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実は、内向的な人間です|内向的っていったいなんだ|読書メモ


「実は、内向的な人間です」
ナム・インスク


アジア圏で愛されるベストセラー作家が贈る、共感と励ましのエッセイ集。


こんなあなたへ
・大勢の集まりは疲れる。一対一の約束が好き。
・人との約束がキャンセルになると嬉しい。だけど会ったら会ったで楽しく過ごせる。
・外向性が求められる場面では、自分の中の社会性スイッチを押す。

本書帯より



帯にあるこれらのキーワードを目にし、共感をおぼえ、内向型に自覚ありのわたしがこの本を読んでみた。自覚ありと言ってはみたものの、これまでの人生、けっこう曖昧な感覚で掴んでいたことに今さらながら気づいたという。せっかくなので「具体的にどんなこと?」とか、似たようなものとして「人見知りも自覚ありだがどうなんだろう?」ということについても、立ち止まって考えてみた。

結論からいうと、わたしはおおむね内向型人間のようだった。共感できない部分もあるにせよ、大方そうかもしれないと。ただ、人間が十人十色である様に、性格もまた広大なスペクトラムを持つので、そう単純でもないが。


*



この本には、「内向的な人とは、『自分を表現できるかできないか』ではなく、物理的、感情的に敏感な人のことを言う」という定義のもと、様々なエピソードが書かれている。(内向的の定義なんて、きっとほとんどの人が曖昧な感覚で生きてるよね)

みなさんは、言葉だけを目にした耳にした場合、どんなイメージを持つだろう。

わたしの中でパッと思い浮かぶものに、内向的=おとなしいとか、外向的=インサイダーのようなものがある。でもそれは、あくまでもそれぞれが作り上げたイメージであって(中でも子どもの頃の体験って影響力大きい気がする)、正確にはもっと細かくもっと複雑に絡み合ってたりするようだ。

確かに、ふだん、内面のゆらぎを観察していると、内向的な面を単純に理解できないとか語れないことが多く存在するのを実感する。それは、自分の中にある多様性と向き合う瞬間でもある。

そう、ほんとうは、自己表現できるからって外向的とか、反対にできないからって内向的とは軽薄に言えるものではなく。その具体的なところを、ごくごく身近なシーンにおいて、人間味あふれる心理描写を用い分かりやすく書いてあるのが本書なのだ。

ある章に、「外向的な人がうらやましい」というフレーズがあったが、これはまさに小学生の自分が感じたことそのものだった。そして、その時から"じぶん外向化作戦"は密かに実行されてきた(笑)

つまり、内向的な面をコンプレックスとして扱い、だから、変えたい、変えると決断したということ(「このままでは損する・・・」という動機はさておき、どうやら自己啓発に当たるようなことを始めていたらしい)。それはそれでよかったと心から思いつつも、あの頃より幾分か成熟したであろう今の自分は、別の面がすんなり受け止められるようになっていた。

『内向的な人が噛みしめる幸せは、より深く、より濃い。内向的か外向的かは優劣とは関係ないことを理解し、自分とちゃんと向き合うことが、幸せにつながるはず』

本文より


分かる。そして、これに頷けるなんて、わたしも成長したなあ(笑)小学生から今までずっとやり続けてきた"じぶん外向化作戦"は、また新たな節目を迎える時が来たのかもしれない。



*



結局のところ、内向的と外向的という2面だけで、人間を型にはめることなんてできないが、ある重要な側面であるのは確かだ。なぜならば、このことが日常生活に影響を及ぼす場面は無数にあるから。

だからこそ、この本のようにうやむやにしたくないことには向き合い、ああでもないこうでもないと格闘する。そうすることで、きっと肯定でき、味方にさえつけることができるのではないか。可能性にフォーカスできるのではないか。どんな性質でも、よーく考えれば、ただそれだけに過ぎないのだから。

随所に人間味ある表現が散りばめられていて、思わずクスッとなりながらも、「この面倒な感じ、まさに」と味わいながら読んだ。そう、これが人間らしさなんだよ。

それらもひっくるめて面白いなあ、好きだなあと思える不思議。もしかしたら、ここに着地できたことが、一番の収穫かもしれない。だから、人と接することが好きだったり、人材育成を生業としているのかも。この内向的なわたしでも。

内向的っていったいなんだ。これはわたしが冒頭に投げかけた一つの問い。ただ、こうしてつらつらと書き出してみると、本に書かれた正体めいたものより、その問いと向き合うプロセスにこそわたしなりの答えがあったと言えるのではないか。少なくとも理解が進んだことは確かだ。

そういう意味では、内向的に自覚ありの方にオススメの一冊だと思う。

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