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Manager’s notes

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マネージャーの役割・スキルなどについて考えをまとめるためのノート
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#フィードバック

ピープルマネジメント:人事評価のフィードバックでサプライズを避ける重要性

人事評価のフィードバックは、メンバーとの信頼関係を築くために極めて重要である。評価の場において、メンバーが結果に驚き、不満を抱くような状況を避けることが肝要だ。サプライズを伴う評価は、メンバーにとって心理的負担となり、組織全体の士気やパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性がある。 期末に人事評価を行い、その結果のみをフィードバックするという従来のやり方では、メンバーは評価内容を受け止めきれないことが多い。これにより、評価がメンバーにとって予想外のものとなり、評価に対する不信

ピープルマネジメント:目標設定には柔軟性が求められる

現代の不確実性が高い時代において、厳密な目標設定はリスクを伴う。状況の変化や新たな知見に対応するため、目標は常に修正されるべきである。特に、長期目標の設定には多大なコストがかかるため、ある程度の見通しが立つ短期目標を設定する方が効果的である。 短期目標の利点 長期目標は合意を得るための調整や計画に多くの時間とコストがかかる。一方、短期目標は比較的見通しが立ちやすく、迅速な対応が可能である。短期目標にすることで、組織全体が柔軟に動きやすくなり、変化に適応しやすくなる。 実

ピープルマネジメント:ビジョンを高い基準で明確にする

前回は、高い基準に基づいてフィードバックすることの重要性について説明した。では、「高い基準」とは一体なんだろうか?今回は、この「高い基準」について解説する。 マネージャーが持つ「高い基準」の正体は、マネージャーが持つ理想とするビジョンに根差した要求である。マネージャーは理想とするビジョンを言語化し、メンバーに伝えることである程度の基準を示す。しかし、マネージャーが持つビジョンを言葉だけでメンバーに共感してもらうことは非常に難しい。 そのため、ビジョンと現実のギャップを具体

ピープルマネジメント: 1 on 1 で高い基準に基づいてフィードバックすること

前回は、1 on 1 を内省を習慣づける場として活用することを紹介した。 定期的に 1 on 1 を実施するなかでマネージャーはメンバーに内省を促す問いを発することで、メンバーは内省する力を身につけ、自立していく。 もう一つの 1 on 1 で実施することとして、マネージャーが持つ基準を伝えることがある。マネージャーが持つ高い基準に基づいてフィードバックすることは、チームやメンバーのレベルを引き上げるために非常に重要である。 目標のクリアリティ メンバーは自分の業務や目標

内省の技術:記録することからはじめる

自己成長のためにはフィードバックが欠かせない。自己成長のために重要なフィードバックを外部から得られない場合には、「内省」によって自分自身を振り返り、成長に繋げることができる。 この内省のために最も基本的かつ強力なツールが、日々の出来事を記録することである。記録することで、自然と過去に起きた出来事をふりかえり、自分の行動や思考、感情のパターンを客観的に見つめ直すことができる。 過去の出来事を詳細に思い返すことで、その時の状況や自分の思考を追体験するこができる。追体験では時間

内省の技術:テーマを絞り込む

内省は、記録することが重要だが、ただ記録するだけでは効果的なふりかえりができない。内省のために重要なポイントとしては下記の3点がある。 テーマを絞り込む 感情を記録する 定期的に記録を見返す まずは、「テーマを絞り込む」について説明する。 テーマを絞り込まず漫然と記録することは、何を書けばよいか分からず記録しにくい。結果として、自分の書きやすいことを記録するようになってしまう。書きやすいことが振り返りたいことであれば問題ないが、振り返りたいことでなければ内省の効果が

内省の技術:感情を記録する

前回は「テーマを絞り込む」ことの重要性について説明した。 内省のために重要なポイントの2つ目は、「感情を記録する」である。 なぜ、感情を記録することが大切なのだろうか? ただ、日々の出来事を記録するだけでは不十分なのだろうか? 日々の出来事で感じた、気分よくできること、達成感を得られること、苦手意識を持っている人や行動、怒りやストレスを感じたこと、など記録していく。日々の出来事とそこで感じた感情を何度も書いていく。何度も何度も書いていく中で、ふと自分の「こだわり」が見出す

内省の技術:定期的に記録を見返す

前回は「感情を記録する」ことの重要性について説明した。 内省のために重要なポイントの3つ目は、「定期的に記録を見返す」である。 前回、継続して感情を記録することで自分の「価値観」を見出すことができると説明した。これは1ヶ月ごと、1年ごとなど「定期的に記録を見返す」ことによって、より顕著になる。同じようなことを考えていたり、違う出来事に対して同じような感情の動きや反応をしていたり、日々の記録だけでは分からなかった「くせ」や「こだわり」が浮かび上がってくる。 この「くせ」や「

内省の技術:自己理解を深める

内省を深めるために、ただ経験を記録するだけではなく、感情を記録することが重要であるか理論的な背景について紹介する。 内省を深めていくためには、自分の経験を学びに変えていく。そのためには経験からさまざまな気づきを得るために、「認知」が重要になる。この「認知」の枠組みを整理したフレームワークに「認知の4点セット」がある。 認知の4点セットは事実や経験に対する自分の判断や意見を、「意見」「経験」「感情」「価値観」に切り分けて可視化する。これによって、自分の内面を多面的に深掘りす

内省の技術:自身に問いかける

前回は「自己理解を深める」ために、「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つに切り分けて可視化する「認知の4点セット」を紹介した。「認知の4点セット」といったある種のフレームワークを活用することで効果的が内省できるようになり、自己理解を深めることができる。 なぜ、フレームワークが効果的だろうか? これは、独りでは気付き切れない観点を考えることができるフレームワークの特性のおかげである。ただ内省しているだけでは「感情」「価値観」について思考を深めることは難しい。つまり、フレー