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暁に薮を睨む

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刀篤(かたなあつし)の厳選した詩集です。
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2021年5月の記事一覧

詩:『美馬』

詩:『美馬』

『美馬』

ガラスの破片で
指を切って

固く交わした血判状
相補契約の友情は

判ったよご破算だね
冷たいパドックから
同僚たちは暗渠へ

ゲートが開いて
よーいスタート!

あなたの末脚に
握りしめた愛情は

ずっと傍らに寄り添って
黒い蹄鉄を鳴らすように
血統書には華も添えてね

周回コースを何度廻れば
本意のコースを取れる?

視界を前方に矯正して
目の前に餌をぶら下げて

身体を太腿で締

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詩:『集積回路』

詩:『集積回路』

『集積回路』

今どきの自然保護区では
チーターも増えた敵に備えて
群れを構成するのだそうだ

我々のインパラの腿肉を
ライオンに奪われぬように

我々の集積回路を
外敵に晒されぬように

ひたすら集団で獲物を追う
怠惰なやつは自業自得だ

そしてインパラの恐怖も
自業自得的に最高潮に達する

健全で公正な競争状態を維持し
独占、協調、不公正を防ぐのだ

相互依存的状況を数学的な
モデルを用いて研

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