甲骨文字とアート
今から120年ほど前、中国河南省にある殷(商)時代(紀元前1700年~1000年頃)の遺跡から出土した甲骨片が、骨董屋に持ち込まれました。
以前から古い亀の甲羅や牛の骨は、貴重な漢方薬として薬屋で売買されていたそう。薬として買った骨の中に、文字が刻まれていることが発見され、これまで伝承とされていた漢字の原型としての研究が始まったとされています。
約3500年前の殷(商)王朝では、亀の甲羅や牛の骨に祈りや願いを記し、熱して生じたひび割れから、豊作や政策の吉兆を占っていました。
象形文字として、人体・祭祀・自然・道具・衣服・動物、数字など、現在も使われている漢字約2000文字と一致することが解読されています。
甲骨文字には、ト占や祭祀にまつわる文字が多く、「光」は火を頭に掲げた人(シャーマン)の形、「美」は頭に羽飾りをつけた巫女の姿、「雲」は雨雲の中にいる竜が尾を巻いている形など、古代の人々の信仰や風習を知ることができます。
現在世界の7割以上の人々は、表音文字を使用しており、表意文字として残っているのは漢字を使用している言語だけです。
表意文字は3000年以上、最初に文字が生まれた時の形と意味を、国の興亡や他民族の征服、支配をこえて、現在まで受け継がれ発展してきました。
中国大陸から日本にやってきた漢字は、日本語の音と意味と結びつき、やまと言葉に訓読みされ、ひらがなが生まれました。
古代の人々が、天と地、人と神との結びつきや、当時の共通の概念を形にして表現した文字は、今の私たちにとっても、民族や国や言語を超えて、深く伝わるものがあると感じます。
私が甲骨文字を学んでいる、古代文字アーティスト集団天遊組では、3月18日から、京表具師の方々と古代文字アートのコラボレーション作品の展覧会が開催されます。
甲骨文字に興味ある方は、展覧会にお越しいただければ嬉しいです。
書道やお習字では、漢字を楷書・行書・草書などで美しく書くことを目指します。私は、お手本に忠実に書くことが苦手で、仮名文字へ進みましたが、甲骨文字と出会い、改めて王義之や顔真卿の漢字を臨書する楽しさを知りました。
甲骨文字から漢字に宿っている意味を学び、楽しく筆で表現してみたい方。
筆を持ったのは学校の書道の時間だけ、お習字は通っていたけどやめてから筆は持っていないけれど、久しぶりに書いてみたいという方に、書アートコースをおすすめしています。
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