【シュタイナー教育実践記】森の幼稚園体験談 Part 2|子どもの自然な成長を見守る
シュタイナー教育やウォルドルフ教育に興味のある方へ
Acorn Hill森の幼稚園を実際に訪問してきました。この幼稚園では、子どもたちが自然の中で自由に成長し、発達支援や自然教育を通じて「自分で考える力」を育む特別なアプローチが実践されています。
子どもが本来持っている無限の可能性を引き出す場所を探している皆さんへ
先日訪れたシュタイナー教育を実践するAcornhill どんぐりの丘:森の保育園&幼稚園は、その願いを叶えてくれる特別な場所でした。従来の教育の硬直した構造にとらわれることなく、子供たちが伸び伸びと成長できる環境です。
教えない教育で育む「自分で考える力」
この保育園に一歩足を踏み入れた瞬間、感じたのは「教えない教育」の力。先生たちは、直接的な指導や、答えを教えるのではなく、子どもたちが自ら考えるきっかけを与えます。
「どうしてかな?」
「何が良いと思う?」
など、問題解決のためのヒントをさりげなく投げかけるのです。このアプローチは、子どもたちの知的好奇心を刺激し、自分で答えを見つけ出す力を育てます。
心地よい静けさの中で深まる集中力
私が最初に驚かされたのは、その静けさです。
確かに、日本の保育園庭とは比べ物にならない広大な森の中ですので、子どもたちが声が森に吸収されていたのかもしれません。
しかしそれを差し引いても、子どもたちはとても落ち着いるように見えました。日本の保育園では、子どもたちが大声をあげて元気に走り回る姿をよく目にします。そんな姿こそが子供らしくて私は好きなのですが、ここでは少し違いました。
子どもたちはみんな落ち着いていて、まるで何かに夢中で没頭しているかのように、ゆったりとした時間が流れていました。
指示の代わりに優しい歌声
さらに印象的だったのは、先生たちが声を張り上げることなく、優しい歌声で子どもたちを次の活動へと自然に導いていたことです。
日本の保育園でよく歌うような元気で明るい歌とは異なり、ここではまるで子守唄のようなゆったりとした先生方の歌声が、優しく新しい活動の合図を送ります。
言葉ではなく、心地よい歌声が子どもたちを包み込み、切り替えの瞬間を自然に導いていく。その光景はまるで、子どもたちが音楽と一体となり、リズムに身を任せながら静かに進んでいるようです。
「おそうじの日」で学ぶ責任感と協力の大切さ
シュタイナー教育が実践されているAcorn Hillの「おそうじの日」は、子どもたちが責任感と協力の大切さを自然に学べる日です。私が訪問した金曜日はちょうど「おそうじの日」で、子どもたちは屋外に設置された水のタライを囲み、ブリキの容器や自然素材のおもちゃをブラシで丁寧に洗っていました。このシンプルな活動の中で、子どもたちは楽しみながらも協力して作業することの重要性を学んでいるのです。
ウォルドルフ教育の特徴であるこうした活動は、子どもたちにとっては遊びの一部ですが、実はそれ以上の価値があります。おしゃべりを交えながら掃除を行うことで、コミュニケーション能力や微細運動スキルが自然に育まれ、さらには物を大切にする心を学んでいます。これにより、彼らは単なる作業ではなく、責任感と他者との協力の大切さを体感しています。
ウォルドルフ教育における「仕事」と帰属意識の育成
このような「おそうじの日」のような活動は、ウォルドルフ教育の特徴の一つであり、子どもたちはこうした「仕事」を通して、自分たちが保育園の一員として責任を果たすことの意味を理解します。さらに、仲間と協力して目標を達成することで、コミュニティへの帰属意識が自然に育まれます。
これらの活動は、日本の学校で行われる掃除や係活動に似ていますね。しかしちょっと日本の教育と違うのは、ウォルドルフ教育では特に子どもたちの自主性を重視しているところです。掃除や役割を楽しみながらこなすことで、彼らは責任感や周囲への配慮を学び、それがコミュニティの一部としての役割を果たすことに繋がります。
天然素材を活かした温もり溢れる室内環境
Acorn Hillの教室は、自然の温かみが感じられる穏やかな空間です。全ての素材は自然由来で、木製の家具や手染めのオーガニックコットンが使用されており、プラスチック製品や派手な色彩は一切ありません。この環境は、子どもたちに安心感を与え、心身ともにリラックスしながら学べる場所です。
こうしたウォルドルフ教育の環境設計は、自然と調和した成長を促進します。まるで18世紀にタイムスリップしたかのような空間で、子どもたちは現代社会の喧騒から離れ、自然のリズムに身を委ねることができます。
天然な染料で染めたコットンで作ったテントです。
テントの中には天然素材のおままごとセットがあります。
ウォルドルフ人形と想像力と共感力
ウォルドルフ人形は柔らかい素材で作られており、手足が自然に動くように設計されています。私が抱いた赤ちゃん人形は、新生児と同じ重さがあり、抱いた瞬間に非常にリアルな感覚が得られます。ずっしりとした重みが、まるで本物の赤ちゃんを抱いているかのような感覚を与えてくれます。
口のない赤ちゃん人形
ウォルドルフ人形の顔は非常にシンプルなのが特徴です。
私が抱いた赤ちゃん人形には口が描かれていませんでした。これは、子どもたちが人形の感情を自由に想像できるようにするためなのだそう。このシンプルなデザインが、想像力と共感力を自然に育むのですね。
子どもたちはウォルドルフ人形と遊ぶ中で、自分の内面の感情を投影し、赤ちゃんの気持ちを考えることで、思いやりや共感の感情を自然に育みます。これにより、感情表現が豊かになり、心の成長が促進されます。
テーブルでのアート活動と創造力の育成
ウォルドルフ教育のもう一つの魅力は、子どもたちの創造力を引き出すアート活動です。それぞれの子どもたちは、自分のフェルトマットの上に、自然素材やフェルト製の動物を配置し、物語や世界を作り上げます。このプロセスは、想像力と創造力を刺激し、自由な発想を育む重要な時間です。
Acorn Hillでは、子どもたちが自由に工具を使うことも許されています。これは、彼らの自信と独立心を育てるための一環です。
小学校に上がる前の子どもたちが、このような工具を使うことを許されていることにも驚きですよね!
シュタイナー教育が提供する自然と共に育つ学びの環境
Acorn Hillのようなシュタイナー教育を実践する幼稚園は、子どもたちが自然の中で自由に成長し、自分で考える力を育む場です。ウォルドルフ教育が提供するこうした環境は、現代社会では希少であり、親たちにとっては高い価値を持っています。
特に、自然素材を使った遊具や教室、日常の中での協力活動を通じて、子どもたちは単なる知識ではなく、心の成長や社会性の発達を学んでいるのです。
高額な保育料と教育の価値
この素晴らしい教育環境には、もう一つの現実が伴います。それは、高額な保育料です。
アメリカには日本のような公立の保育園がないため、保育料は日本の基準からは考えられないほど高額です。
この保育園に子供を一人、毎日8時半から夕方7時半まで週5日通わせた場合、年間の費用は約70,300ドル(日本円で約1,019万3,500円)にもなるのです!
これを払える家庭がいることにも驚きますが、これがビジネスとして成り立つことにも驚きです!!この保育園に通わせている家族は、皆揃って高学歴で、ハーバードやスタンフォードの博士号を持つような方々ばかりだと先生は話してくれました。まぁそうでしょうね…。たまごが先か、ニワトリが先か…。
経済大国アメリカの首都ワシントンDC近郊ですので、日本には存在しないほどの大金持ちの家族が存在することは知っていますが、まぁすごいですよね…。
この裕福で高学歴の両親は、3才の子供たちに最良の環境を与えるため、今後20年間、年間1000万円を費やすことを惜しみません。
現代社会において、テクノロジーが溢れる一方で、自然の価値が再評価されているのです。Acorn Hillに通わせる家庭は、自然と調和した教育に対して高い対価を払うことを選んでいます。今、自然はiPhone 16よりもずっと高価なのです。
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