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「視座をあげろ」といってもメンバーの視座はあがらない。対話による質問で視座をあげる。
現代のビジネス環境において、リーダーシップやマネジメントの役割を担う人々は、しばしば「視座をあげろ」とメンバーに要求します。しかし、単にこのフレーズを繰り返すだけでは、メンバーの視座は自然には上がりません。視座をあげるには、深い対話と適切な質問を通じて、メンバー自身が気づきを得るプロセスが重要です。本記事では、心理学的な理論を背景に、どのように対話と質問を通じて視座をあげることができるのかを探ります。
視座とは何か?
視座とは、物事をどのように見るか、どのような視点で捉えるかという考え方です。視座が高い人は、全体像を見渡し、長期的な視点から物事を判断することができます。逆に視座が低い人は、目の前の細かい問題にばかり焦点を当て、広い視野を持つことが難しくなります。視座をあげることは、リーダーシップにおいて重要なスキルであり、組織全体の成長と成功に寄与します。
視座をあげるための心理学的背景
1. メタ認知の重要性
メタ認知とは、自分自身の思考や学習プロセスを意識的に理解し、管理する能力のことです。心理学者ジョン・フラベルは、メタ認知が自己調整学習や問題解決において重要な役割を果たすと述べています。視座をあげるためには、自分自身の思考パターンや視点を見直し、意識的に広げることが必要です。
2. 質問の力
ソクラテス式問答法(Socratic questioning)は、深い思考を促し、視点を広げるための有効な方法です。心理学者リチャード・ポールとリンダ・エルダーは、質問が思考を刺激し、自己認識を高める効果があると指摘しています。対話による質問を通じて、メンバーの視座を広げることができます。
3. 内発的動機づけ
心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンの自己決定理論によれば、内発的動機づけは個人の自主性や成長を促進します。メンバーが自発的に視座をあげるためには、内発的な動機づけを高めることが重要です。これには、自己認識や自己成長の機会を提供することが含まれます。
視座をあげるための具体的な質問と対話の方法
視座をあげるためには、適切な質問と対話を通じてメンバーに考える機会を提供することが重要です。以下に、視座をあげるための具体的な質問例とその背景を紹介します。
1. 現在の課題に対する質問
「この問題が解決したとき、どのような成果が得られると思いますか?」
この質問は、メンバーに現在の課題を超えた成果や結果について考えさせることで、視座を広げる効果があります。問題解決の結果を想像することで、より大きな視点から課題を見ることができます。
2. 長期的な視点を持たせる質問
「このプロジェクトが成功した場合、5年後にはどのような影響があると思いますか?」
長期的な視点を持たせることで、メンバーは現在の行動が将来的にどのような影響をもたらすかを考えるようになります。これにより、視座を高めることができます。
3. 他者の視点を考えさせる質問
「他の部署やチームの視点から見た場合、このプロジェクトはどのように映るでしょうか?」
他者の視点を考えさせることで、メンバーは自分の視野を広げ、全体像を把握する力を養うことができます。異なる視点からの見方を理解することで、よりバランスの取れた判断ができるようになります。
4. 自己認識を促す質問
「この課題に対して、自分自身がどのように貢献できると思いますか?」
自己認識を促す質問は、メンバーが自分自身の強みや役割を再確認し、自信を持って行動することを助けます。これにより、視座を高めるとともに、内発的動機づけを向上させることができます。
5. 成長と学びの視点を持たせる質問
「このプロジェクトを通じて、どのようなスキルや知識を身につけたいですか?」
成長と学びの視点を持たせることで、メンバーは現在の課題を超えた自己成長の機会として捉えることができます。これにより、視座を広げ、長期的な視点から行動する意欲を高めます。
対話による視座をあげるプロセス
視座をあげるためには、適切な質問と対話を通じてメンバーと深いコミュニケーションを取ることが重要です。以下に、対話による視座をあげるプロセスを示します。
ステップ1:信頼関係の構築
まず、メンバーとの信頼関係を築くことが重要です。信頼関係がなければ、メンバーはオープンに自分の考えや感情を共有することが難しくなります。信頼関係を築くためには、オープンなコミュニケーションとフィードバックの提供が欠かせません。
ステップ2:質問を通じた対話の開始
信頼関係が築かれたら、適切な質問を通じて対話を開始します。前述の質問例を参考に、メンバーの視座を広げるための質問を投げかけます。この際、メンバーが自分自身で答えを見つけられるように、過度に誘導しないことが重要です。
ステップ3:深い思考の促進
質問を通じてメンバーに深い思考を促します。メンバーが自分自身の考えや感情に向き合い、内省する時間を与えることで、視座を高める効果が得られます。また、メンバーが自分の考えを整理し、言葉にするプロセスも重要です。
ステップ4:フィードバックとリフレクション
対話を通じて得られた気づきや学びを共有し、フィードバックを行います。フィードバックは具体的で建設的なものであるべきです。また、メンバーが自身の成長や視座の変化を実感できるように、リフレクションの機会を提供します。
ステップ5:継続的なサポート
視座をあげるプロセスは一度で完了するものではありません。継続的な対話とサポートを通じて、メンバーが視座を高めるための成長を支援します。定期的なチェックインやフィードバックセッションを通じて、メンバーの進捗を確認し、必要に応じてサポートを提供します。
まとめ
「視座をあげろ」といっても、メンバーの視座は自然には上がりません。視座をあげるためには、深い対話と適切な質問を通じて、メンバー自身が気づきを得るプロセスが重要です。心理学的な理論を背景に、メタ認知、質問の力、内発的動機づけを活用し、メンバーの視座を高めることができます。対話による視座をあげるプロセスを実践することで、組織全体の成長と成功に貢献するリーダーシップを発揮しましょう。
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