友と歌と魚たち。愛の歌は愛と歌だけで間に合うから。
大学時代からの親友。彼は俺が頭がおかしいと思っても、友達でい続けてくれた。一番大切な友達。
パーティーは早朝から静かに始まった。旬の駅で数多の野菜と他のたくさんの食材の買い出しから。
綺麗な看護師の奥さんとの病院話も盛り上がり、苦労は介護福祉士も看護師も同質のものだと分かち合った。親友は会話のテーマをすぐに自分と結びつけて返してくれる。穏やかにパーティーはボルテージを上げていく。
楽園に到着。愛の歌は愛と歌だけで間に合うから、僕たちは語り合い、歌い、食べるなか、彼だけは与え続けた。
まずテーブルに運ばれる前菜たち。
ここからが本日のメイン。
ムツと太刀魚は醤油でもポン酢でも刺身の王者。アコウは不思議な味。アコウは貴重な魚らしい。俺はたぶん生まれて初めて食べた。
ここで、唯一の後悔。太刀魚とユメカサゴとレンコダイの煮付けの写真を撮り忘れた。前回の訪問で最高だったのが煮付け。今回も染み付いたたれの甘味がたまらなかった。
トークはアートの捉え方が仕事や人生の捉え方を変えること。個別の音楽、映画の話。家族との関係性の話。思い出話。好きなジャーナリスト、政治、気候変動の話、色んなことを話したけど、ただ話すのではなく、時間をシェアし、そこにはいつも友情があった。たまに言葉で確認する。
歌もよく歌うが、愛の歌は愛を歌うだけでは届かないから、僕らは話す。友情とはこんなに素晴らしいものか。もう俺は失わない。全員を連れて、約束の地で、今日も築き上げる。そこへ行くときは、君たちと一緒だ。それが俺にできるすべて。