あかさかりほ

とある25歳の読書のきろく。 写真とごはんと俳句が好き。 地震と「大きいものが町を壊す」系の映画が苦手。

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  • すごい本

    読んだ本の中から、これはすごいぞと思うものや、みなさんにも是非お届けしたいものを選んでみました。

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自己紹介させてください

はじめまして。noteはじめました。 こんな凡庸なわたしの、凡庸な記録をみつけてくださり、ありがとうございます。せっかくなので、少しだけ自己紹介をさせてください。 首都圏で暮らしている25歳の会社員です。 とある出版社でお仕事をしています。 出版社のお仕事といえば広くイメージされるのは編集職だと思うのですが、わたしがしているのは物流管理のお仕事です。出荷センターで100人のお局様を操りながら、段ボールをえっさほいさ運んだり、段ボールにガシガシ商品を詰めたりして、全国の

    • #8-01 『旅のラゴス』を読んだはなし

      8月になりました。 先日の記事で、「次はこれを読みます」と宣言した『旅のラゴス』を読み終えました。 制限されるようになってから、めっきり外出が減りましたが、いつまで経っても旅に出られる目処は立たない今日この頃。 主人公の波瀾万丈な旅路のなかでの、さまざまな街での出来事が淡々と語られていく本書ですが、見たことも聞いたことも無いような、そこでの「当たり前」と出会う様は、わたしたちの生きる現実世界の有り様と同じです。 まだ知らない何かを求めて、わたしも旅に出ました。 2年

      • #7-11 わたしのあし 『にげてさがして』

        間違いなく、わたしが今読むべき1冊でした。 あまりに心を揺さぶられて、包み込まれて、許されて、思わず涙しました。 どうしようもない悲しみや、苦しさが迫っていると気付いていても、どうしても立ち向かおうとしてしまいます。立ち向かえと言われて、正しいと信じて、育ってきた気がします。 世の中にいろいろな人がいる以上、すべての人と仲良く楽しく生きていくなんてことは理想論だと知っていながら、いつもどこかで期待してしまう。期待したせいで裏切られた気持ちになる。わがままな自分がいます。

        • #7-10 となりの芝生 『あの子は貴族』

          図書館で予約して、ずっと待っていた1冊。ことし80冊目になりました。 わたし自身は、両親の生まれの地である、とある田舎で育ち、大学入学を機に上京しました。 大都会の空の狭さに驚き、電車に生まれて初めて乗り、一気に大人の階段を駆け上がった気がしたあの春。何も知らず、何も持たず、ただ一人。人ごみの中にある自分に、言いようのない心細さを感じました。 「生まれた時からここで生きているというのは、どういう気持ちなんだろう」と何度も考えましたが、結局今も想像はできません。 一方で

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          #7-09 きれいなしあわせ 『こころ』

          高校の国語の教科書で読んで以来です。 忘れてしまっていた細部を思い出しながらページを繰りました。 ああ、こんなだったなと振り返りながら読むページもありながら、初めて読むかのような瑞々しい驚きや感嘆を連れてきてくれる文章に、改めて敬意を表します。本当にすごい。 朽ちない輝きが確かにありました。 100年以上前に書かれたはずの物語を、いまわたしが違和感なく受け入れられることの幸せを、当たり前とは思わずに、ずっと享受していたいです。 この物語を自費出版として漱石が出版したの

          #7-09 きれいなしあわせ 『こころ』

          #7-08 本は希望の光 『アウシュヴィッツの図書係』

          とても久しぶりにノンフィクションに手を出してみました。ことし79冊目です。 以前から気になっていた一冊と、たまたま図書館で顔を合わせたので、迷わず連れて帰ってきました。 実を言うと、読み終えるまで、巧妙に史実を混ぜて作られたフィクションだと思っていたのですが、解説を読んで愕きました。 よく考えれば、史実でなければ有り得ないほど詳細で筋の通った話ばかりだったのですが、わたし自身がまだホロコーストを本当に起きたこととして受け止められていないことが浮き彫りになったような気がし

          #7-08 本は希望の光 『アウシュヴィッツの図書係』

          『竜とそばかすの姫』を観たはなし②

          一つ前の記事から続けて読んでくださっている方、ありがとうございます。 そうでない方、はじめまして。久しぶりに映画を観たので、忘れてしまわないうちに記録しておこうという、シンプルかつ自己中心的な記事です。いっぱいネタバレすると思うので、嫌な方はやめてください。むしろ、ここまでありがとうございます。 ①では、主人公とその周りの人たちとの関係について思うところを書いたので、②では映画を構成する設定や効果のことに触れてみようと思います。 Uの世界これまでもインターネットを舞台に

          『竜とそばかすの姫』を観たはなし②

          『竜とそばかすの姫』を観たはなし①

          普段そんなに映画を見る人間ではないのですが、アニメがとても好きなのに任せ、細田監督の最新作を観に映画館へ行ってきました。 感動や感傷の色が薄れてしまう前に、徒然なるままに記録しておきます。忘れたくないことがたくさんあるので、2回に分けて書かせてください。 すっごいネタバレすると思うので、嫌な人はもうここで辞めてください。むしろ、平凡なわたしの話をここまで読んでくださってありがとうございます。 先に個人的な感想を申し上げると、とっっっても好きな映画でした。 すずとお母さ

          『竜とそばかすの姫』を観たはなし①

          #7-06.07 いのちの畳み方 『人間失格』『平成くん、さようなら』

          終活、エンディングノート、生前葬 死をあたりまえのようにして生きる。 一昔前よりもごく自然なこととして受け入れられるようになってきました。 みなさんも、自分のいのちの、おしまいの1ページを想像したことがありますか?すでに定まった情景を持たれているかたもいらっしゃるのかもしれません。 5年前、わたしにも、いのちの畳み方について、否が応でも考えさせられる出来事がありました。 2017年1月お正月を地元で過ごし、親戚一同集まってるお酒を飲んだり、こたつで新春番組談義をした

          #7-06.07 いのちの畳み方 『人間失格』『平成くん、さようなら』

          #7-05 ゴーギャンとストリックランド 『月と六ペンス』

          7月の5冊目になりました。 原田マハさんのアート小説 先日、noteをはじめるまえに、原田マハさんの『リボルバー』を読了しました。その前の『たゆたえども沈まず』からの流れで、一気に引き込まれました。 原田マハさんのアート系の小説がほんとうに好きです。 もともとそれほど美術に興味は無かったのですが、読み進めるうちに不思議と惹きつけられてしまい、これまでの人生にも多分に影響を受けました。(そのことはまた今度書きます!) 先にお話しした2冊は、ゴッホとゴーギャン、ゴッホの弟

          #7-05 ゴーギャンとストリックランド 『月と六ペンス』

          わたしのワクチンレポート

          ワクチン不足が叫ばれているなか、先日、運良く職域接種をしてもらえて、1回目の接種を終えました。 みなさんの身近にもワクチンは届いているでしょうか。 世の中にはワクチンに賛否両論あるようですが、わたしは即決しました。 地元で祖母が入院しており、外部との接触を断つために、もう2年ほど会えていません。病気もあるし、高齢だし、いつまで元気でいてくれるかわからない中で、面会の許可が出る可能性を1%でも高くしておきたいと思ったことが大きいです。 正直、打ちたい人はチャンスがあれば

          わたしのワクチンレポート

          #7-04 明日は明日の風が吹く 『風と共に去りぬ』

          岩波文庫の全6巻をやっと読み終わりました。 5月から毎回図書館で一冊ずつ借りて、少しずつ読み進めました。思いのほか時間がかかってしまったのですが、いま思い返せば、とても大切な時間でしたので、忘れないうちに思うところを記録しておきます。 アメリカの歴史と文化 本書の背景には南北戦争期のアメリカが複雑に絡んでおり、全てを理解しきれているなんて、恥ずかしくて絶対に言えません。注釈の内容も難しく、いつも傍らにスマホを置いて読み進めました。 それでも、大学2年の必修で『アメリカ文

          #7-04 明日は明日の風が吹く 『風と共に去りぬ』

          #7-02.03 ゆたんぽ 『大家さんと僕』『クマのプーさんの知恵』

          7月の2冊目・3冊目です。 この1週間、仕事の繁忙期を迎えていて、残業が続き、帰宅してからは何もできずに布団に倒れ込んでしまっていました。意気込んで始めたはずのnoteにもあまり時間を取れずに過ごしてしまいました。 自分がじりじりと限界に近づいていることもわかっているし、何も生み出さず、何も変わらない自分にも苛立つし…労働者としてのジレンマに、どうしようもなく殺伐とした1週間でした。がちがちに固まってしまったこころを温め直そうと思い、図書館で借りてきた2冊を手に取りました

          #7-02.03 ゆたんぽ 『大家さんと僕』『クマのプーさんの知恵』

          とうもろこし

          とうもろこしを綺麗に食べるのが得意だ。 半時計周りに1列ずつ崩していくスタイルを幼稚園児だったころから貫いている。 屋台で食べる焼きとうもろこしが美味しいことは言うまでもない。「できたよ」の掛け声とともに夏の夜のリビングでほじくる茹でとうもろこしも、また格別である。一人暮らしで迎えた初めての夏だった去年は、とうもろこしご飯の魅力に取り憑かれ、夜な夜なとうもろこしを茹でたものだった。 一年に一度、お祭りの日の特別な夜に出会うはずだったとうもろこしは、ここ近年、私の日常に限り

          とうもろこし

          #7-01 すきなものはすき 『正欲』

          7月の1冊めで、ことし61冊め 間違いなくわたしの人生という航路に波を立てる、物凄い1冊に出会いました。 今、この本の感想としてここにどんなことを書いても、ましてや人に話したとしても、この社会において、わたしが無自覚に、少なくともマジョリティに属していると思っている人間である限り、何もかもが無意味に思われてしまいます。 読む前と同じ自分ではいられなくなる点で、あまりに衝撃的な1冊でした。 いま、たしかにいえることは、この3つです。 -自分が「しっている」と思う世界や

          #7-01 すきなものはすき 『正欲』