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無師直感流哲学が特定の思想に固執しない理由

 このnoteが掲げている #AI倫理 は近年、特に注目を集めている分野です。AI倫理、医療倫理、生命倫理、ビジネス倫理、環境倫理など、これらはすべて #応用倫理 の枠組みの中で特化されています。

 応用倫理学者は、理論的考察だけでなく、現実の社会的、政治的、技術的文脈における倫理的問題に直接取り組む必要があります。この過程で、 #哲学 的理論を具体的な状況に適用する柔軟性が不可欠です。彼らは、哲学者だけでなく、科学者、技術者、政策立案者、一般市民など、様々な専門分野の人々と対話し、協働します。異なる視点や価値観を理解し統合する能力は、応用倫理学において特に重要です。

 そのため、私のAI倫理に対するアプローチでは、特定の哲学的枠組みに縛られず、AIの普及によって生じ得る様々な問題を解決するために、あらゆる哲学要素を活用します。つまり、応用倫理学者にとって #哲学は単なる思考ツール に過ぎません。

 しかし、 #倫理学 は哲学の重要なテーマでありながら、日本の哲学者の多くが応用倫理に苦手意識を持っているという印象があります。

 AIやコンピュータ科学の進歩においても、哲学は欠かせないツールです。AIの父と呼ばれる #アラン・チューリング が数学者、計算機科学者だけでなく哲学者でもあったことは、この事実を明確にしています。数学や哲学のような抽象的な概念を扱う分野では、世界的に見ても、数学者でありながら哲学者であるケースが非常に多いです。

 しかし、日本ではなぜか数学が苦手な哲学者や、哲学が苦手な数学者が多く見られます。これは、日本独特の文系と理系を分けて考える学習方針や、社会構造に起因すると言えるでしょう。

 日本国内では、哲学が抽象的で実用性に乏しいと見なされがちです。しかし、哲学は現代のテクノロジー、特にAIや情報社会の発展には欠かせない基盤を提供しています。以下に、哲学がAIや情報社会の存在と発展に不可欠である理由を説明します。

哲学的思考と論理学:哲学は #論理学 の発展に深く関わっており、論理学はプログラミング言語やアルゴリズム設計の基礎を形成します。論理的思考や批判的思考は、コンピュータサイエンスとAIの問題解決において中心的な役割を果たしており、これらの能力は哲学的訓練を通じて磨かれます。

倫理学とAI:AIの開発と適用において、倫理的問題は避けて通れません。自動運転車が事故を避けるためにどのような決定をすべきか、AIが個人のプライバシーをどのように扱うべきかといった問題は、すべて倫理的な議論を必要とします。哲学の一分野である倫理学は、これらの問題に対するガイドラインと原則を提供します。

知識論と情報社会:知識論は、知識の性質、起源、範囲、そして獲得方法についての研究です。情報社会におけるデータの役割を理解するためには、情報がどのように知識に変わるのか、そしてその知識がどのようにして私たちの認識や行動に影響を与えるのかを理解する必要があります。哲学は、このような情報の価値と意味を探求することによって、情報社会の基盤を築きます。

人工知能の意識と存在:AIが『意識』を持つことができるのか、また、『意識』を持つAIを作るべきかどうかという問題は、深い哲学的な問いに触れます。これらの問題は、人間とAIの関係、AIの権利、そしてAIが社会に与える影響を考える上で重要です。これらの問題に対処するためには、哲学的な探求が必要です。

結論:哲学は、AIや情報社会といった現代の技術が直面する根本的な問題に対する深い理解を提供します。哲学的な探求がなければ、これらの技術の倫理的、論理的、そして存在論的な基盤は不安定なものとなり、その結果、これらの技術の発展と適用は非常に限定的なものとなるでしょう。哲学は、テクノロジーが人類の福祉に貢献するために必要な、より深い洞察とガイダンスを提供します。

#武智倫太郎

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