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【やってみた】服を着たままAEDの電極パッドは貼れるのか?

目次

  1. AEDの使用率を妨げるものとは?

  2. 【実験】服を着たままで使えるか?

  3. まとめ

1.AEDの使用を妨げるものとは?

日本国内にAED(自動対外式除細動器)が登場して早20年。
その設置台数は右肩上がりで伸び続けている一方、
実際の使用率は爆発的に向上しているとは言い難い現実もあります。

そもそもAEDは、「人の命を救うもの」なのだから【使われて当然】と思う人もいるかもしれません。
しかしながら、実態としてはまだまだ使用されるケースの方が低く、119番通報があった心臓が原因による心肺停止傷病者へのAED使用率は約4%。

総務省消防庁「令和5年版救急・救助の現況」

AEDの使用に関しては、
やはりプライバシーの保護や救命処置を行うことへの戸惑いや抵抗がありそうです。

近年では、プライバシー保護の観点からもAEDの使用時に衣服を全て脱がせる必要はないとの見解もあります。

AEDを使用する時に、衣服はどの程度取り除けば良いのか?
一言で服と言ってもいろんな種類がありますが、
やってみなければわからないということで、いざ実験!

2.【実験】服を着たまま電極パッド貼り付け4選

今回は、胸骨圧迫訓練用人形に以下の4つの服を着せてみました。
①Tシャツ
②タートルネック
③ボタンダウンシャツ
④パーカー
番号順に難易度も上がりそうですが、果たしてどうなるか?

今回は、実験第1弾として、あえて衣服を全く取り除かないことを前提に実施してみました。
それぞれの実験模様をご覧ください。

①Tシャツ
生地が薄く伸縮性もあり、襟元を広げるのも難しくはなかったです。
左胸の脇に貼り付けたパッドの方が少し浮いてしまってました、、、

②タートルネック
秋冬に着る人も多いですよね。
生地にもよると思いますが、やはり襟元はきつめで服に電極パッドがくっつかないように貼り付けるのは至難の技でした(泣)

この時点で手に電極パッドが張り付いて苦戦しております
襟元でくっついてしまいそれ以上進まなかった・・・

③ボタンダウンシャツ
こちらは伸縮性がなく、服の下の空間があまり作れない難しさがありました。全てのボタンを外さなくても襟元と裾のボタンは1個〜2個外した方が早そうです。

襟元はあまり広がらず。ボタン外した方が良さそうです。
右胸の電極パッドは鎖骨の下まで届かず。。。

④パーカー
一番厚手でどうなるか予想しにくかったパーカー。
サイズ的にゆったり目だったこともあってか、意外と電極パッドの貼り付けはタートルネックやボタンダウンシャツに比べると楽に感じました。
ただ、服をめくって見るとこちらもしっかり貼り付けはできていなかったです。。。

左胸の脇に貼るパッドは肌に密着できておらず、、、

実験の様子はYoutubeにも少しだけ、、、

3.まとめ

実際にやってみての感想ですが、
全く衣服を取り除かずに正しい位置に電極パッドを貼り付けるのはなかなか厳しいと思います。

もちろん、試した種類以外の衣類や、別の人がやったら上手く行くかもしれません。ただ、普段AEDを触ることがないような人たちが、いきなり服を着せたまま実践するにはリスクの方が高いと感じます。

また、AEDの使用手順としては、電極パッドを貼る前に胸の状況を確認しなければならないため、衣服を着せた状態ではそれが疎かになってしまうことも懸念です。

個人的には、せっかくAEDがそこにあるのなら正しく使用するために、
胸の状況がしっかり確認できる状況にした上で、
正しい位置に電極パッドを密着させることを最優先として考えた方が良いと思います。

プライバシーの保護を目的とした製品はいくつか登場しているので、
そういったものがさらに普及し、使用率が向上することも重要ですね。


・救命処置を施す際に体を簡単に覆うことができるシート:まもるまる
・日本光電が販売するAED使用時のとき傷病者のプライバシーを守るテントAED救命テント

ちなみに・・・
AEDと一緒にされていることが多い衣類用のハサミでも、
今回と同じ衣服を切れるのかどうかやってみました。


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