成長期のスポーツ選手に知って欲しい身体ケアの話01【リカバリー】
アスレティックトレーナーのあおしまです。ここでは、成長期のお子さんと親御さん、スポーツコーチの皆さんにスポーツ現場でお役立て頂けそうなコンディショニングの話題をご紹介します🏋🏻
1.スポーツ活動のためのリカバリー
私達が、日常生活の中で必要とする体力と、スポーツ活動に打ち込むために必要な体力は、同じ行動体力ですが、必要な量も強さも異なります。
専門的に見れば、筋力や持久力、関節の可動域やバランス力など必要とする能力でさらに違いがあるでしょう。
こうしたスポーツ活動での体力は、消耗も大きく、一旦疲れ切ってしまうと日々の生活に支障が出るほどダメージを負うこともあります。
成長期の子供であればなおさら、スポーツ活動の忙しさが、学校生活の不具合や怪我の心配につながる可能性も予測する必要があります。
一方、人間には、ホメオスタシス(生体恒常性)という機能が備わっています。
私たちの体には、外から受ける環境刺激や、自分の体内の変化に対して、体温や血糖、免疫機能などを自動的に調整して、一定に保とうとする制御システムをもっています。
そのため、日常の疲れや体調の不具合が発生したとしても、適切な食事を摂りつつ、無理をせずに安静に体を休めようと努めれば、自動回復としてのホメオスタシス機能が調整を図ってくれるのです。
ところが、積極的なスポーツ活動をする人は、この自動回復機能では間に合わない程の疲労に陥る事があります。
大事な試合や強化合宿を終えた翌日から急激に体調を崩すような体験をした人もいるかと思います。
つまり、スポーツ活動に熱中して、継続的な活動をするためには、毎日の生活に足りる体力の回復はもちろんのこと、スポーツ活動での消耗分を補う取り組み(リカバリー)が必要なのです。
スポーツ活動における疲労回復の対象は、筋肉骨格系の組織が最初に思い浮かびます。
中でも、力を生み出す筋肉や関節は最優先の項目であり、怪我との関わりも深い部分です。
筋肉骨格系組織の疲労の特徴は、体内に貯蔵しているエネルギーが枯渇すること、タイミングや、バランス感覚を支える脳・神経系機能の疲労そして、筋肉痛に代表される筋骨格系組織自体の疲労です。
2.疲労管理の3つの視点
スポーツ活動に対応するための具体的な疲労管理を3つの視点で捉えていきます。
身体自体の調整(ほぐす・伸ばす・鍛える)
栄養と食事の調整(栄養バランス・量・タイミング)
睡眠の調整(時間と質・温度と光・脳と学習)
1つ目は、身体自体の調整についてです。特に運動に直接関わる筋肉や連結する軟部組織は、疲労の症状として過緊張や筋力低下を示します。ここを徒手や、アイテムを用いて調整します。
専門家でなくとも、自分の身体を直接触りながら、様子を知る事、変化を覚えていく事が大切になります。
ここでは,順番が大切で、「ほぐす」→「伸ばす」→「鍛える」の手順だと、より効果的です。
2つめは、栄養と食事の調整です。スポーツ活動では、多くのエネルギーを必要とするため、必然的に食事の量が増えていきます。それと同時に食べ物の内容、栄養バランスが保たれていなければ、回復のための材料が細部にまで届きません。
さらに、タイミングを計画して運動時間と回復時間を分類して振り分けていくと、試合に合わせたエネルギー補充と疲労の回復が見通せるようになります。
3つ目は、疲労回復の大本命となる睡眠を調整する事です。人は、人生時間のうち、3分の1は睡眠に使用します。
これほど長く取り組む時間であるにも関わらず、私達は寝ている間は無意識のまま過ごさなければなりません。だとすると、この無意識下の環境設定に疲労回復を進めるヒントがあります。
また睡眠は、脳の疲労回復に直結し、集中力の回復が期待され、ケガ予防の準備も進みます。
それぞれの詳細は、これからの回でご紹介していきます。
(参考文献)
・公認アスレティックトレーナー 専門科目テキスト 3コンディショニング /公益財団法人日本スポーツ協会
・リカバリーの科学・スポーツパフォーマンス向上のための最新情報/編集:Christophe Hausswirth, Iñigo Mujika 監訳:長谷川 博(広島大学大学院総合科学研究科)山本 利春(国際武道大学体育学部)
・日本トレーニング指導者協会トレーニング指導者テキスト(実践編・理論編)大修館書店
・NASM Essentials of Corrective Exercise Training: First Edition .2013
・スポーツ医療従事者のための本格フロッシング/スヴェン・クルーゼ, 高平 尚伸他 | 2020/7/20
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