難波田史男 特別展示 没後50年-「生と死の相克に魅入られた精神」
某日、東京オペラシティアートギャラリー。
収蔵品展079 特別展示 没後50年 難波田史男(- 06/16)へ。
寺田コレクションに感謝を。
日を改め、訪れた
宇野亞喜良展と同時開催の本展。
少しだけ鑑賞し、日を改めようと決めて、後日再訪した。
それだけ、「迫ってくる絵」だった。
作品を観ると浮かび上がってくるであろう数々の言葉、それがそのまま、図録の解説文にも記されていた。
展示作品の大部分は、20代のときに描かれている。
「生と死の相克に魅入られた精神」
どんな作家なのだろう。
その後、どのような作風の変遷を辿るのだろう。いや、辿らないのでは? 予感のようなものは的中する。
「惜しくもフェリーからの転落事故」って……フェリーから???
「海で死ぬことへの憧憬」
「鮮烈な表現の連なり」
これも、さきほどの解説にあった言葉だけど、「鮮烈な表現の連なり」--これは、作風と、そこから感じることを端的に表していると思う。
観る者の声は届かない。息を殺して傍観するしかない。そんなやるせなさ。そして、いくつかの予感のうち、よくないほうが当たっていく、でも止められないもどかしさ。
止められないのは、生み出された作品たちが、あまりにも美しいからだ。
静かな絵に見えて、強烈に観る者を惹きこむ。閲覧用に置かれていた図録には「売り切れました」というシールが貼ってあった。
作品をじっと覗き込む。例えば、描かれた海の水面。やがて海の底から、観る者の内面が浮かび上がってくる。