それからは、旅に出ることばかり考えて暮らした。(場所はいつも旅先だった/松浦弥太郎)
突然だけど、スタバにいます。
傍らには、キャラメルマキアートのショートサイズ。コーヒーは苦手だけど、甘いのなら飲めるから。(甘すぎても、だめなんだけどね。)外はだいぶ冷え込んでいたので、温かいのにした。
「外、寒いですか?」
店員のお姉さんに、そんなことを訊かれた。
「あ、はい」
「じゃあ、これで温まって下さいね」
お気遣い、どうもありがとう。
僕にとってスタバに行くことは、ちょっとした旅だ。自宅から徒歩10分もない、身近な旅。旅といったら、ここはキクチリョウタだろうと思って、同氏の「Blue」を聴いている。
キクチリョウタ(ばずぱんだ) 「Blue」ダイジェスト(You Tubeより)
僕は、観光はあんまり好きじゃない。
ちゃんとした予定を立てて、あれをしなきゃ、これをしなきゃ……。そんな忙しなさに、すぐに追いつけなくなってしまうから。(何せ、僕はすっごくとろくさいからね。)
旅は好き。僕は、しょっちゅう旅をしている。
といっても、何も遠出をしているわけじゃない。近所のスタバに行ったり、地元のゲストハウスに顔を出したり、まあ、そんなことをしている。しようと思えばすぐにできることを、僕はしている。
……そんなの、旅じゃないって? あはは。まあ、そうかもね。そりゃ、僕だって(ごくたまに、だけど)1人でふらりと遠出をすることもあるよ。でも、そこが遠い場所であれ、近い場所であれ、僕のやることって変わらないんだ。
ただひたすらに、街(町)を歩くこと。たまたま見つけたカフェに入ってみること。同じくたまたま見つけた本屋で、宝探しをすること……。
ほら、どこでもできることでしょ?
でもそれって、どこでもできるわけじゃないってことでもあるんだ。だって、その場所にしかないものがあるから。その場所にしかいない、人がいるから。だから、僕は旅をしている。こうして、かたかたとPCを打っている今も、旅の途中。僕は、旅の軌跡を残しているんだ。
旅とは物理的なものではなく、あくまで精神的なものである。家にいようと、近所にいようと、ちょっとした工夫や心の持ちようで、自分だけの有意義な旅を作ることができる。
――松浦弥太郎『場所はいつも旅先だった』p230より
「Blue」が1曲目に戻った。ぬるくなってしまったキャラメルマキアートも飲みほした。そろそろ、出ようかな。
さて、この後はどこに行こうかな。もう少しだけ、歩きたいな。……海。海、見に行きたいな。そんなに遠くないし、行ってみるか。僕はまだ、旅の途中。
場所はいつも旅先だった/松浦弥太郎(2011年)
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