「サーフ ブンガク カマクラ」が私に気づかせてくれたこと
11/23(木・祝)に行われたASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2023 「サーフ ブンガク カマクラ」@鎌倉芸術館 大ホールに参加しました。
私は20年ほどゆるくアジカンのファンです。毎回必ずツアーに行くほど熱心ではありませんが、数あるアルバムの中でも特に「サーフ ブンガク カマクラ(2008年)」が大好きなので、今年は「サーフ ブンガク カマクラ 完全版(2023年)」を手にすることができて、格別な喜びがありました。
🔹「サーフ ブンガク カマクラ」とは
2008「サーフ ブンガク カマクラ」
江ノ電の10の駅をモチーフに描かれた楽曲が収録されています。アジカンは横浜の大学のサークル出身なので、このような楽しいコンセプトアルバムが生まれました。アジカンを知らなくても、鎌倉や江の島界隈が好きだったり、パワー・ポップが好きな人にはおススメしたいです。
2023「サーフ ブンガク カマクラ(完全版)」
2008年には無かった残りの駅を含め、全15駅をコンプリート。もともとあった曲は新しいバージョンが収録されました。
昔の曲は撮り直しているから全体のトーンは統一されているけれど、新録された曲は現在進行形のアジカン目線で、雰囲気が違って面白い。最新のアジカンを感じさせる、大きく包み込むような愛情を感じて満たされます。特に「和田塚ワンダーズ」がお気に入り。
江ノ電の思い出
音楽は記憶を喚起します。私は江の島界隈が大好きで、一時期(10年ぐらい前)よく江の島で遊んでいました。このアルバムを聞くと界隈で過ごした当時の記憶が蘇ります。
弁天橋で映画「ピンポン」のペコの真似して「I can fly!」って叫んだり(川に飛び込んではいないけど)、大好きな人と「えのすい」や海沿いのカフェでデートしたり、趣味のフラダンス教室の仲間と江の島のハワイアンイベントに出演した帰りにカップルだらけの「江の島スパ」で女同士ではしゃいだり、七里ガ浜のお店で友達のハワイ挙式で着るための素敵なドレスを購入したり、海辺で集めたシーグラスと貝殻で小物入れを作ったり、「サーフブンガク」を聞きながら江ノ電に乗ったり。
時を経て、「サーフ ブンガク」の完全版を手にする日が来るなんて。何しろ江の島は人気の観光地なので、混雑を避けて足が遠のいているのですが、アルバムを聞いて久しぶりに江の島界隈に行きたい気持ちが湧き出てきました。だから今回のツアーも「鎌倉芸術館」を選びました。ここでアジカンを見ることに意義を感じたので。
ライブは想像以上に最高でした。大好きな「サーフ ブンガク」の曲と、今回のツアーにふさわしい楽曲が折り重なった最強のセットリストだと思いました。当時のことを思い出して懐かしくなったり、当時と今は違っていること、変わらないことなどを確認して、今までに味わったことのない温かな気持ちで満たされたのです。
その気持ちが自分にとってかけがえのないものだったので、ライブの感想と共に書き記しておこうと思います。
ライブは夕方からなので近辺を久しぶりに観光。まずは「鎌倉」から江ノ電に乗って、お隣の「和田塚」へ。
🔹お散歩MAPの「無心庵」へ
アルバムの初回生産限定盤に付属していた、「江ノ電周辺のお散歩MAP(湘南在住、ドラムのキヨシがセレクト)」で気になった老舗の甘味処「無心庵」へ。人気店ゆえ朝イチ(10時~)で訪問したところ、すんなり入店。「あんみつ」を食べました。ねっとりしたこし餡に、コクのある黒蜜が大変美味でした。
立地は「和田塚」駅の踏切すぐ向こうと言う変わったロケーションです。アトラクション感があって楽しい。
🔹長谷に馳せ参ず
アジカンの鎌倉公演に合わせて、江ノ電が粋なコラボ企画を実施してくれました。
いくつか企画がありましたが、観光もしたかったので、「長谷駅でアジカンメンバーへメッセージカードを書く」というイベントにのみ参加。
駅でアジカンが流れており、ファンが集まっているという光景が新鮮で嬉しくなります。窓口の駅員さんに「メッセージカードを下さい」と声を掛けたら、「合言葉は?」と聞かれて焦る。合言葉があるの知らなかった。そうしたら駅員さんが、「長谷(馳せ)ー!」と言ってくれたので、ピンと来て「サンズ(参ず)ー!」と答えて事なきを得ました。そう、「サーフ ブンガク」の「長谷サンズ(馳せ参ず)」が合言葉になっていたのでした。こんなやり取りもほっこりして楽しい。
メッセージは「七里ヶ浜スカイウォーク」にまつわるものにしました。リヴァーブがかかったような広がりのある音が海を彷彿とさせる、特にお気に入りの曲です。完全版が出た時も、まずは「七里ヶ浜スカイウォーク」から聞きました。「海辺のファーストキッチン 絶え間ない談笑に」という歌詞があるのですが、「実在のファーストキッチンは2014年に閉店しちゃったんだよな」と思いながら2023年バージョンを聞いたら、「海辺のファーストキッチン 今はない談笑に」とアップデートされていたので、びっくりして嬉しくなったのでした。ゴッチの粋な計らい。その嬉しさを伝えたいとカードにしたためました。
駅員さんが「メッセージボードを持って、この後ライブが行われる鎌倉芸術館に馳せ参じます!」って大きな声で告知していてくれたのも心がホカホカしました。江ノ島電鉄の皆さん、本当にありがとうございます。
その他、江ノ電とのコラボアナウンス企画があったのですが、後日音源としてリリースしてくれました。車掌さんが車内で駅名をアジカンの曲名に変えてアナウンスするという、とっても貴重な音源です。嬉しい!
その後、久しぶりに「鎌倉大仏殿高徳院」で大仏を見て、しらす丼を食べて、長谷から鎌倉まで歩いて買い物やお散歩を楽しみ、ライブ会場の「鎌倉芸術館」へ向かいました。
🔹キュートな江の島のセット
会場に入るとまず懐かしめの洋楽パワーポップが流れていました。今回のツアーにぴったりのセレクトで気分が高まります。中でもJimmy Eat Worldの「Sweetness」にめちゃくちゃテンションが上がりました。今も大好き。
後日、ゴッチとケンさんがセレクトしたというプレイリストを共有してくれました。こういうのオタクは大喜びです。
海の向こうに江の島が見える素敵なセット。江の島だけど、どこかカリフォルニアの香りもしてくるのは、The Beach Boysインスパイアのお揃いストライプシャツのせいかしら。
MCでゴッチがセットについて、「一説には山下達郎さんのパクリじゃないか」と話していたので笑いました。7月に達郎さんのツアーに行ったのですが、最初にアジカンのセットを見た時に私も「山下達郎テイストね」と思ったので。達郎さんはシティポップ意識で、海じゃなく都会のビル背景だったけどね。どっちも作り込まれた素敵なセットということです。
🔹ライブの雑感とセットリスト
・「出囃子、聞いたことあるけどなんだっけ?」と思ってしまってごめんなさい。完全版が発売される前に出た「半カートン(新曲のみを収録した先行配信EP)」に入っていたCARAMELMANのカバー「湘南エレクトロ」だった。「半カートン」はさらっとしか聞いていなかったからピンと来なかったけど、今回のツアーの出囃子に最適ですね。
・4人がほぼ横1列に並び、可愛らしいセットをバックにお揃いの衣装で演奏するという非常にコンセプチュアルなステージ。自分も大好きな「サーフ ブンガク カマクラ」の世界に紛れ込んだみたいな特別な気持ちになってワクワクしました。
席は2階席の3列目。会場の決まりなのか、1-2列目が全員着席しており、左右もほとんど座っていたので(たまに立つ)、視界が開けて大変見やすかったです。
ゴッチがはっちゃけて高くジャンプしてはしゃぎ回ってるのとか、ケンさんがドヤ顔でブイブイ言わせてるのとか、ついつい目と耳を奪われるキヨシの安定っぷりとか、控えめにスウィングするやまちゃんの存在感とか、美しい景色を2階から丸っと眺められる喜びを噛み締める。
特にキヨシを丸っと見ることができて嬉しかったな。ドラムは位置的に見えづらいことが多いので。キヨシのリズムの取り方(特にエイトビート)が好きで、いつも目を奪われてうっとりするのです。
・アルバムの1曲目「藤沢ルーザー」からスタートするのが心地よい。2008年の曲なので、歌っている内容(社会人の悲哀)や曲の感じが若々しいなと感じます。アルバムの順番通り「石上ヒルズ」に続いたので、このまま駅順通りでも面白いなと思いましたが、それはさすがになかった。
・「石上ヒルズ」は、アジカンメンバーが敬愛するweezerの人気曲「ビバリーヒルズ」のオマージュ曲です。私もweezerが好きなくせに、ゴッチに言われるまで気づきませんでした。言われてみるとテンポも、「石上ヒルズ」と連呼するところも、非常にわかりやすくオマージュされている。ゴッチがインタビューで「ビバリーヒルズのイントネーションで石上ヒルズって言ってみたかっただけ」と話していて笑いました。ファンってそういうものだよね。
冒頭のケンさんの空ピッキング、ライブだと2回やってた気がする。やりたかったんだなぁ(笑)
あと、間奏はNirvana意識だとインタビューで読みましたが、後奏のギターはクラプトンのLaylaが入ってるなと感じてニヤニヤしちゃいます。
「日坂ダウンヒル」を初めて聞いた時はすぐに「weezerのEl Scorchoですやん(笑)」と元ネタがわかって面白かったです。「サーフ ブンガク」は、そんなリスペクトに溢れた遊び心が詰まっているところも大好き。
・3曲目まで「サーフ ブンガク」の曲が続きましたが、4曲目に「荒野を歩け」が。アジカンのライブでは欠かせない人気曲です。いつ聞いても最高にハッピーな気持ちになります。
もともと「サーフ ブンガク」に収録するために作っていたそうなので、今回のツアーに相性が良いに決まっている。歌詞の「スケートボード」が当初は「サーフボード」だったんだ!と思うと余計にキュンとくるな。
・ケンさんがメインボーカルの「追浜フィーリンダウン」が爽やか。ツアーに1曲、ケンさんボーカル曲があると嬉しい。追浜は京急の駅ですが、海が舞台だし「サーフ ブンガク」のスピンアウト的な位置づけなのでナイスセレクトです。
ラストの軽やかなコーラスのハーモニーが気持ちよくて、これはもうビートルズだなと思いました。「Help!」って歌詞でも言ってるし。久しく聞いていなかったのですが、ライブ後にヘビロテして良さを噛みしめています。
・「腰越クライベイビー」のゆったりとしたリズムが好き。間奏のギターリフ、原曲よりもかなり高い音を鳴らしていたので、まるでカモメの鳴き声のように聞こえる不思議現象が。腰越でカモメが8回クライしていたよ。ライブマジック。
・ゴッチがおもむろに「NaーNaNaNa…」と歌い出した時は耳を疑いました。なんと2003年のアルバム「君繋ファイブエム」から「その訳を」が披露されました。そんな昔の曲がぶっこまれるとは予想できなかった。客席が歓喜でざわつきました。でも「サーフ ブンガク」の曲と一緒だと馴染むな。
・「サーフ ブンガク カマクラ」というタイトルの元ネタは、weezerの「Surf Wax America」という曲です。最初知った時、「なるほどダジャレ(笑)」と思いました。
関連性が強固なので、本編で「Surf Wax America」のカバーが披露された時は会場も大盛り上がり。カバーは過去にも披露されていますが、私が聞いたのは遥か昔だったし、アジカンバージョンはAメロが日本語歌詞なので、始まった時は「あれ?こんな極端にweezerっぽい曲あったっけ?」とまぬけな勘違いしたほどでした。日本語訳以外は原曲にほぼ忠実なので、「そうだカバーやってたじゃん!うわあー!」とワンテンポ遅れて大喜び。
間奏で山ちゃんがボーカルを取り、メンバーがワイパーを客席に煽るというピースフルな構図。ラストは「Let's Go!」という歌詞なのですが、ゴッチが荒々しくシャウトするのを聞いて、weezerのリヴァースのシャウトを彷彿としたよ。
私はエルレガーデンの細美さんやゴッチの影響でweezerを好きになり、来日の折にはワンマンライブに参加するようになりました。本家の「Surf Wax America」を何度も聞いたことがありますが、だからこそゴッチとリヴァースが重なって面白かったです。
日本語歌詞部分を起こしてくれている方がいて感謝です。「行こうサーフィン」って言う和訳がシンプルで可愛くて好き。
・「柳小路パラレルユニバース」は、アウトロが「出町柳パラレルユニバース」といういかした演出でした。アウトロ以外はあまり違いはないのですが、「出町柳」の最後は「歌えラールラー…」「セイ!」という歌から、サイケな響きのアウトロに突入します。どことなくKula Shakerを彷彿とする、インドっぽい響きのセッションが快感。ずっと聞いていたい。
・「ループ&ループ」と「アンダースタンド」が立て続けに。今でも披露される頻度の高い初期の人気曲ですが、やっぱり何度聞いても当時の気持ちに引き戻される気がします。今もやり続けてくれることが嬉しい。
・「和田塚ワンダーズ」はスケールが大きくて包み込まれているように感じます。安心できるような心地良さがあって、じんわりと温かな気持ちになり、自然と涙が溢れて来ました。いつの頃からか、アジカンに父性を感じるようになったのですが、「和田塚」にもそれを強く感じます。
・「和田塚」が本編ラストかなと思ったら、さらに「ボーイズ&ガールズ」が。2018年の曲で、まさにこの曲からアジカンに父性を感じると私は感じ始めました。ゴッチがインタビューで『「蛍の光」みたいにライブの最後でやると締まる』と言っていたけれど、「和田塚ワンダーズ」だけでも締まったと思っていたのに、さらに「ボーイズ&ガールズ」が来てダメ押しで抱擁されてしまったのでした。
・アンコールも素敵な流れでした。1曲目の「ソラニン」は人気曲なのでサービスかな。好きだけど、毎回やらなくてもいいと思っています。そう言えば今日は「リライト」はやらなかったな。良かった。
そこから「遥か彼方」「羅針盤」が続いたので、嬉しくて声が出て心拍数がガン上がりです。アジカンを好きになってライブに行き始めた頃の曲。バンドのキャリアを重ねるにつれ、色んなタイプの楽曲やアルバムが作られて来たけれど、やっぱりこの頃の直球パワーポップは永遠に好きだし、彼らもやり続けたいんだろうな(だから「サーフ ブンガク」もできた)と、今日のセットリストを聞いていて感じました。
昔の歌を歌う時、高い音域が少し苦しそうかも?と思うことがありましたが、それもまた歴史を感じるし、味があって好きだなと思います。
・ゴッチが「これから歌う曲は無力さを歌っている曲。それでいいと歌っているんじゃなくて、丸裸のまま世界に転がっていく決意に満ちた歌です」と紹介して、「転がる岩、君に朝が降る」が始まったのも嬉しかったです。
この曲を聞くと、必ず10周年の横浜スタジアムのライブ(2013年)を思い出すのです。シークレットでゲスト出演したストレイテナーのシンペイ(カホン)と、ゴッチが2人きりで「転がる岩」をしっとりと演奏してくれたことが忘れられません。雨が少し降っていて、その時の空気の匂いまで思い出します。
あれから10年経って、色々と自分が変わった部分もあるけれど、今もあの時と変わらない気持ちで曲を聞けることや、アジカンが今もバンドを続けてくれていることが幸せだなぁと心底思うのです。大サビの前のキメ2回で、照明もピカピカ2回点灯したのがエモくて泣けました。
・ラストは「サーフ ブンガク」の終着駅、「鎌倉グッドバイ」でした。もう十二分過ぎるぐらいに曲をたくさんやってくれたので、まだやっていない曲があったことを忘れていたぐらい。セットが星空になって、終演にふさわしい演出でした。
・MCで「キャリアの中から厳選した、アルバムの間に挟まってもおかしくない曲を選んだ」とゴッチが言っていましたが、最高のセットリストだったなと大感動です。アジカンの血の中にweezerはもちろん、Oasis、ビートルズ、Kula Shaker、ストーンズ、Nirvana…色んな偉大なミュージシャンが脈々と流れているのだなぁと、改めて音楽の歴史や素晴らしさを感じたりもしました。
・最後、4人が可愛らしいセットの海のお家のドアを開けて退場するという完璧な演出。客席に手を振ったりピースするおじさん達の愛くるしいこと。4人が退出して、客席からは歓声と拍手が上がり、お客さんのあり余る賞賛や満足感が会場に満ち溢れているのを肌で感じたら、さらに感激して涙がこみ上げました。
🔹サーフ ブンガクが私に気づかせてくれたこと
15年の時を経て大好きなアルバムの完全版が発売され、思い出深い場所でライブを見ることができて、とても充足感がありました。チケットの倍率が高かったそうですが、ファイナルを引き当てることができてラッキーだったなと思います。「前回のツアーに皆が来ないから、キャパを読み違えた」とゴッチがぼやいていたけれど(笑)
心地よい充足感を抱えて帰宅したのですが、寝る前にライブのことを思い出していたら、なぜか号泣していました。ライブ中や終わった後に感激して涙を流したけれど、それとはちょっと違う感覚。この感覚はなんだろうと考えてみたのですが、「自分が音楽に肯定されていると感じるから」かもしれない、と思い当たりました。
最近、そこはかとない「生きづらさ」を感じており、その原因を探って取り除くために心理学の講座に通って勉強をしています。私はいわゆる機能不全家族で育ち、幼少期は父親に「お前なんて死んでしまえ」「お前なんか1人じゃ何もできない」と否定され暴力を振るわれる環境が当たり前でした。昭和の時代、父親が子供を殴るなど珍しくもなかったし、それが普通だと思っていました。
親に十分な愛情や安心できる場所を提供されずに育つと、大人になってから自分に自信を持てなかったり、人を心から信頼したり頼ったりすることに抵抗があったり、自分は生きていて良いのかと言う思いが無意識に働いて、生きづらさの原因になることがあるようです。テストで良い点を取った時にだけ褒められたので、「自分は頑張らないと存在する価値がない」と言う間違った思い込みが刷り込まれる場合もあります。他にも多数のケースがありますが、私は恐らくこの辺りのことが「生きづらさ」の原因となっているのだろうと感じています。
そんな私ですが、小さい頃から音楽が大好きで、ライブを見ている時は幸せな気持ちで満たされます。音楽は自分を傷つけたり否定しないので。
今回、15年前から好きな「サーフ ブンガク」と、新たに大好きになった最新の「サーフ ブンガク」を改めて意識する機会があったお陰で、「ずっとアジカンを好きで良かったな」「お陰でずっと楽しいな」「アジカンの音楽はいつも自分の存在を肯定してくれる」と思えたのだと思います。
ひいては、私は「音楽を好きな自分を肯定してあげることができる」と気づいて、安心したのかもしれない。そんな安堵が涙となって溢れて来たのだろうと自分なりに分析しました。
そう言えば「和田塚ワンダーズ」の歌い出しって「派手に泣いて良いぜ それはだって命の在処だよ」ではないか。ライブ中は歌詞を強く意識して聞いてはいなかったのですが、潜在意識の中で「泣いて良いぜ」って肯定されて、それで涙が出たのかもしれないなぁ。
音楽そのものは私を傷つけないけれど、たとえば「どうしても行きたいライブなのにチケットが取れない」という事態に、必要以上にショックを受けている自分に気づくことがあります。転売ヤーに搾取されている時などは特に。恐らく「私を傷つけないはずの音楽に否定されている(=事実ではない、私の歪んだ解釈)」と自動的に受け取ってしまうのだろう。
ライブ前に、「鎌倉芸術館」の最寄駅「大船」にある巨大な観音様を拝観しました。この一帯の空気が良くて、非常に気持ちが良かったです。スピリチュアル的な信仰はないのですが、沖縄や小豆島などのパワースポットに行った時と同じような気の良い風に「祝福を受けている」と感じました。鎌倉の大仏様も同じく。なんだか生きる力が沸いてくる気さえする。たまにこういう自然やパワースポットに無性に触れたくなるのですが、それは無自覚に「大きな力に自分が肯定される」と知っているからなのかも。
アジカンが15年の時を経て、このタイミングで完全版のアルバムを出してくれて、鎌倉でライブをやってくれたことが、自分のタイミングにピッタリだったなと感じて、忘れられない1日になりました。
🔹番外編:七里ヶ浜の思い出
七里ヶ浜が好きで一時期よく行っていました。「七里ヶ浜スカイウォーク」に登場するファーストキッチンや、その跡地も訪れたことがあります。雰囲気は良いのだけど、夏場は非常に混むので、また行くなら冬かな。
当時「ムームーヘブン」というハワイに本店があるドレスショップがありました。友達のハワイ挙式に参加するために、ここでドレスを買ったことも思い出深いです。七里ヶ浜って、ちょっとハワイを感じるよね。
七里ヶ浜で買ったビンテージ布で作られたドレスをハワイで着ていたら、結婚式が行われたカハラホテルのフロントの女性に「素敵ですね、ムームーヘブンのドレス。私、カイルアのムームーヘブンで働いていたことがあって、このドレスが入って来た時のこと覚えています(ドレスは全て1点ものだから)。七里ガ浜店は閉店しちゃうんですよ。カイルア店にぜひ行って下さいね」って言われてすごく嬉しかったことを覚えています。
だって、ハワイのカイルアから七里ガ浜へ旅したドレスが、再びハワイへ舞い戻り、それを見つけてくれた人がいるって素敵じゃない?
もう着る機会はなかなかなさそうですが、断捨離が大得意な私でもこのドレスは取っておきたい。見る度にハワイと七里ヶ浜の素敵な空や海を思い出します。
🔹鎌倉・大船観光記録
こちらに書きました。美味しいものいっぱい!