【都市伝説】『ちょっとまて!』
□「肝試し始めました。」
三人の高校生が肝試しのために、
近所の”出る”と噂の廃病院にやってきた。
一人はビデオカメラを構え、
他の二人はカメラの前にテレビのレポーターのように立ち、
実況のまねごとをしながら病院の中へ……
三人「おじゃましまーす」
病院の奥へすすむ。
三人「思ったよりはあれていないね」
三人「やっぱり、こんなところに何もでないよ」
そんな軽口をたたきながら
さらに奥へと向かった三人は、
かつては手術室だった場所で古いカルテを見つけた。
彼らは廃病院にきた戦利品として
そのカルテを鞄の中にしまうと、病院の出口へと向かった。
三人「おじゃましました!」
□「ビデオに記録されてた。」
さっそく撮影したビデオを見たいと思った彼らは、
そのままビデオの持ち主の部屋に集まった。
部屋につくとすぐにビデオがかけられ、
テレビ画面にあの病院が映る。
三人「おじゃましまーす」
挨拶とともにカメラが病院の中に入っていく。
まさにそのときだった。
女の声「いらっしゃい」
三人は顔を見合わせる。
確かに聞こえた。女の声だ!
カメラは病院の奥へ……
三人「思ったよりはあれていないね」
女の声「ありがとうございます」
三人はかつては手術室だった場所で古いカルテを見つけ
廃病院にきた戦利品として
そのカルテを鞄の中にしまう。
三人「やっぱり、こんなところに何もでないよ」
女の声「そんなことありませんよ」
三人の顔は
みるみる青ざめていった……
空耳などではない!
女の声はまちがいなく録音されている。
やがて画面は明るくなり、
カメラが病院の外へ出たのがわかった。
女の声「ちょっとまて!」
今度の声は今までとちがい
低く、
陰気で、
攻撃的な声であった。
□「電話の内容…」
そのとき、突然
部屋の電話が鳴り出した。
彼らは顔を見合わせ、
おそるおそる電話に出る。
電話口から聞こえてきたのは、
あのビデオに録音されていた女の声……。
女の声「もしもし、
こちらは○○病院ですが、
お待ち帰りになられたカルテを
返していただけないでしょうか?」