の重みを理解して欲しいと思います」と言いました。
また、2022年12月23日、沖縄県で行われ、女性や子ども達の権利擁護活動などに取り組んで来た、自身も性暴力の被害者でもある当事者田という女性Dさんは、「沖縄県中部では基地絡みの性暴力も起こっています。もちろん米軍関係に関係なく、子ども達までが性暴力を受けることもある。一緒に訴える居場所を作りたい」と語りました。
この様に「フラワーデモ」は少しずつカタチを変えながらも、全国に浸透していきました。カタチが少しずつ中身は変わっていても、根本的な「性暴力に屈しない」という理念は一定です。1人で声を上げづらくても、支えてくれる人がいる。そんな世の中に変わろうとしています。
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フラワーデモで性虐待判決に抗議 広島 NEWS WEB(2022年)
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