腋の薔薇時計 #毎週ショートショートnote
「先生、問題の腋というのを見せていただけますか」
医師は遺体の右腕を大きく持ち上げた。
「なんだか薔薇のようですね」
「ただの肌荒れだよ。この傷なんだが、生体反応がある。問題はこれを付けた理由だよ」
「部屋に『ぜったいこい』とメモがありました」
刑事は写真を医師に向けた。
「これが時刻を表しているとしたら」
「4時もしくは16時。ただ現場の公園には16時にはたくさんの人がいました」
「4時では死亡時刻と合致しない」
「ではこの腋の薔薇時計と見えるものは時計ではないということで