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たんせんのえき

単線の小さな駅

誰もいないホームに立ち

一人電車を待つ

俯いて
別れを受け入れられずに
想いが募る

鳥の声
優しく囀る

ふと
顔あげた

大きな山が
どんと構えて
見下ろしていた

私の心が
体から抜け出して

大きな山へと
飛んでいく

大きな山は
私の心をそっと
抱きしめて

そっと
撫でてくれた

スカスカの時刻表

キラキラとひかった

寂しかった心が
癒されて
帰って来た

元の位置についた
心は
ゆったりゆったりと
鼓動し始めた

電車がゆっくり滑り込んできた

またね

山に向かって
麦わら帽子を振る

山の上
小さな綿帽子が
くるくると大きくなり

元気でねと笑った

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