パリと京都の往復書簡 買い物事情編
前回は野菜事情ということで、日仏の野菜の違いについてでしたが、今回はその買い物つながりで、マルシェのような専門店での買い物のお話。ハードルが高く思われますが、とにかく楽しいんです、普通の買い物が。
普通の買い物が楽しい ◀◀◀ヤマダ@KYOTO
フランスで食べ物を買うことが好きです。
いろいろな食材を見るのが楽しみ、ということもありますが、どちらかと言うと、「買いに行くこと」そのものが好きなんです。スーパーよりも専門店の方が多く、お肉屋さん、八百屋さん、お惣菜屋さん、魚屋さん、はちみつ屋さん、チーズ屋さんと1回の買い物で専門店をあちこち「はしご」します。それが楽しい。
もちろんスーパーでの買い出しよりも、ずっと時間がかかります。でも、それが楽しい。計画通りに買い物をするというより、店先で旬や値段を見ながら考える、そんな買い物が楽しい。毎日通うと馴染みになるから、お店のお兄さんに挨拶するのも楽しい。
欲しいものだけを、欲しい量だけ買う。だから毎日買い物に行きたい。
買い物に行くことは普通の日常のことですが、買い物そのものに楽しさがいっぱいある気がするんです。
そうそう、「あるある」な話ですが、野菜の計り売りというのは最初は戸惑いますよね。1個だけ買ってもいいのかな、いくらなのかな?どうやって計るのかな?なんて。お客様の買い物に付き合うとよく聞かれます。
時間をかけたい買い物 ▶▶▶カネコ@PARIS
確かに計り売りって日本ではあまりないですよね。こちらは基本的に1個いくらと書いていない限り、すべて計り売りです。
肉やチーズはショーケースの中にある塊を指さし、カットしてもらいます。ステーキ肉なら何人分がいるのかと店員さんに聞かれるので、答えるとお肉にナイフを当てて厚さを確認。
「もうちょっと厚くして」とか細かなオーダーも聞いてくれて、カットしてくれます。一人ひとりの欲しい量に対応してくれる分、時間もかかりますから、必然的に並ぶことになります。それでも、皆さん文句を言わずに普通に並びますね。
チーズも同様、一人のお客さんが何種類ものチーズを色々買って帰るので、前に2~3人いるだけでかなり待たされる場合も。その間に何を買うかゆっくり考えられるので、待つことは気になりません。
やはり食材は、マルシェのような専門店で買うのがおすすめです。我が家では、魚はマルシェでと決めています。
ほとんどの魚は丸のまま置いてあるので、自分の番が来たら「これがいい」と指をさして欲しい魚をとってもらいます。鱗、頭、内臓を処理したり、殻付きのホタテのようなものも貝柱だけを取り出して掃除してくれたりなど、かなり細かい作業もしてくれます。自分で捌きたい時は、「そのままでいいです」と伝えますが、魚屋さんは手間が省けるせいか、大喜びされることも。いきつけの魚屋さんは良いものを揃えてくれてるし、とても感じがいいので何年も通っています。
専門店のいいところ
スーパーであれば、あらかじめカットされたパックに入った肉やチーズがあるので、並ばずに買えてとても楽です。普段はこれで十分ですが、ちょっと良いものが欲しい時は専門店で買うことにしています。
専門店では塊で仕入れたチーズやお肉を食べごろを見極めて出しているので、お気に入りのお店を見つけておくと安心です。また、店員さんが食べ方のアドバイスや試食などをさせてくれるなど、スーパーとは違う買い物体験が味わえます。
専門店やマルシェはどうしても店員さんとのやり取りがあるので、ハードルが高いように思われるかもしれません。フランス語で何を聞かれているかわからなかったらどうしよう、と思うかもしれませんが、意外と挑戦してみると何とかなります。実際、自分の母や義理の母もフランス語を話せない時から買い物に挑戦しましたが、身振り手振りで無事に購入していました。
相手が観光客だと気づくと、「真空パックにする? 」と袋を見せながら聞いてくれるチーズ屋さんもありますし、お店の人たちもフランス語がわかるかわからないかは気にしていません。
お店の人たちとコミュニケーションをとることは時間も手間もかかることではあるんですが、やっぱり買ったものはおいしいし、味わい深い。一味も二味も違うと思います。
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