叔母の愛歴 シロクマ文芸部御中
愛は犬の涎のようなもの、と去年亡くなった叔母が言っていたのを思い出す。
叔母は生涯に3度の結婚をした。最初は親の勧めた結婚で、間もなく破綻した。
2度目は就職先の会社の上司だったと聞いている。叔母はこの結婚ではずいぶん苦しんだのではないかと思う。
およそ20年に亘る結婚期間中、夫に愛人がいなかった暇はなかった。何度となく入れ代わり立ち代わり変わっていく愛人を、叔母は一人残らず知っていた。知っていながらそれを許していた。
それは、自分が選んでもやはり失敗したと言われたくないと