眠れない夜と雨の話
わたしの場合、夜に眠れないのは完全に自業自得である。これは夜型の悪循環である。そして眠れないのでこうして夜中にブルーライトを浴びる。そういう悪循環なのである。
それにしても今夜は雨がひどい。出窓に打ちつける雨音は角部屋を選んだことを唯一後悔させる。でも天気の良い朝、カーテンを開けて陽の光が入ると、こんなひねくれたわたしでも幸せな気持ちになる。反対に雨の日は機嫌が悪くなるのがわたしの悪いところである。
わたしの髪は湿気に弱く、定期的なaujuaのトリートメントをもってしても雨には容易に負けてしまう。ぼわっと広がるのだ。ほんとうにいやだ。家にいるだけなら問題はないが、大学やバイトに行かなきゃならないときがもう最悪だ。雨のたびに出先でアイロンでもしろというのか? 無理だろ。全然笑えない。
もう一つわたしの大きなストレスとなるのは、持ち物が濡れることである。日頃使うカバンや靴にはそれなりにこだわっていてものすごく愛着がある。靴なんて365日のうち360日は同じものを履いている。それらがほんの少しでも濡れるのが許せないのだ。これを避けたくて、霧雨にも満たないような雨でもわたしは絶対に傘をさしている。
さらに気圧が低いと頭痛がする。これはもう効く薬をみつけたので最近はどうということはないのだがあーまた来た、となる。そういうわけで、わたしに雨は向いていない。
こういった要素をはねのけるほどの威力を持つ何かというのはないが、唯一、傘にもこだわるわたしはお気に入りの傘をさすことが癒しとなる。5%くらい気が晴れる。少なすぎる。
だけど1年前にその傘がついに閉じなくなってしまい、いまは無理やりベルトで止めている。もう10年くらい前に東京の傘の専門店で購入したもので、もったほうかもしれない。一見ただの黒い傘なのだが、内側一面に星座が描かれていて一瞬で惹かれた。10年前にした一目惚れは今もまだ続いていて、閉じなくなった今も、どうしても捨てられないのだ。
そういえば、雨の日に出かけるのも悪くないなと思っていた時期があった。時期というのは正確には語弊があり、瞬間くらいのものである。
日向理恵子さんの「雨ふる本屋」(童心社)という本をご存知だろうか。
児童文学にあたると思っているが、この年で読んでもかわいくて愛おしくて雨の日に図書館に行きたくなったりするような本である。
読後はあたたかいとかほっこりではなくて、冷たくて気持ちいい、に近いような気持ちになる。なにを言いたいんだこの感想。当然、本自体が冷たい内容なわけではない。児童文学だから。読み終わると案の定というべきか、雨の中散歩に出かけたくなる。ミッドナイト・イン・パリかよ。
ちなみにこの本はジャケ買いである。買ったのは中学生の時だったかなぁ。文庫本しか揃えないわたしだけど、この本だけは単行本として置いておきたくてずっと大事にしている。家の中に図書室を作ることができたら、一番上の棚においてあげたい、愛おしい本なのである。