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【日本の療育2024】療育の現状と課題 - 本当に効果がある療育法を探る
前回の記事では、発達の遅れに対する「様子を見ましょう」アプローチの危険性を、脳科学や保育園での子どもの実際の様子を交えてお話ししました。
今回は、本当に効果のある療育とは何か、そして日本の療育の現状について深掘りしていきます。この記事を読むことで、どのような療育が子どもの発達に最も効果的なのか、そしてそれを実現するためには何が必要なのかが明らかになるでしょう。
日本の療育の現実:なぜ改善が必要か
前回の記事では、「様子を見ましょうアプローチ」は危険であると強く主張しましたが、日本の公的療育の現状を見ると、療育制度がいかに不十分であるかに驚かされます。私が調べた日本の公的療育の現状は以下の通りです。
・療育の頻度:週1回程度
・療育の時間:45分〜1時間程度
この事実を目の当たりにしたとき、私は親として胸が締め付けられる思いをし、行動分析士として怒りを感じました。これでは、十分な効果が期待できません。一体行政はどんな理由でこのような頻度に設定しているのでしょうか?
この行政の対応は、単に「発達障害の支援をしている」という既成事実を作る自己保身に過ぎませんね。「子どもの未来に対する配慮して、効果的な療育を提供しよう」という思いがまったく欠けていることに、怒りを超えてがっかりしてしまいます。
効果的な療育とは何か?
私の専門分野である応用行動分析(ABA)は自閉症スペクトラム(ASD)の子どもたちへの効果的な療育法として知られています。ABA療育は、発達障害児の認知や行動の改善に大きな効果があることが科学的に証明されているため、アメリカでは健康保険適応の治療です。
ではアメリカでのABA療育の頻度はどれくらいなのでしょうか?
私の健康保険で「ABA療育」がどれくらい受けられるか調べてみた
米国で私が保有する健康保険(Aetna:エトナ)で、ABA療育がどれくらいカバーされているのか調べてみました。
保険適応ABA療育
- 早期集中的行動介入(EIBI):0歳から7歳まで / 週25~40時間
- 集中的なABA療育:0歳から7歳まで / 週1~20時間
- 包括的なABA療育:すべての年齢 / 週10~25時間
日本との差は歴然です。アメリカではなぜこのような高頻度の療育が奨励されているのでしょうか?それは、この頻度が最も効果的であることが、科学的研究で証明されているからです。
【週1時間 vs 週40時間】本当に効果が出る療育とは?
アメリカでのABA療育の時間設定は、科学的な研究結果に基づいています。
例えば早期集中的行動介入 (EIBI) では、週に25〜40時間が推奨されていますが、これは、この時間が子どもの発達に最も効果的であると多くの研究で証明されているためです。集中的な療育を受けた子どもたちは、社会的スキルやコミュニケーション能力で大きな進歩を示すことが確認されています。この時間設定は、数多くの臨床試験やメタ分析によって、最適な結果を得るために必要なものとされています。
米国の保険会社:ABA療法はASDの治療に不可欠
上記のリンク先の保険会社のウェブサイトに、
「ABA療法はASDの治療に不可欠であるため、保険適用対象となる」ということが明確に記載されています。興味のある方はご覧ください。以下にその概要を記載します。
Aetna(エトナ)は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療に応用行動分析(ABA)療法が不可欠であると認識しています。ABAは、ASDを持つ人々にとって、有意義な行動の変化をもたらし、コミュニケーション、社会性、学習能力を向上させる効果的な療法として広く受け入れられています。
Aetna を通じて ABA療法を利用するには、正式な自閉症スペクトラム障害の診断を受け、その後、ABA療法の免許を持つセラピストが治療計画を提案する必要があります。
ABA療法は、ASDの患者が社会的な状況をナビゲートする能力を長期的に向上させ、コミュニケーション能力を高め、自立性を築くのに役立つため、特に有益です。
家庭での療育の重要性
いくら日本の現状を嘆いても、米国と比べるだけでは解決にはなりません。私一人では今すぐ日本のシステムを変えることはできませんが、その間にも多くのASDの子どもや家族が、必要な治療を受けられずに「様子見」を強いられている子供達がたくさんいる状況には耐えられません。だからこそ、ここで家庭でできる療育方法をできるだけ多くの方に伝えたいと考えています。
家庭療育が必要な理由
米国のABA療育で推奨されている時間は、多くの研究によって最も効果的と証明されたもので、週40時間、すなわち1日6時間程度にも及びます。日本では非現実的な話ですね。さらに、BCBAによるABA療育は高額ですから、この時間数では、一ヶ月で50万円くらいかかってしまいます。
でも考えてみてください。1日6時間って、乳幼児が起きている活動している時間のほとんどと言っても過言ではありませんよね。
ですから最も効果的なABA療育とは、毎日の家庭生活の中でABAを取り入れることなのです。
この最も効果的な療育を日本で提供するのであれば、親や家族がABAの方法を学び、日々の子育てに活かすことが、子どもの可能性を引き出すために役立つでしょう。家庭で療育を行うことは、子どもの発達に良い影響を与えるだけでなく、家庭で療育を実践することは、子どもの発達にポジティブな影響を与えるだけでなく、親子関係の強化や、日々の生活をより豊かにすることにつながります。
今こそ、家庭でのサポートを始めましょう。子どもの未来を輝かせるために、家庭療育の実践がそのカギとなるのです。皆さんが実践しやすいABA家庭療育法をこれからも発信していきます。
この記事を読んで、皆さんはどう感じましたか?思ったことをコメントでシェアしていただけると嬉しいです。
次回はもっと具体的に、ABA家庭療育で何をすれば良いのかについてお話しします。そしてまずは、今すぐに実践できることから紹介していく予定です。