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日本語の歴史

書を再開したころからずっと気になっているのが、「日本語の起源」についてです。
南方伝来説、大陸伝来説、タミル語起源説など色々あるけれど、起源は特定されていません。
フランスに留学し、通訳や翻訳などを通して、長年外国人と仕事をしてきたので、日本語のもつ訳しにくさ、特異性を感じてきました。
主語があいまいで、擬態音やオノマトペが多く、助詞の使い方がむずかしい。
この日本語独特の表現はどこからきているのか?

昨年、東洋文庫ミュージアムで開催された「日本語の歴史展」。
ここでも、日本語の起源については、未だわかっていない、という結論でした。
書き言葉として、漢字表記されるようになったのは5世紀ごろ。
それまでは、話し言葉だけだった日本語。
インド・ヨーロッパ語族とも、シナ・チベット語族、アルタイ語族とも違う。アイヌ語とは語系が異なり、琉球や奄美の言葉とは同じ系統と考えられている。
8世紀ごろ、漢字を音として表現し始めた万葉仮名が使われ、くずし書きから9~10世紀平安時代にひらがな・カタカナが生まれる。
サンスクリット語から梵字、アルファベットからローマ字など、他言語の様式を取り入れて、日本語は現在も発展している。

日本語の歴史展より


昨年、阿字観でうかがった真言宗智山派真福寺で見せていただいた、空海大辞林。
8世紀初頭を生きた空海。彼の筆致の中で、すでに漢字の「和」から「わ」への変遷がうかがえることに感動しました。

空海大辞林

漢字が入ってくる以前、日本語の音はどのように誕生し、確立したのか?
大陸から、海からやってきた人たちの影響を受けて生まれた説、もともと日本列島にいた人々から発生した説、があるがまだわかっていません。

あいうえおに始まり、子音と母音が組み合わされた50音。
その起源について考えるとき、角田忠信著『日本人の脳』(1978)の、母音言語という日本語の特徴と、何か関わりがあるのではないかと思う。
東京医科歯科大学の難聴治療医師であった角田氏。
戦争や病気で難聴になった人々を治療する中、正常な人のコミュニケーションもよくわかっていないことから、アメリカの大学で研究する内に、脳の機能に文化的違いがあることに気づく。
本来、人間は左脳で言語的処理をし、右脳で非言語活動をしている。
しかし、日本語の母音の音韻構造から、日本人の脳は自然音や感情音を左脳で感知し情動としてとらえ、「虫の声」に美しさや儚さを感じたりする。
西洋言語や他アジア言語を使う人は、「虫の声」や「雨音」を騒音や雑音ととらえるという。
インド・ヨーロッパ語やアルタイ語は子音言語。この母音言語は、日本語とポリネシア諸語といわれています。
日本語の音は、南のほうからやってきて、日本列島の中でことばとなり、漢字と結びついていったのかもしれません。


オンライン書サロンは、書だけでなく、ことばについて、外国語や非言語についてなど、色々興味ある方と交流していきたいと思っています。
【蘭泉オンライン書サロン】


日本語の特殊さを漫画を通して説明されてる養老先生の動画がありました😍

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