0101…今日もデジタルな世界は流れてる。つながり過ぎた世界のその先
「01010101…」
「1110010100010…」
「0001101111…」
僕の頭上には無数のこんな数字の羅列が飛び交っているんです。わずか0.2Wほどの出力の電波に乗せて、僕たちは「0101…」を垂れ流し続けているんです。
仮にみんなでSNSをしながら歩いていれば、ずっと1Mbpsくらいの通信をしていることになる。そうすると知らず知らずのうちに「0101…」って1秒間に100万回も空に向かって放出していて、文字数へ置き換えると、8ビットを1文字だとして125,000文字が頭の上を飛び回っている。
YouTubeやゲームをやっている人なら、さらにこの数十倍の「0101…」という電波を飛ばしまくっているのです。
もしも、スマホの電波が見えたのならきっとこの世界は「ゼロイチジゴク」なんだと思う。
「おはよう」(010101…)
「ねむいね」(010101…)
そして「ゼロイチジゴク」で生活している人たちからは、しばしばこんな会話を目にする。
「平成の初め頃から空にゼロイチが現れるようになったんだ」
「年々ゼロイチの量が増えてきて、太陽の晴れ間も見えないくらいに、空がゼロイチに埋め尽くされてしまったんだよ」
恐らく、僕たちがスマホに夢中になっている間にあたり一面は映画「マトリックス」のオープニングのような世界になっていたのです。無数の緑色の文字がただひたすらに流れ落ち続けている仮想現実のような世界。
「スマホの無い時代は良かった…」
小鳥のさえずりや、街歩く人たちの会話、木々のせせらぎなんかを常に感じ、もっと現実を生きていたような気がする。なんといっても現実のコミュニケーションには一つ一つの言葉や文字に愛がこもっていた。それに、日々LINEの既読に一喜一憂しているよりも、相手が今何をしているのかを知れないことに、かえって魅力があったんだと思う。
いつの間にか、気がついたら人々はスマホに支配されて、まるで他人とデジタル以外でのコミュニケーションは許されないという暗黙のルールが出来上がってしまったかのように、無言でタイプしまくっている。
今や世界のスマホ利用者は約55億人、今日もいつものようにSNSで1Mbpsずつのキャッチボールをしはじめると世界の空には5.5ペタbpsもの「0101…」がひしめき合うように飛び交っている。
人々の求め続けてきた「つながり過ぎた世界のその先」には、言葉の温かみもなく冷酷で愛の無い世界が待っていた。
たまにはスマホから離れてみるのも良いですね。
そういえばマトリックスの謎の緑色の文字には「手巻き寿司の作り方」が書いてあったそうです(笑)
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。