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#吐露

30
君と僕のイノセンス
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#退廃

White Un Birthday

White Un Birthday

綺麗な水から生まれた君の
かくれんぼに付き合って
遊んでいたら 春 夕暮れ

陽に透けた嘘も
伸びた影に隠れた本音も
また明日 手の鳴る方で 会えるかな

不確かだから 触れて欲しかった
君の体温で 僕の言葉は色が変わるの

何もかもを飲み込む優しさで
埋もれた世界に生まれ落ちた君は
産声を持っていない

閉じ込めてしまう
冬の香りと白く

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ピオニーとマーメイド

ピオニーとマーメイド

花束を買って歩く道すがら 
恋人の裏切りに出会うような日 
ミュージックビデオを馬鹿にした季節は 
ありふれたフィクションへ 落下してゆく 

汚れた鏡に 自惚れた自我が歪んだ 
何度目かの感傷は 
モノクロノイズに蹴散らされる 
暗闇は泡 行方知らずは言葉 
君は 僕に 必要な 傷跡 

いつかの涙で この花を飾ろう 
きっと 時間に染まってゆくだけ 
朽ちてゆくまで 見届けたなら 
きっと 虚

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間違い探しの恋人

間違い探しの恋人

ぼんやり光る 部屋の壁
続けて報せるならば 眠りにつけるでしょう
明日 目覚めたら 分かること
やっぱり 君だったねって 答え合わせしたい

会えない春は 積み重なって
会えそうな夏は 零れ落ちて
会ってみたい秋は 叶わなくて
冬の星座だけが 美しいまま 廻る

今宵も月が 一夜分 隠れてしまうように
少しずつ 心の余白に 風が入り込んで
君は 私の知らない人になる

滲んだ空の隙間に
忘れていた

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嘘吹く金糸雀

嘘吹く金糸雀

琥珀で死んだ蝶に 触れたかった
扉に手をかけて 動けないねもう
時間は 冷たい床に吸い込まれて
反響する 偽物の一歩を踏み出した音

沈黙が伝える 溢れない言葉 止まらない思考
影はあまりにも 無愛想で気怠げだった
君の価値観で 僕が否定されてゆく
ほら 苛立って 昔話を始めるのさ

読み違えたカレンダーに
未来を語りかけて 笑い者
皆 一人で 幸せになっていった
ねえ 君の理想の幸せの中に
僕が

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麝香猫と排水口

麝香猫と排水口

階下 見下ろして流れた涙
強がりが剥がれ落ちて 大怪我をした
回らない観覧車は 夜の時計台
電飾と歓声が消えた夕景

補正できない 視界は雲隠れ
シャッターを切るたびに 君は赤い瞳
熱風に吹き飛ぶ カリカチュアは
忘れられた怒りの風刺か

過労のキリギリスが 自販前でバーンアウト
エメラルドの蜂鳥は 水煙管に集う
地下への入り口は すっかり閉じてしまって
君も僕も 細く長く 生きるだけ

ぬるい炭

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ロスト・メモライズ

ロスト・メモライズ

残り時間を 持て余した夜には
水溶液に 月の雫を一掬い
暗転した部屋に 波紋 広がって
冷たさに 孤独と揺れる

鏡の中 ベルーガと対話
水泡で紡ぐ 『さ び し い』
信じないよ だから裏切らないで
触れ合わないまま 交わす体温

縛り付ける 引力と傷跡
ここから先は 遊泳禁止の記憶
気まぐれに 足を踏み入れたなら
埋め立てられた群青に 気づいてしまう

はらはらと 星の砂
集まれば こんな

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萩に猪

萩に猪

見透かしたような猫の目線を
ビニール傘で隠した
早足 乾いた喜怒哀楽に寄り添うは
生ぬるい風のひと吹き

右足 灰色の過去に捕われて
風景 滲んだら 負けよ
感傷 喉に詰まらせて
上手に泣けやしないのに

ダウナーとハイが隣り合わせな
この季節の仕組みは 躁と鬱
シューゲイザーで 霞ませてゆく心象
降りしきるのは ただ 焦燥の雨

首を切られた紫陽花が 朽ちる頃に
青い空と 狂騒を思い出す
疑心

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蝉時雨、耳鳴り

蝉時雨、耳鳴り

太陽を隠した雲の縁が
銀色に透けてグリッター
あの夏が来たと勘違いして
黒い駅のホームに鳩が堕ちる

慰めは高い塔 青い光の点滅に
フラワーダストの瞬きを重ねた
低く低く飛行機は翔けて
手を振る人は5秒間の物語になる

放射 火花 咲いて 静寂
次の灯火は誰の残像?
網膜は正常で 偶像を殺めたのは僕の脳
結べない 無数の残響

僕の目の中で 君は死ぬのさ
絶えず屈折する希望
涙から掬い上げた金魚

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イースターの招待状

両眼が空っぽな雌の兎 歪なグレーの眼窩
誰かが落としたオペラグラスを 嵌め込んだら
狂ったように跳ね返って 彼女が動き出した
それって つまり 僕の過ちは 消えたってこと

綺麗な景色が見えるかな また遠くに行けるかな
ううん 罪悪感から解放された
それが嬉しかった
僕は彼女を愛してはいなかったけれど
失くなったら困るんだ 僕の手が汚れるから

何度も君の頭を撫でた 薄い右掌
従順で口

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ゴースト・ピューリタンズ

泣きたい時に限って 涙は流れない
死にたい時に限って 誰も暇じゃない

春の檻の中で 転げ回って
従順な血統書付きの犬の目つきが変わる
噛み砕いた蝶番の鍵は 君の首輪の鍵だった

思い出を捨てたい時に限って 月曜日は来ない
全てを忘れたい時に限って 雨は降らない

アルコールランプで 教科書を燃やして
無口な優等生は広大な世界を知る
放り捨てた学生証は 重力に逆らって舞い散った

神様に

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鏡合わせのアルファルド

暗い星々に吸い寄せられたのは 夜に惑う僕
鴉が落とした風羽根で 君に書く手紙は 虚構
毒付いた花々 群がる蝶々
むせ返るほどの鱗粉 瞳に 孤独が 乱反射した

3段ケーキは斜塔 傷口から蝋が溢れ出したら
君に渡したかった言葉 怯えに変わって 霧散
いつだって 本音は 瞬きの合間に 零れ落ちる
メレンゲで出来た翅が 型抜かれて 消えゆく

月の光さえ届かない 閉じた世界で
君が酸素と反応する音を

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燐、海岸に

誰かにこの話 垂れ流したとして
解決したことは 何だっけ
愛の問題は置き去り 綺麗な話の出来上がり
君と向き合うのは 先延ばしにして
ガラス 曇った

読み合ってるよ 表層から深層を
不意に捲れる本音のページに 栞挟んだ
あの一瞬だけ君は僕に似ていた
悲しみの青いインクで
僕たちは繋がれる気がした

蜘蛛の巣にログインして 感傷が剥がれてゆく

傷だらけのビーチグラス 拾い集め

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電解する手

フラスコに生けた白百合に
飲み込んだ嘘が 析出してしまう
裏切りと優しさのグラデーションで
染まっていく水溶液
君の涙を吸い上げた試験紙は 無反応だった

悲しくなくても泣いて
嬉しくなくても笑って
嘘を謳歌するこの〈実験〉に 終わりは来るの
投げ銭を受け取った白衣が 我を忘れて笑った
ああ ほら また 君を傷付けたくなる

溶かそうと思えば 君は一人で溶けてしまうから
混ざっても僕は 触媒のまま

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