詩と短歌の本『夕陽のかたち』サンプル
ZINE(って言うのかな?)『夕陽のかたち』のサンプルです。文学フリマ等のイベントで販売しています。
8編収録されている詩より1編、31首収録されている短歌より6首を、ここに掲載します。
詩と短歌の本『夕陽のかたち』概要
作品名:夕陽のかたち(ゆうひのかたち)
著者 :峯本つづき(みねもとつづき)
石丸明(いしまるあきら)
判型 :B6
頁数 :28頁
価格 :300円
収録作品より
詩「ふわり、風」峯本つづき
ふわり、風
あなたの中に
わたしがどれだけ残っているか
風に舞う花びらの中
ひとりあなたを想う
通り過ぎるもののはかなさと
見えないものへの不確かさを
そっと握りしめて
風のように
何も残さないままで
短歌連作「行く秋はもう」石丸明
行く秋はもう
君の目が不穏に揺れる予告編キンモクセイは疑惑の香り
紅葉を見上げながらも幾日か後に落ち葉となるのを想う
好きだよと言えば言うだけ遠のいた風が吹いても揺れぬモビール
続かない会話を無理に引き伸ばし安納芋の甘さで埋める
満月に嘘っぽいなと絡むほど何かが欠けてしまった僕ら
ミルフィーユ崩す音だけ重なって行く秋はもう掴めなかった