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フリオ・アナジャ・キャバンディング[Wunderkammer]@NANZUKA UNDERGROUND
NANZUKA UNDERGROUND(渋谷区神宮前)には、足を運びたいと思っていた。
Instagramをフォローはしていたのだけど、果たして気軽に行っていいものかと、躊躇していた。ハイブランドのショップに入るような気後れだ。
しかし同じくInstagramで、フリオ・アナジャ・キャバンディング「Wunderkammer」の詳細が告知され、これは行ってみたいと足を運んだ。「誰でも参加できる、作家を交えたレセプション」はさすがに場違いなので、そのあと、平日を選んで。
JR原宿駅から徒歩約10分、JR代々木駅からだと徒歩20分くらい。明治通りから原宿通り側に折れて、この広告の背後の路地を注意深く探すと、
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住宅街の中に、建物が見つかる。
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フリオ・アナジャ・キャバンディング「Wunderkammer」
ネタバレにならない程度に、まず、作家について。
キャバンディングは、1987 年スペインのマラガに生まれ、現在もマラガに在住のアーティストです。2018年に、マラガ大学ファインアート学科を卒業。地元マラガ市内の廃墟や橋の下、港など人があまり立ち寄らないような場所に、美術史上の著名な絵画を引用した細密な絵画をグラフィティとして描き、一躍その作品はSNSを通して世界中に知れ渡りました。(後略)
オリジナルとほぼ同寸の ピカソ「ゲルニカ」
まず1F。目を引くのは、
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ほぼ同寸法という、ピカソの「ゲルニカ」……の、
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ダンボールに描かれたヴァージョン、だ。
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導かれるように2Fへ。
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「既視感のあるものたち」がキャビネット展示
2Fは、こんな様子だ。
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そろそろ、「種明かし」を。
キャバンディングの創作活動は、廃材のダンボールや石膏ボード、板などを拾い集めることから始まります。そして、誰もが教科書で知っているような美術作品を、捨てられたゴミや荒廃した街の壁に描きます。それは、アートを神格化させるシステムへの強烈なカウンターであり、同時にエコシステムの中で生み出される絵画の最終形態とも捉えることができます。
かつてマルセル・デュシャンが既製品の便器を美術館に持ち込んだことと同じように、キャバンディングは美術史上の著名な絵画を美術館から街の中に持ち出します。どちらも、高尚なアートの存在をどこまで身近な存在とできるかという挑戦ですが、その手法は真逆です。キャバンディングの作品は、アプロプリエーションアートの亜種として説明することが可能ですが、更に美術館と公共空間(ストリート)、 耐久性とアートの価値といったテーマを複合的に捉えます。現在の美術館やアカデミズム を頂点とするアートのあり方に、一石を投じようとする 21 世紀の新しいアートの形と言えるでしょう。
今回の展覧会タイトル「「Wunderkammer」は、日本語では「驚異の部屋」と訳されるルネサンス後期およびバロック期に確立された様々なオブジェクトをその異なる起源で組み合わせて提示するキャビネットを意味します。キャバンディングは、本展のために恐竜の化石、古代エジプトのミイラ、ピカソやマティス、ゴッホや葛飾北斎、ウォーホルやバスキア、はたまたスニーカーから鉄腕アトムのおもちゃ、そして空山基やハビア・カジェハの作品まで縦横無尽に模倣を尽くした作品を制作し、それらをキャビネット方式で陳列してみせます。(後略)
キャビネットの詳細は
「キャバンディングは、本展のために恐竜の化石、古代エジプトのミイラ、ピカソやマティス、ゴッホや葛飾北斎、ウォーホルやバスキア、はたまたスニーカーから鉄腕アトムのおもちゃ、そして空山基やハビア・カジェハの作品まで縦横無尽に模倣を尽くした作品を制作し、それらをキャビネット方式で陳列してみせます。」
を、その順番で、切り取ってみよう。
古代エジプトのミイラ。
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ピカソ。
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マティス。
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ウォーホル。
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バスキア。
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スニーカー。
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鉄腕アトムのおもちゃ。
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空山基。
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ハビア・カジェハ。
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おまけ。
ゴッホ。
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草間彌生。
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マウリツィオ・カテラン。
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ゲームボーイ。
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「あえて」が、あふれる
ひとりの空間で、静けさのなか、とても興味深く鑑賞させてもらった。ギャラリーの方は感じがよく、写真撮影も「いいですよ~」という感じで、心ゆくまで愉しめた。
わたしの感想は、「あえて」があふれているなあ、ということだ。
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再び引用するならば、
(前略)かつてマルセル・デュシャンが既製品の便器を美術館に持ち込んだことと同じように、キャバンディングは美術史上の著名な絵画を美術館から街の中に持ち出します。どちらも、高尚なアートの存在をどこまで身近な存在とできるかという挑戦ですが、その手法は真逆です。キャバンディングの作品は、アプロプリエーションアートの亜種として説明することが可能ですが、更に美術館と公共空間(ストリート)、 耐久性とアートの価値といったテーマを複合的に捉えます。現在の美術館やアカデミズム を頂点とするアートのあり方に、一石を投じようとする 21 世紀の新しいアートの形と言えるでしょう。(後略)
廃材のダンボールや石膏ボード、板などを「あえて」拾い集め、そこに人類の遺してきたすぐれた創作を「あえて」完成度高く描く。さらには、あたかも貴重品であるかのように、それらをガラスケースの中に陳列する……もちろん意味がある。意図もある(意図しない意図みたいなものも含め)。
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「これってだれの、どんな(背景を持つ)作品だったっけ」と唸りながら、鑑賞者もつい、巻き込まれていく。
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記憶を辿る自分の脳内が、活気づいていく。アートの醍醐味。
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