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無限のつながりと[7人の侍] -向山喜章「Inishie・7」

 某日、六本木。Yutaka Kikutake Gallery 

 向山喜章「Inishie・7」(-9/7)
 イニシエ・シチ、と読む。

 内容がすこし難解に感じられるので、はじめに解説と記事を。

本展「古・7」(イニシエ・シチ)*1は、昨年開催された個展「Candle Flame・9」(キャンドルフレーム・キュー)で幕を開けた向山の新境地「祈りのひかり」三部作の第二弾となります。

七という数字、およびキャリア初期からの永いプランを原案に、普遍性ある名作『七人の侍』を御仏(みほとけ)の尊格(そんかく)に姿を重ね、抽象芸術として展開しています。

Inishieと題した本展中核を成す新作七点、映画の印象的なエンディングから着想したNijisame七点、ほか数点の新作群によって構成された展示空間に挑みます。

*1「古」…いにしえの解釈は様々。ここでは、神仏と先祖、先人、および、古典芸術の名作と先の巨匠への尊意を記す。

同上




予備知識なくして観た印象

 個展タイトルから7、という数字がキーワードであることはわかっていたけれど、7人の侍がモチーフであることはあとから知る。

 きちんと一列に、まるで整列するかのような本作は、しかし一点ずつをみれば実に個性豊かだ。

 個々が存在感を放ちつつ佇んでいながら、もし1作品だけを購入し切り離してしまったら、なにかが喪われる気もする。ここにこうして勢ぞろいすることが大切…その気配だけは感じ取った。

 その「プロローグ」としての小品も展示販売。


そして曼荼羅的な作品へと

 ギャラリーの半分は、絵画の展示スペースとなっていた。

 さまざまな彩りの中に、円のモチーフが共通していることは見て取れる。


「古(いにしえ)」の意味するところ

 ふと、ギャラリーのウィンドウ越しに外向きに展示してあった作品たちを思い出した。

 この世界観は、外に出ないと鑑賞できない作品にもつながっている…ということもできるし、そもそもこの展示空間には終わりもはじまりもなく、外に出た鑑賞者が再びギャラリー内に戻って…というループが仕組まれているかのようにも思える。

 冒頭に引用した解説の注釈にあったように、タイトルの「古(いにしえ)」の解釈は、「ここでは、神仏と先祖、先人、および、古典芸術の名作と先の巨匠への尊意を記す」。

 ガラス越しに通りがかった人を誘うような作品は、月の満ち欠け? 

 作品同士の関連性が大きな円となり、過去と未来との間の無数のつながりが生まれる。そして無防備な鑑賞者は、見えない動線に従って、作品から作品へと、心地よい鑑賞のループを繰り返すのだ。



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