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純粋さを隠さなかったロックバンド全身全霊の20周年武道館
2024/7/24@日本武道館
UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE
ROCK BAND is fun
座席:2階南西
ロックバンドが結成20周年の記念ライブを武道館で3Days行いました。初日の雑感です。個人的な感想多め。
🔹20周年武道館への思い
田淵が「20周年は武道館で」と昔から言い続けており、10周年の時も「まだ早い」と渋ったエピソードがあります。それは敬愛するブルーハーツやthe pillowsを始めとする先輩方の背中を見ているから。
今では若手も気軽に武道館でやる風潮となりましたが、武道館へのロマンを持ち続けているのが田淵らしくていいなと思います。私もその世代なので。フラワーカンパニーズが満を持して結成26年目で初めて武道館公演をした時に、多くの仲間やファンに祝福されているのを目の当たりにして、とても感動しました。
バンドを20年続けるのって本当に偉業です。田淵がラジオで「バンドの存続は歴史的にも10年が普通だった(ブランキー、ミッシェル、ブルーハーツなど)。2000年代になって意外と長く続くバンドが出てきて、それがかっこいいということが証明されて来た。20年やるのはすごいことだと世の中に声高に言っておきたい」「バンドが解散した時に『解散すると思わなかった』と言うリスナーを見かけるが、『そんなわけない』と言いたい」と話していたのが印象的です。
私も同意します。20年以上色んなバンドを見て来たのでよくわかる。
存続には多くの努力が必要です。理想の音楽を求めて自分達が飽きないよう工夫しながら制作とライブを定期的に行い、メンバー同士ほどよい距離感でリスペクトし合い、一定数のファンを獲得し続け、スタッフ達に愛され応援されるという努力。
生活が立ち行かなくなるとか、メンバー同士の仲違いだとか、やるせない理由で休止や解散を余儀なくされるバンドはたくさんいる。
「ライブが楽しい」という揺るぎない理由はあるにせよ、3人とも色んなことを上手にバランスを取ってやって来たのだろう。
MCで田淵が「俺たちは才能があった」と話していましたが、音楽以外も含めての才能だと納得しました。貴雄が田淵のことを「軍師」だと言い、それを忠実にこなす2人と表現していましたが、そういうところも才能です。
先日、雑誌「MUSICA」で田淵とクリープハイプの尾崎さんが対談しましたが、尾崎さんが「他のバンドを見ていて、こういうところを見たくないなと思うこともあるけれど、ユニゾンにはそれがない。やっぱりプロとしてバンドをやっている人達だなと感じます」と話していて、私も全く同意です。
見たくもないのに内部のゴタゴタを見せつけられて胸を痛めるというのはファンとして望まない体験よ。プロフェッショナル魂を持ち続けることができるのも才能のひとつ。3人ともすごいなと心から尊敬するし、プロ魂がかっこいいと思っています。
「101回目のプロローグ(2020年「Patrick Vegee」収録)」で、「本当の気持ちを話すのは4年ぐらいは後にするよ」の歌詞が「本当の気持ちを話すのは今日ぐらいしかありえないだろう」にアレンジされていました。アニバーサリー武道館を見据えて、4年越しの壮大な伏線が回収されると言う、田淵らしいロマン溢れる仕掛け。さすが軍師。
20周年以降のことはあまり考えていないとよく話していますが、20周年を目標に胸にやってきたことがよくわかりました。私はこういう仕掛けを好むバンドを他に知らないので、田淵のこういった思考もユニゾンの大きな個性であり武器であり才能だと、またしても思い知らされました。
🔹武道館3Daysの理由
「なぜ3Days?」とまず思ったわけですが、その方が会場を抑えやすかったという業務的な理由をインタビューやラジオで話していました。日比谷野音も抽選に当たるのが困難だとよく聞きます。武道館も当然だろう。
田淵「結成日の7月24日に武道館を押さえてほしい」というのは5年前から言っていたんですが「連続した複数日のほうが取れる可能性が上がるかもしれない」ということで、3日間取ってもらいました。ただ、自分にとって結成日に武道館でワンマンをやることに大きな意味があったので「じゃあ、残りの2日は別のことをしよう」と言って企画を立てた。そういう順序ですね。
「違う内容なら全部見たい」と思うのがファン心理。だって全部面白そう。1日目は3人で、2日目はオーケストラと一緒に、3日目は長年の同志であるクリープハイプとの対バンです。
それなりにチケット争奪戦はありましたが、1日目は譲ってもらい、2日目はFCで当選、3日目はe+で注釈付が取れたものの、せっかくなら注釈なしがいいと欲を出し、機材席解放のタイミングで何気なくチャレンジしたらサクッと普通席が取れてラッキーでした(注釈付はお譲りに)。
🔹私の10周年と15周年
私が初めてユニゾンのワンマンを見たのは前回の武道館でした。この時はまだ完全にファンではありません。何せとっとと帰りたい気持ちと拮抗しているレベル。
ユニゾン武道館迷うわー。1830開演だから間に合わないし、明日資格試験の最終だからとっとと帰りたい気もするし( ´_ゝ`)
— ミ~ア (@a_meerkat) July 24, 2015
見切れ席の当日券でユニゾンスクエアガーデンの10周年武道館見てきたー。会場を熱気を受けまして、全然ファンじゃないのにあたかも10年応援してきたかのような気持ちになって感動しましたよ!図々しくてごめんね!それほど素晴らしいライブだったということです。
— ミ~ア (@a_meerkat) July 24, 2015
結果的に行って大正解です。遅刻したため、頭から聞けたのが3曲目の「MR.アンディ」からでした。どうしてもトイレに行きたかったので、2曲目の「リニアブルーを聴きながら」はおしっこしながら聞いたわ。今となっては貴重、トイレのBGMがユニゾンの生演奏だなんて。
当日券だったのでステージ真裏の天井席でした。「こんな場所まで客入れるんだ?」とユニゾンの人気に驚きました。空調が届かないので座っていても汗がじっとり。メンバーの頭しか見えず。後にも先にもあのような席で見ることはないだろうと思いました。
「フルカラープログラム」が始まった途端、会場の空気が変わったのが印象的でした。この曲はファンに特別な思い入れがあるのね、と実感。そのせいか、今でも「フルカラー」を聞くと、どこか外野サイドから眺めている自分がいます。
15周年は大阪で野外だったのと(私は東京在住)、前日はフジロックに参加しており肉体的に厳しかったこともあって欠席しました。ヘタレでごめん。記念とお祝いでチケットは買ったので未使用のまま今も手元にありますし、もちろんブルーレイで見ましたが。
ファン歴が浅いので、長い人に比べると周年に対する思い入れが薄いのかもしれません。もちろんお祝いの気持ちはあるけど、私が一番見たいのは普通のライブツアーだから。
20周年でようやく自分もユニゾンのファンの一員であるという自覚というか気持ちが強くなってきたので、このタイミングで存分にお祝いができて光栄でした。
🔹ライブの雑感
#USG20th Anniversary
— USGinfo (@USGinfo) July 24, 2024
2024.07.24 ROCK BAND is fun@日本武道館
バンド結成20周年おめでとうございます。
お祝いしてくださった皆さま、ありがとうございました!#USG2024 pic.twitter.com/VMB4rRdn7v
ライブレポートはナタリーがいち早く上げてくれて大変嬉しい。MCがばっちり書き起こしてあります。
3日間参加して記憶もだいぶ飛んでいるので以下雑感です。
・3人は相変わらず3者3様。宏介からはどっしりと根性据えて引っ張って行くような頼もしさが、貴雄からは自分の役割(ドラム以外も含め)を500%に出し切ってやるという気概が、田淵からは溢れ出る奮起とサービス精神が感じられました。
Xのトレンドにユニゾンがスポーツのトレンドとして入っていましたが、(武道館がスポーツ属性だから)、マジでユニゾンはアスリートだと思う。
・「絵の具」がフルで流れた後、セッションから。静かな曲調で、頭の優しいメロディーが「大きな古時計」を彷彿とさせました。まだベストアルバムを受け取っていなかったので新曲を聞いておらず、「もしや噂のロックバラードな新曲?」と思いましたが関係なかった。セッションから「Catch up, latency」へ。
「敬具 結んでくれ 僕たちが正しくなくても」という歌い出しアレンジでした。この歌い出しに、バンドの渾身のメッセージが詰まっているのでは、と今さら感じてすごくジーンと来ています。
ユニゾンはずっと同じメッセージを歌い続けている。自分達の行く道は間違っていないだろうか?と手探りながらも「君」との約束を大事に進んできたバンドが、真っ先に放った「敬具 結んでくれ 僕たちが正しくなくても」という祈りのようなメッセージ、伝わるものがあり余すぎて。
そして記念日だからこそ「純粋さは隠すだけ損だ」と高らかに宣言し、本当の気持ちを話してくれたんだなぁと思って、この上なくピッタリな1曲目だと思いました。「純粋さは隠すだけ損だろう?」というフレーズが好きです。田淵らしくて。
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「“SUB MACHINE, BEST MACHINE” museum」にて
・セットリストは、意外と昔の曲をやらずシングルが多いと言う印象。アルバム別に見たら、流星前夜 1、UNISON 3、Populus 2、CIDER 1、CITS 1、Izzy 2、MMM 4、Vegee 8、Ninth Peel 4。「JET CO.」からはゼロなのは武道館向きではないからか、でも「ライドオンタイム」や「23:25」はピックアップされても良さそう。
「Patrick Vegee」からは8曲も。15周年以降のアルバムであり、今日の核となる「101回目のプロローグ」と「春が来てぼくら」が収録されているからか。BESTのBOXに宇宙服のパトベジウサギさんが起用されていますが、それはパトベジの曲を武道館で多めにやることと関係あったのか、ないのか。
CIDERとCITSはリバイバルツアーをやったので、必然的に最新寄りが多かったのかもしれません。
・田淵がMCで「『ついて来てくれ』とは思ってなかった」と言っていましたが、「いやじゃない?ならばついて来てよ」と歌っている「サンポサキマイライフ」も入っているのが面白い。この頃はまだ「ついて来て」っていう希望と理想があったのかもしれないな。
・「Dizzy Trickster」は、どうしても私はthe pillowsを連想するので、結成20周年で初めて武道館をやったthe pillowsへリスペクトを込めての選曲なのかなと解釈しました。ピロウズだけでなく他にも田淵が背中を見て来た先輩方も含むかも。
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「“SUB MACHINE, BEST MACHINE” museum」にて
・前回の武道館と同様に客席は360度ぐるりとお客さんが入っている。圧巻。前回は当日券もありましたが、今回はなかったはず。それだけ人気が増したということだろう。
特に貴雄と田淵は、バックスタンドのお客さんにも配慮してサービスする姿が多く見られました。
「恋する惑星」でステージを広く使って跳ね回る田淵。この曲を空間の広い武道館で聞けて気持ちが良かったです。3日間通して思いましたが、武道館は立体的な作りなので、小宇宙感が増す。ピンクの可愛らしい小宇宙。2階スタンド席だったのですが、そのお陰で美しい照明越しのステージを堪能できました。
・エレクトロなエフェクトがかったベースのスラップと言えばこれしかない「Hatch I need」。からの「マーメイドスキャンダラス」はアルバムの並び通りで快感を覚えます。「Patrick Vegee」優位のセトリだからこそできた並びかな。
・特別な日ではありますが、今までのライブでもおなじみの照明が適用されている曲がたくさんありました。「オリオンをなぞる」はブルーの照明とたくさんの星が瞬いているような投影。クリーンなギターの音と照明を浴びると、感動していつも涙が出てしまう、なんと美しい曲だろうと思って。ステージにもミラーボールが設置してあり、下から上へ伸びていく光が好きです。
バラード枠で選ばれたのは「もう君に会えない」で、普段「クローバー」などで適用されるかなり暗い照明。「世界はファンシー」で、ど頭で3人に上から違う色のピンスポが降って来るのも、「101回目のプロローグ」や「フルカラープログラム」の七色もお馴染み。「Phantom Joke」の「物語がゴミになる」で宏介に真っ赤なピンスポが当たり、それ以外がモノクロに染まる印象的なシーンも通常運転。
前回は特効もあったから、もしかして今回も?と思いましたがありませんでした。もちろんスクリーンも無し。あってもなくてもいいけど、ないという選択が彼ららしい。
・「オトノバ中間試験」と「世界はファンシー」が並ぶのが面白い気がしました。2曲とも私の中で同じような役割だと思っていて(変化球担当)、続けて聞けるの贅沢で楽しい。
・普段のツアーではやらなくなったMCですが、今日はさすがに話す時間が長かった。宏介が、バンドを結成した直後から音楽性と人間性の違いを抱えていた3人だと話します。
人間性が違うのはよくある事だろうけど、最初から音楽性が違うのに集まったバンドって珍しいよな、と今さらながらこのバンドの特異性を再認識。
私はユニゾンを知るより先に、他バンドのイベントにソロでゲスト出演し、洋楽をエモーショナルに歌い上げる宏介に魅了され、「XIIXのようなバンドをやっているに違いない」と思い込み、ユニゾンの曲を聞いてショックを受けた過去があります。だって音楽性が全然違ったから(XIIXを結成してくれた時はめちゃくちゃ腑に落ちた)。軍師と忠実な2人がいて、才能があったからなのだと今なら理解できます。
そして「いつかの鈴木少年は…」「いつかの田淵少年は…」「いつかの斎藤少年は…」と昔の自分達について語り始めます。(詳細は「ナタリー」のレポートが詳しい)。
宏介が大学時代に自堕落な生活を送っており単位が危なかったことは有名ですが(ソースは懐かしの「斎藤デイズ」)、パチンコとパチスロの二刀流だったのは知らなかったので大いに笑いました。クソじゃねぇかwww
でもだからこそ、今では多くの人に愛され尊敬されるギターとボーカルの二刀流になれたことが余計にすごいと感じます。"もっと褒めてくれていいよ?"と言わんばかりの満面の笑みが最高でした。
「いつかの少年が大事に大事にユニゾンを育ててくれたお陰で今日を迎える」っていう曲フリが良かった、3兆点のMC。笑いも取れて感動も与える内容を一生懸命考えてくれる、こういうところがエンターテイナーであり、優等生だなぁと思います。
こうして大成功を収めて中年になり、「いつかの少年」を振り返って演奏するのって素敵だなとしみじみ。やたらと2人のコーラスが映えていて聞き入りました。きっと3人も色んな気持ちを噛みしめながら演奏していたことだろう。20周年にふさわしい選曲だなぁ。
・この日、大役を担っていた「101回目のプロローグ」。「本当の気持ちを話すのは今日ぐらいしかありえないだろう」と歌詞がスペシャルアレンジされていたこともありますし、こんな日を分かち合うのにこれ以上の適任はありません。
照明も祝福感に満ち溢れていました。世界が七色になった後、上から下から矢のように投影されるカラフルな照明が空中で交差して、2階から見下ろすと七色が立体的に表現されており、柔らかく美しい色彩に癒され温かな気持ちになりました。
・特別な日なので貴雄と田淵もMCがありました。「今日のMCはながいよー(笑)」と、普段のライブではあり得ないフレーズが貴雄から飛び出します。客が自主的に座り出し、「そうそうスーパーのレジも皆座ろうよ」と時事ネタを織り交ぜる貴雄に会場から笑いが起こります。(宏介と田淵も貴雄の方を向いて座り出す)
貴雄の話は「熱と循環」について。ドラムをやる意味があるのかと思いつつも、自分が焚火となり、薪であるファンやスタッフから熱が返って来るからやり続ける、というお話(ざっくり)。
「10できる天才が8,9出したライブより、1しか持ってない人が1を出し尽くした人のライブの方が感動するから、定期的にお客が少ないインディーズバンドを見に行って熱をもらっている」というエピソードが貴雄らしいなと思う。周囲に感謝を述べながらも、最後に「このバンドがかっこいいのは俺のおかげ」と断言。異論はありません。
その熱いトークの後でやりづらそうな田淵。
田淵「ギャップを埋める言葉を考えている…パチスロってどうやって当てるんすか?」
斎藤「においがする(ニヤリ)」
田淵「はっはっはっ!!!(手を叩いて爆笑)」
熱い話から軽薄な話へ、見事にギャップが埋まりました(笑)
先日後輩と飲んだら「ユニゾンは三人がバチバチだからかっこいい」と言われたが、バチバチしたくない、平和が一番だから。でもそうでないとできないバンドがあったんだなと思う、と話す田淵。
そして宏介と貴雄に最大の賛辞を贈った後に「他約1名」と逃げたものの、「つまり俺たち才能があったってことっすね!」と力強く断言したのは、すごく良いシーンだったなぁ。
先日、宏介がラジオで「ユニゾンはスポ根である」と例えていて面白かったのですが、バチバチってそういうことだと思うけど、田淵としてはちょっと無理してそういう一面を引っ張り出してやっているっていうところもあるのかな。そのお陰でここまで来れたわけだけど、「バチバチしたくない」ともらした本音に心が動きました。
・先ほど「よろしくね はじまりだよ」という曲が終わったと思ったら、ここからまた追い打ちをかけるように「かくしてまたストーリーは始まる」という祝祭感に溢れる曲が始まったのが晴れやかで、この流れがすごく好きでした。
・「スロウカーヴは打てない」がチョイスされるとはあまり考えていなかったのでイントロで大喜び。間奏の自由なギターがいつも楽しみですが、今日は元ネタであるthrowcurve「連れてって」と同じキーだったので、その遊び心が楽しくて笑ってしまう。throwcurveのナカムラさんは、今回の武道館グッズデザインや、3日目の横断幕の制作にも関ってくれているので、感謝の気持ちを込めてというのもあったのかもしれません。
最後はレイテンシーを埋めるのではなく、「つまりジョークってことにしときます」から「Phantom Joke」に繋がったのも興奮ポイント。
昨年開催された「スロウカーヴは語れない」というイベントで、ナカムラさんが「スロウカーヴは打てない」をカバーしてくれたのですが、ラストを「つまり表現は自由なのです」と替え歌して、自身の「表現は自由(that made me mad)」へ突入した流れが気持ち良かったことを思い出しました。
あ、ギターソロと言えば「サンポサキマイライフ」の間奏と、「スカースデイル」の後奏ギターソロもかっこ良かったな。
・そして貴雄の見せ場ドラムソロ。いったんMAXに持っていってから仕切り直して、さらにタイトにストイックにクライマックスへ展開。クライマックスへ向かって暴れまくる様子が好きなのですが、2階から眺めていて、上から横から白い照明に照らされ、ドラムセットごと宇宙空間を高速でワープしていくかのような幻想的なシーンでした。アニメみたい。いつかの少年から、中年の貴雄へワープしていく、みたいな(笑)
・ラストスパートで「天国と地獄」「君の瞳に恋してない」「カオスが極まる 」「シュガーソングとビターステップ」の流れが盛り上がりましたが、「君の瞳」から「カオス」の繋ぎがちょっと意外です。陽から陰に急ピッチで切り替わるのが面白くて贅沢で。
曲の前に短いセッションが挟まれるシーンが何度かありましたが、「天国と地獄」の前のセッションが一番アグレッシブでロックバンドらしくて好きだったな。
・「シュガーソング」が終わった後に、田淵が「今ので終わりでーす」と発言。予定調和のアンコールを好まないバンドゆえ、いったん引っ込みたくないから、苦肉の発言なのだろう。
🔸田淵のMC
そこから今日のハイライト、田淵のMC(「ナタリー」より)。
田淵「僕たちには才能があった。けど才能で、信念で、渾身の1曲で、世界は別に変わらなかった。20年間、信じる音楽をやり続けられたのは才能があったからだけど、それでもやっぱり世界が変わらなかったのはつまらなかった。楽しいことばっかじゃないからさ。ロックバンド続けるのってやっぱり大変なのよ。だからときにそれはロックバンドをあきらめてもいい理由になった。ときには前を向けなくて、誰にも気づかれないように後ろを向いた。
そうしたら君がいた。『ついて来てくれ』とは思ってなかったけど、ずっと見ていてくれることがこんなにうれしいことだと思っていなかった。君が好きなロックバンドは君がずっと好きでいてくれたからここまで来れた。ロックバンドをあきらめなくてよかった、ありがとう」
純粋さは隠すだけ損だからと、本当の気持ちを今日話してくれたことに、不意を突かれて感動してしまいました。涙を拭いている人が多かった。今日は泣くことはないだろうと思っていたのですが(ユニゾンのことなのできっと通常運転かと)、思わぬ言葉に落涙。
特に「そうしたら君がいた」「ずっと見ていてくれることがこんなにうれしいことだと思っていなかった」と言うところ。「見ていてくれることがうれしい」と言われることがこんなに胸に響くだなんて、私も知らなかった。まるで自分の存在を肯定してもらったかのような気持ちになりました。
Xのフォロワーさんが「ブログもMCも、小生が語る「君」に自分は含まれてないっていうどこか他人事でいつもいるんだけど、724の「君」は図々しいけど初めて自分も含まられてるって思った」ってポストしていて、めちゃくちゃ同意しました。私もそうなのです。
初めての武道館の「フルカラープログラム」で周囲の熱に置いてけぼりになった気持ち。ブログで語られる「君」は、自分は該当しないだろうと思う事も多々。私がひねくれていることや自己肯定感が低いこと、自分よりもユニゾンのことが好きで好きでたまらない熱狂的なファンが数多いること、自分はユニゾンよりも長きに渡って好きなバンドがたくさんいるし、という理由もあります。私ごときがね、という思い(自己肯定感低い人間あるある)。
バンドとファンの関係性は、感謝で成り立つ方程式であると理解はしますが、こちらが一方的にファンになって勝手に聞いているだけ、という意識もあります。別に礼を言われることのほどではない、みたいな(ひねくれ)。
でも、田淵が肉声でこう語ってくれたから、初めて自分事として受け取れたのだと思います。ブログやインタビューの文章だったら、ここまで胸を打たれないだろう。言葉も、極力伝わりやすいようにシンプルに選び抜いたのだろうなと思って、その心遣いが余計に泣けました。
席が遠かったので表情がはっきり見えなかったのは少し残念でありましたが(田淵の感情豊かな表情が好きなので)、今までに聞いたことのない声のトーンからピュアな思いを感じました。MCもブルーレイに入るといいなぁ。
自分1人がファンをやめたとて、何一つ変わらずユニゾンは今まで通り転がり続けるだろう。でもこの日、自分も「君」に含まれるのだと、この場に胸を張って存在できるのだと感じて嬉しくて、今も思い出すと涙が溢れます。
そして武道館3Daysに集結したお客さんを見ていて、(配信見ていた人も含め)全員が正真正銘「君」であり、1人1人が支えてきたからこそ今のユニゾンがあるのだと、頭ではなく肌で実感できた気がしました。
「CIDER ROAD」で音楽界は土下座しに来なかったし、「春が来てぼくら」が作曲的な意味でどんなに傑作かと騒がれることもなかった。
田淵の意図通りに世界は変わらなかったのかもしれないけれど、世界を変えたいという志を持っただけでもすごいと思うのです。
そしてユニゾンの影響でほんの少しでも世界が変わった人は間違いなくいっぱいいる。私もその1人。どうにもならない人生の辛さを感じていた時期に出会ったので、振り返るとユニゾンにとても助けられていました。
それは今も。ファン歴は長くはないけれど、ベストのタイミングで出会えて良かったと思っています。
音楽で戦争は無くなるのだと本気で信じてメッセージを訴え続けたり、後続のために自費でレコーディングスタジオを制作したり、震災で被害を受けた人々のために継続的にボランティアをしたり、それぞれのやり方で身近な世界を変えようとしているバンドマンはたくさんいます。
田淵も、メジャーどころが席巻するようになったアニメソング界隈で、才能ある人たちにスポットを当てようと活動をしています。そういうことでも世界は変わっているはず。それも素敵なことだと思います。
あと「ロックバンド続けるのってやっぱり大変なのよ」っていう一言に、想像し難いあれこれが詰まっていてぐっと来ました。だから私は無責任にエゴで「解散しないで」なんて、どのロックバンドにも言いたくないのです。彼らの人生なので。
そのMCの後に、田淵の"渾身の1曲"である「春が来てぼくら」が披露されたのも感動的でした。普段はこの曲で泣かないのだけれど、MCの余韻がすごくていつも以上に揺さぶられました。最後のフレーズが「見守ってて」だしね。
私は音楽を広く浅く聞いていたいタイプなので、特定のバンドに「一生ついていきます!」というテンションになったことがありません。バンドのプレッシャーになるのも嫌だ。
でも「見守ってて」って言われると、「しょうがないなぁ(上から?笑)」っていう気になっちゃうよね。それは冗談として、「ついていく」は恩着せがましくて好まないけど、「見守りたい」気持ちは大いにあるということです。
田淵が意識していた?かもしれないpillows20th武道館のときのMCです
— aiueo (@t4u7hrt234yh) July 24, 2024
観たことのない方は是非#ユニゾン #usg20th#UNISONSQUAREGARDEN pic.twitter.com/PSLf6M16kw
さわおさんのMCが流れてきたので見ました。確かに田淵が意識していた部分がありそう。筋が通るな。
・ラストスパートは「シャンデリア・ワルツ」からの「センチメンタルピリオド」でした。「シャンデリア」前の短めセッションで、宏介がバックスタンドの方へ歩きながらギターソロサービスをしていたのが今日ならではの光景です。
そして、これから始まる壮大なストーリーを予感させるような「センチピ」のイントロ、締めにふさわしすぎて高揚しました。
・曲終わりでステージ端っこにおもむろにベースを置き、意味ありげに中央へ歩み寄る田淵。
ライブを見ながらユニゾンに出会った頃のツアー(プロcon、Izzy)をなんとなく思い出していたのですが、その頃は田淵はハンドスプリングをしていました。
だからベースを置いた時点で「まさか?」と。地面に突いたのは片手ではなく両手だわ、と思ううちに綺麗にくるっと空中回転した田淵に会場から感嘆の声。びっくり。ただでさえ大変な3日間なのに、わざわざ練習したんだと思って、ロックでかっこいいなぁ!と思ってきゅんと来てしまった。大ジャンプで喜びを全身で表現する田淵の姿は、いつかの少年のままだったかも。
最後は1人ステージに残った宏介からご挨拶。チケットが取れず悔しい思いしながら配信を見てる人もいるかも、と配慮してくれるのがさすがです。
そして、ユニゾンを好きでたまらないやつに喜んで欲しいから、僕から皆さんにひとこと。「本日はUNISON SQUARE GARDEN20周年記念日、おめでとうございます!」という、全身全霊のひとことで終わりました。
そうそう、田淵だけでなく宏介も「こう見えてめちゃくちゃ励まされながら支えられてきた、進んできたバンド」って言ってたのも、「え?そうなの?」って思ってしまった。彼らがファン思いなことは知ってるつもりですが、特別な日にこうして本音を聞けたのは嬉しかったなぁ。
🔹セットリスト
01. Catch up, latency (SG/Patrick Vegee) 2018
02. サンポサキマイライフ (UNISON SQUARE GARDEN) 2009
03. Dizzy Trickster (MODE MOOD MODE) 2018
04. fake town baby (SG/MODE MOOD MODE) 2017
05. 恋する惑星 (Ninth Peel) 2023
06. Hatch I need (Patrick Vegee) 2020
07. マーメイドスキャンダラス (Patrick Vegee) 2020
08. Invisible Sensation (SG/MODE MOOD MODE) 2017
09. オリオンをなぞる (SG/Populus Populus) 2011
10. もう君に会えない (Ninth Peel) 2023
11. スカースデイル (SG/Populus Populus) 2010
12. オトノバ中間試験 (Dr.Izzy)2016
13. 世界はファンシー (Patrick Vegee) 2020
14. フルカラープログラム (流星前夜)2008
15. いつかの少年 (UNISON SQUARE GARDEN) 2009
16. 101回目のプロローグ (Patrick Vegee) 2020
17. kaleido proud fiesta (SG/Ninth Peel) 2022
18. スロウカーヴは打てない (that made me crazy)(Patrick Vegee) 2020
19. Phantom Joke (SG/Patrick Vegee) 2019
<ドラムソロ>
20. 天獄と地獄 (Catcher In The Spy)2014
21. 君の瞳に恋してない (MODE MOOD MODE) 2018
22. カオスが極まる (SG/Ninth Peel) 2022
23. シュガーソングとビターステップ (SG/Dr.Izzy) 2015
24. 春が来てぼくら (SG/Patrick Vegee) 2018
25. シャンデリア・ワルツ (CIDER ROAD) 2013
26. センチメンタルピリオド (SG/UNISON SQUARE GARDEN) 2008
個人的に前半の山場は「101回目のプロローグ」で、後半は「春が来てぼくら」でした。調べたらシングルは26曲中11曲。10曲以上シングルが入ると華やかさがありますね。秋のベストツアーもこのような雰囲気なのかもしれない、と思いました。
最新SG「いけないfool logic」はやらず。25日にオーケストラと披露したかったからかな。
<シングル曲>
センチメンタルピリオド 1st
スカースデイル 4th
オリオンをなぞる 5th (TIGER & BUNNY)
シュガーソングとビターステップ 10th (血界戦線)
Invisible Sensation 12th (ボールルームへようこそ)
fake town baby 13th (血界戦線)
春が来てぼくら 14th (3月のライオン)
Catch up, latency 15th (風が強く吹いている)
Phantom Joke 16th (Fate)
kaleido proud fiesta17th (TIGER & BUNNY)
カオスが極まる 18th (ブルーロック)
こうして並べるとアニメタイアップが多い、知ってたけど。タイアップが付くのも才能ですね。
気になったので周年のセトリで被った曲を調べました。
<10周年との共通曲>
フルカラー、センチピ、サンポサキ、シャンデリア、天地、シュガー
<15周年との共通曲>
センチピ、オリオン、シャンデリア、天地、シュガー、オトノバ、インビジブル、フェイク、キャッチ、君の瞳、春ぼく
<10,15,20周年の共通曲>
センチピ(デビューSG)、シャンデリア(大事な約束)、天地(今夜も駄々騒ぎ)、シュガー(代表曲)
なるほど、いかなる時でもオールマイティーに活躍してくれる精鋭たちだなと納得します。フルカラーも全通かと思ったら15thはやってなかった、「プログラムcontinued」をやったからか。
20年以上ライブハウスに通う中で、多くのバンドが解散したり休止するのを見てきました。ロックバンドが続くのって難しいから。休止が発表されて、正直ほっとしたバンドもいました。だから無理して続けて欲しいなんて全く思いません。
でも、彼らがやりたいと思う限り続くといいな、見守れたらいいなと心から思った夜でした。UNISON SQUARE GARDEN、20周年おめでとうございます。
🔹お祝いのお花
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フラスタ間に合うお店が無かったのでここで pic.twitter.com/PP667j2L4a
— ヤスダスズヒト (@suzupin) July 24, 2024
🔹結成20周年ロックバンドの言葉を分類して眺めてみたの巻
これ面白いから見てみてね。
Day2の記録。
Day3の記録。