あいち | ほのぼのエッセイ
わたしの1番の宝もの。家族について綴ったエッセイです。不定期更新。
好きなもの、考えてること、思い出。 隙間時間で書きとめた、35歳を生きた証の日記。
好きなもの、考えてること、思い出。 隙間時間で書きとめた、36歳を生きた証の日記。
今週、結婚する。 結婚生活は、自分が想像していないような大変なことがたくさんあるらしい。お互いを疎ましく感じたり、価値感の違いに悩んだり、思いもよらない事件がおこったりするという。 思いもよらない事件には勃発したときに向き合うしかなさそうだけど(何が起こるんだろう、おそろしい)、先人の知恵に学べば、心の準備くらいはできるかもしれない。 そう思って、わたしと婚約者は何冊かの本を買った。 どれも夫婦ができるだけ穏やかに暮らすコツを書いた本だ。 その中の一冊「夫のトリセツ
7月22日。 メンタルクリニックでの診察の日。 私が話し終わった後に、長い長い沈黙があった。 主治医が何かを考え込みながらカルテを遡って確認して、じっと次の言葉を待っている私に向かって「セルトラリン(抗うつ薬)をどうしようかなぁと思って」と言った。 2年前にこのメンタルクリニックに通い始めて以来、色々な薬を飲んできた。 ここ最近は、朝にADHDの治療薬を1種類、夜は別のADHD治療薬を1種類とセルトラリンを飲んでいた。 心身ともに調子がよくて、何日も気持ちが落ち込んだり、不
これが今年10本目のnoteらしい。 noteは好きだから書いている。何も目的がない。 ただ、好きだから書いている。 書くことが好きだ。 文章を書いている時は、頭の中が静かになる。 社会と距離を置いていた休職中の2月のある日、自宅から駅に向かって歩いている途中に、突然「私は、自分の人生を通じて、自分が考える"美"を表現するために生まれてきたんだ」と思った。 生まれてきたこと自体に意味なんてない。だから意味づけなんて馬鹿馬鹿しい。だけどなぜかすごくしっくりきて、その日にこう
朝起きたら、まずもちもちの泡で洗顔する。 使うのは、濃密な泡が出てくるロクシタンの洗顔フォーム。 肌に乗せるとお花のいい香りが広がって、ちょっとだけスーッとする。 その後、パックをする。 サボリーノの朝マスクが大好きだ。 フルーツやハーブの爽やかな香りと、メンソールの清涼感。 これで完全に目が覚める。 フランスの哲学者アランは「上機嫌は意思によるもの、不機嫌は気分によるもの」と言った。 私は朝のスキンケアで、自分のご機嫌スイッチを押す。 お気に入りの洗顔フォームとパックは
noteのネタはたくさんあるけど、思い入れのある題材であればあるほど、なかなか文章にできない。 でも今日は意を決して、今わたしが夢中になって応援している、ジェイク・リー選手というプロレスラーについて書きたいと思う。 彼を知ったのは、たまたま行った日本武道館。 誰か分からずポカンとする私をよそに、周囲の観客から熱狂的な声援を集めていた。その光景が忘れられなくて、家に帰ってすぐに過去の試合やインタビューの動画を探して視聴した。 なるほど、強くてかっこよく、語る言葉は知的で上品。
今から1年半前のこと、絵の具を使って絵を描くワークショップに参加した。お題は「自分がやりたいことをしている瞬間」みたいな感じだったと思う。 わたしは、夜の湖を描いた。 木に囲まれていて、夜空に星が輝いていて、畔にたくさんの花が咲いている、静かな湖。 自分でお金を稼げるようになった高校生の時から、わたしの頭の中はずっと忙しい。常に何かしらの考えが頭を占めていて、浮かんでは消え、浮かんでは消える。 人生がやりたいことで溢れている。終わりのないTO DOリストと、メモと予定で埋め
プロレスが好きで、しょっちゅう観に行く。 しょっちゅう観に行くと、友達がたくさんできる。 その友達のみなさんから、観戦の度にお菓子をいただく。 こういう、友達同士でお菓子を配る文化のことを、とても面倒くさいと思っていた。 幸か不幸か、これまで職場にも友人関係でもそのような習慣がなかった。 お菓子は大好きだ。もちろん全部食べる。 だけど、相手にそんなつもりがなかったとしても、受け取ればお返しをしなければいけないような気持ちになる。毎回お返しを用意するのは億劫だった。 その気
何年ぶりかにiPhoneの機種変更をした。 本体の色は迷わずピンクにしたけど、ケースを選ぶのは丸4日かかった。何かを選択するということは、著しく脳のエネルギーを消費する。 iPhoneを便利に、快適に使いたい。 それ以上に、絶対にかわいいものを身につけたい。 誰にどう思われるかということはどうでもよく、来る日も来る日もiPhoneを目にする度に「は〜わたしのiPhoneかわいい!最高!」と思っていたい。 夫はものの数分でケースを購入し(黒くて丈夫で本体を360°保護してく
この2月で結婚4年目に入った。 3年間を経て初めて、夫と足並みをそろえて2人で人生を歩いているという実感がある。 昨年秋、わたしは過労で休職した。 年末年始、夫が尿路結石で入院・手術をした。 無事に夫が退院してからも、わたしのインフルエンザ感染、夫のコロナウイルス感染が続いた。 これまでの人生で最も健康について真剣に考えた数ヶ月だった。 結果として、わたしは自炊をするようになった。 ずっとしたかったことだった。体によい、おいしい食事をしたかった。 決して夫のために始めたと
引っ越すたび、自分に合った美容院を探してさまよう。何軒も渡り歩いては、また変える。 わたしは美容院で自分のことをあまり話さない。ちょうどいい力加減で話すことができなくて、美容師さん相手に全力のサービストークを繰り広げ、家に帰ると疲れ果ててしまうからだ。それで、いい感じの距離感で接してくれる美容師さんが好きだ。 クチコミや写真を見れば、店舗の雰囲気や技術力についてはなんとなくわかるけど、美容師さんとの相性は、会ってみないとわからない。 ここしばらく、好きで指名していた美容師
美容学校に通いはじめて丸1年。 わたしは2年生になった。 先日、着物について勉強していた時に「裾模様」という言葉を覚えた。裾模様は、着物の裾部分にのみ絵柄が入ったデザインで、既婚女性の第一礼装である「留袖」の総称でもある。 江戸時代には着物全体に柄が描かれた「総模様」だったが、やがて華やかな帯とのバランスを考え、裾のみに絵柄が施されるようになった。 小さい頃から、何度も聞いていたもみじの歌。 この歌の描く情景が、突然いきいきとした色を伴ってわたしの頭の中に浮かんできた。
毎年、年賀状を送ってくれる同級生がいる。 今年の年賀状は、やや遅れて2月に届いた。彼は3人の子どもと奥さんと一緒に、遠く離れた北国に暮らしているらしい。去年母校を数回訪れる機会があって、建物はガラリと変わっていたけれど、あいちによく元気をもらったことはしっかり思い出したよ、と綴られていた。 高校時代、わたしは彼に片想いをしていた。 彼は同じ学年で入学したけど、1年留学して、帰国してからは1つ下の学年で勉強していた。 弾ける元気玉みたいな高校生だったわたしは、留学帰りで大人
「背中に傷がある」と聞いて、あなたはどんな傷を想像するだろう。針と糸で縫い合わせたような、1本の傷だろうか。 私の背中にある傷は、直径10cm。 丸く、赤黒く、えぐれている。 月のクレーターに似ているな、といつも思う。 25歳の3月、隆起性皮膚線維肉腫という病気で手術を受けた。摘出しないと、少しずつ大きくなるらしい。まったくピンと来なくて、「仕事があるから手術の時期を遅らせてほしい」と医師に言ったら、低く小さな声で「癌なんですよ」とたしなめられた。手術後、初めて傷跡を鏡で
もうすぐ2022年が終わる。 この1年で1番大きな出来事は、間違いなく学校に通い始めたことだったと思う。 私はこの10月に、資生堂美容技術専門学校に入学した。美容師養成のための学校だ。 私は「美容師通信科」で学んでいて、3年間かけて美容技術を学ぶ。3年生になったら、美容師の国家試験を受ける。 私の本職は広告代理店の営業。結構激務だ。 仕事は楽しく、職場もそれなりに快適で、すぐに辞めるつもりはない。 しかもいくら美容について学んだところで、仕事の役には立たない。 だから、
夫と熱海に花火を観に行った。 付き合いはじめてすぐコロナ禍を迎えた私たちは、一緒に花火を観たことがなかった。今年こそは一緒に観たいと意気込んで出かけた。 ところが、開始1時間前に大雨になった。雨の予報ではなかったのに。仕方なく、私が持っていた晴雨兼用の折りたたみ傘を2人でさしたが、雨は強くなるばかり。夫はもう1本の傘を求めてコンビニに向かった。 夫を待っていると、後ろから声が聞こえた。 「僕たちも1本しか傘がないから狭いんですけど、よかったら一緒に入りませんか?」――カッ
新婚生活がはじまって1年半が経った。 この1年半を表す言葉は「清濁併せ呑む」の一言に尽きる。 海は清流も濁流も、緩やかな波も激しい波も、区別することなくすべてを受け入れることから、「善悪の区別をすることなく来るがままに受け入れる人」を指す言葉だという。 いいことも悪いことも、一緒に飲み込む。 結婚生活に1番近い言葉だと思う。 好きな人と一緒に生活できることは、たまらなく楽しい。 だけどその好きな人は、わたしがお腹がいっぱいのタイミングでケーキを出したり、ものすごく集中して