詩「最後の雨:最強の愛に」
白い花を動かす
時間が別の場所へ
私の知らない生活
頭だけでは踊れない
戻れないのは独りだから
愛しすぎて見えなくなる
死ぬことさえできないのに
永遠を愛する義務に病んで
それはただのぬくもりと呼ばれ
だけど私には至福と定義された
ただ隣にいたかったのに
痛々しい笑顔さえも
複雑なままに膠着する
時間を止めて見せても
あなたは時間の中にいるからそれがわからない
つまりはそれが私の愛だった
ずっと底から愛し続けていた
新しい水になりたかった
誰にも見えないような
どこにでもあるような
女性の歌声のような
男性でもあるような
歌でさえないような
ただの命として
私はあなたのそばにいて
くるまれるようにくるんでいた
心を形にできたなら
私の肉球を唇に変えることができたのに
どこまでいっても悲しみの回廊なら
そもそも何を回転しているのか
廊下には壁がつきものだから
周るだけではそれは見えない
ループのアルゴリズムを解析する前に
誰かに壁やルールを壊して欲しかったのに
勝手にその役目を自分が担うと
自分で自分を縛りつけることにはまり込んだ
それが命と言うものなら
私の命はいつでもSMだ
その条件下の中で美しさを求めるなら
私は誰の命令をも聞かないのに
声がかれるまで歌いたいけど
私には私の歌がなかった
ずっとあなたが歌ってくれていたから
私には子守唄の必要性がなかった
今はあなたのために子守唄を思う
つまりはあなたは子守唄になった
ずっと求めてばかりいてごめんねと
歌いながら聞き耳を立てながら
気づいたときには森羅万象が
全く違う目つきをしたまま
知らない誰かと巡り合わせようとするけど
ろくなもんじゃないぶち壊してやる
音楽をかけずにヘッドフォンでいた
耳を塞ぐように絵を書いていた
本当は幸せで軽薄なのに
不幸のフリだけが絵の具だった
私はいつしか獣と呼ばれて
遊具たちに焼き尽くされようとも
それでも私は本を燃やさなかった
言葉で私の頭を冷やさなければ
私はとっくに自分に放火され
こうして思いつくままに言葉を連ね
知らない誰かの追悼を祈りながら
楽になりたがるならそれが人間だ
すべてを人間であることのせいにした
私が私を愛するようになるには
人間の秘密を解き明かす以外になかったけれど
居酒屋の店長や隣に座った席の兄ちゃんが面白ければ
私は窓さえも開かないだろう
カーテンだけが汚れていくが
それを布団にして眠る覚悟はあり
祇園精舎の鐘の音が子守唄なら
盛者必衰のことわりで寝落ちして
寝言だけを先に記すから
どうか私のポエムを朗読してください
あなたの悲しみを癒したいけれど
私には悲しみと言うものがわからない
だからすべてを吸収できたとしても
私には悲しみと言うものがわからない
それは涙や言葉や怒りや想像と呼ばれるが
私は自分の辞書を黒く塗り潰す才能にかけては
言葉の中のチャンピオンだった
王様ゲームが大好きなくせに
誰ともそれをしたことがないような
その百科事典の中で潰されながら
虎視眈々と喰われるのを待つ
あなたの美しい涎だけが
花びらの上に止めた雨粒のように
今までに見たことも無い世界を知らせる
つまりは今この瞬間
私たちは生きていた
過去形にされるまでもなく
生み出すものが全て形になり遠ざかっても
私は感じた瞬間を思い出すように
忘れた瞬間創り出すように生きていく
それでも命は言葉を生み出すことを止められずに
新しい歌手の誕生だけを待っているけれども
歌われることを待ち望む歌は
歌われる前に成仏させてはダメ
必ず形にしてみせると誓いながら
私は呼吸でさえ言葉であることを知る
動かす指のその時に触れた衣擦れの音さえ
全てが私と世界の言葉であることを知る
だから私は今もあなたを愛していると
遠くの席に座るあなたが私だけを見つめるのを感じ
それが勘違いの幽霊でなければ良いなと思いながら
今日も勘違いしながら生きていく
私が好きなものは私が好きなものであり
それは誰にも汚されたくない雨のようなもので
その雨だけが世界中の至る所に降ることができるが
その雨は人工的に癒しにしか使ってはいけない
そのルールだけが私を活かす
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