遊びが『賢い子ども』を育てる理由とは?科学的視点から徹底解説
賢い子どもを育てるシリーズ 第1弾
「子どもを賢く育てたい」と考える親なら、早期教育や塾、幼児向けの教材などを検討したことがあるかもしれません。しかし、これらの方法が本当に子どもの知性を伸ばす最良の手段なのでしょうか?
急速に変化する未来を生き抜く「賢さ」とは
確かに、このやり方では短期的には子どもが賢くなったように見えるかもしれません。しかし、これからは今までに人類が経験したことのないような未曾有の変化が起こると言われています。そのような時代を生き抜くために子どもたちに必要なスキルを身につけさせるためには、どのような教育が必要なのでしょうか。
その答えは意外にもシンプル。実は「遊び」にあるのです。
自由な遊びを通じて、子どもたちは創造力、問題解決能力、社会的スキルを育みます。これらのスキルは、単なる学習内容の暗記よりも、はるかに長期的な成長と成功につながるのです。
この「人間力を育む遊び」とは、ただの遊びではなく、子どもがいかに夢中になって遊んでいるか。これが大切です!
夢中になって遊んでいる時、子供の脳は、最も成長する「フロー状態」に入っています。この状態は、子どもが将来どんな困難にも立ち向かえる力を育むための重要な要素なんです。
今回は、その科学的な理由をご紹介します。
遊びが脳を育てる魔法の時間
子どもが本当に集中して遊んでいる姿、見たことがありますか?この時、実は子どもの脳はフルスピードで成長しています。
心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー状態」と呼ばれるこの状態は、子どもが完全にその活動に没頭し、周りの世界を忘れるほどの集中力を発揮している時のことです。
フロー状態に入ると、子どもの脳は新しいことをどんどん吸収し、神経回路が強化されます。
ですから、遊びは単なる遊びではなく、子どもの脳を育てるための「最高のトレーニング」なんです。夢中になれる遊びは受身的な遊び、制限の多い環境での遊び、自由の少ない環境での遊びの中では生まれにくいですよね。ここが「自由の遊びが脳を最も育てる」理由です。
フロー状態って何?
フロー状態とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか?おそらく、皆さんも一度は体験したことがあると思います。例えば、何かに没頭していて気がついたらとんでもなく時間が過ぎていてびっくりすることってありますよね。それがまさにフロー状態です。
いくつか具体例を挙げてみますね。
ポジティブな感情と学びの加速
上記の例からも、フロー状態は本当に気持ちいいですよね!フロー状態にあると、脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌されます。ドーパミンは「やる気」や「快感」に深く関与しており、この物質が放出されることで、学びのプロセスが加速します。つまり、子どもが遊びを楽しむことで、自然と学びが深まり、脳の発達が促進されるのです。
フロー状態がもたらす脳の変化
フロー状態にある子どもは、次のような変化を脳に起こしています。
1. 集中力の向上
フロー状態に入ると、脳の集中力が最大化され、外部の刺激に影響されずに1つの活動に深く没頭します。この集中力が、複雑な問題を解決する能力や、創造的な発想力を育てる基盤となります。
2.感情の豊かさが記憶を強化する
楽しい、嬉しい、ワクワクする──遊びの中で感じる感情が豊かであるほど、脳はその体験を強く記憶に刻みます。ポジティブな感情は、記憶を強化し、後の学びをより深める役割を果たします。
3. 神経回路の成長
遊びの中で新しいことにチャレンジするたび、脳内で神経回路が新しく作られたり、既存の回路が強化されたりします。こうした神経回路の成長が、知性や創造力、問題解決力を高めます。
フロー状態を引き出すために親ができること
では、どうすればお子さんがフロー状態に入れるような遊びを提供できるのでしょうか?
1. 自由な遊びを尊重する
子どもにあまり干渉せず、自由に遊ぶ時間と環境を与えることが大切です。
私たち大人が子どもの自由な遊びを促すためには、安全で豊かな遊び環境を整え、子どもの選択を尊重することが大切です。
2. 楽しさを共有する
子どもの中には、ただおもちゃを与えただけでは楽しめない子もいます。自然の中や公園に連れて行っただけでは、自ら選んで楽しく遊ぶ方法を知らない子どももいます。そんな時には、まず私たち大人が一緒に遊び、楽しい体験を共有することが大切です。このような小さな楽しい体験や成功体験が、フロー状態への道を開くのです。
子どもが何かを達成した時には、褒めても良いですが、それよりも一緒に喜んだり、驚いたり、大笑いしたりといった嬉しい感情を共有することを心がけましょう。これにより、自信をつけさせ、その活動にさらに集中できるようになります。
3. 少し難しいけれど、頑張ればできるような課題を与える
少し難しいけれど、頑張ればできるような課題を与えることで、子どもはその挑戦に集中し、フロー状態に入りやすくなります。簡単すぎると飽きてしまいますが、難しすぎると挫折してしまうので、そのバランスが重要です。
応用行動分析(ABA)でも解説できる
この原理は、ABA(応用行動分析)でも説明できます。人の能力を最大限に引き出すには、正の強化がカギとなります。正の強化とは簡単に言えば、、快楽を求めて行動を続けることです。
気持ち良いから頑張れる!!
フロー状態というのは、本当に気持ちの良い状態ですよね。気持ちがいいから、多少の辛さや苦痛を乗り越えることができるのです。それによって自分の枠の外に出ることができるのです。
他の人からは大変そうに見えても、本人が興味を持っていて、内容が少し難しいものや挑戦しがいのあるものだと、その苦難以上に楽しみや好奇心、向上心が勝っているため、目標を達成するまで続けようとします。
この正の強化こそが、人を伸ばす一番の方法なのです。おそらく、あなたの得意なことや人に誇れる特技も、こうしたプロセスを経て身につけられたものなのではないでしょうか。
ここまで読み進めると、子供に勉強を強制しても頭が良くならない理由が理解できたかと思います。
まとめ
子どもが夢中になって遊んでいる瞬間は、実は脳が最も活発に成長している瞬間です。「遊び」を通じて、子どもたちは単なる楽しさ以上に、知性、創造力、問題解決能力といった未来に必要な力を自然に身につけていきます。重要なのは、親として子どもが自由に挑戦できる環境を整え、彼らの遊びを大切にすることです。賢く育つための最も効果的な方法は、早期教育や特別な教材に頼るのではなく、彼らが自らの好奇心に従って自由に遊び、学び続けるプロセスにあります。
さて、次回の記事では、「フロー状態」がどのようにして子どもの成長を促し、彼らをコンフォートゾーンから引き出すのかに焦点を当てます。この状態にあると、どのようにして今持っているスキル以上の挑戦ができるのか、実例を交えながらさらに詳しく解説していきます。ぜひお楽しみに!
賢く育てたいなら、子どもの脳が急速に発達するこの大切な時期に、どんな習慣を避けるべきかを知っておくことが大切です。今の子育てが気になる方は、ぜひご覧ください!