広報活動2年間を振り返る【ゼロイチ→イチヒャク→・・・?】
実はiCAREに一人目広報として入社して丸2年。この2年間で社会情勢もマーケットも、そして社内もずいぶん変化しました。(自分も2人→3人の母親に進化?しました。)
広報は、いまいち業務や業務の成果が見えづらい職種ですが、“続けてきてよかった”と思える瞬間や成果と言える成果を確認する瞬間を経て、0→1から1→100フェーズへ。現在は広報PRチームとして前進していると自負しています。
本当に多くの方に助けてもらい、教えをいただき、なんとか乗り切ることができたここまでの2年間。感謝を伝える目的と自分の現在地を確認する目的で活動をまとめてみたいと思います。広報立ち上げ期の方、指標の置き方や会社からの評価にモヤリを抱える方にもなにかヒントがあれば幸いです。
最初に:iCAREの事業と広報の位置付け
広報って会社・商材・フェーズで位置付けが異なるため、この情報をセットしておくのは必要だと思います。
iCAREは、「働くひとの健康を世界中に創る」というパーパスを掲げていてBtoBの事業を展開しています。領域はHRで、HR Techと専門サービスなどのHRソリューションを提供しています。正確には産業保健。ヘルスケア分野といえば耳馴染みが良いかもしれません。
全社の広報機能はマーケティング部がもっており、それから察する通り、軸足はサービス広報です。健康経営の機運がいっそう高まり、健康の重要性がコロナ禍で強く認識され、働くひとの健康創りを頑張る役目にある人事労務や産業保健の専門家にCarelyを導入・活用してもらう、そのためのキッカケを創出するのが広報の役割。
一人目・専任広報としてCarelyというサービスを安定的に継続的に発信することで認知獲得を目指す、そんな目標を設定し、初年度を走り始めました。
1年目の広報活動
ミッションと適性
「ネタがない」って広報界隈でよく聞かれる悩みだそうですが、iCAREの場合は全く当てはまらず、ネタがあるのに「出す人がいない」というのが課題だった当時。
私に求められていたのはニュースを出す!だし続ける!まずはこれです。
募集要項で印象に残っているのが、営業経験の有無。広報だと経験年数は必須条件ですが、営業経験が求められるって割と珍しい?のではないかと。自らアウトバウンドで仕掛けていく開拓精神・メンタリティが重視しされている、ということだったかな。私はゼロイチ人材に括られてきたタイプなので、そのポイントにおいてはマッチする部分があったと思います。
量>質のPR
最初のQ(クウォーター)のOKRを振り返ってみました。
ほほ〜、月8~10本リリースを出していた模様。週に2~3本ペースってことは、毎日何かしら書いていたんでしょうね、、、(もう思い出せないですし、同じことをやれと言われても無理だ)
BtoB未経験、産業保健未経験、初のスタートアップの鬼ディマンディングに心の中ではヒーヒー言って、期待に応えたい!精神で乗り切っていたことだけはほんのり覚えています。
広報の皆さん、リリース1本にどれほどの時間を費やしますか?経験や知識量、内容にもよるのは大前提なのですが、書くこと以上に時間を費やすのが、「書く」手前の準備と作戦。そう簡単にポンポン生み出すことはできませんよね。
開発チームの凄まじい開発スピードによって、次々機能が実装されていっていた当時。とはいえ、産業保健の知識が全くないので、素晴らしい機能の凄みに共感が薄く、社内での新機能お披露目会でもキャッチアップできず。(Kibelaで仕様や背景を予習復習し、エンジニアの解説動画を何回も再生し、自分でデモ画面触ってみて、を繰り返してようやくふわっと理解、という。)
ちょっとリリースもってくるのは恥ずかしいのですが、自戒をこめて入社初月のリリースを見てみました。
▼入社して3日目から作成着手した思い出の機能リリース
▼2週間後に着手した「事業場フィルター」機能。(この月は新機能だけで4本ニュース出していました)
経営・マネジメント層への啓発・想起
BtoBの難しさって購買決定までの道のりの複雑さ。当社の事業であれば認知されてない商材で、企業ごとに活用の対象も違えば予算をもつ部署と実行部隊が違うこともある。川上の広報からマーケティング、受注までのゲームクリアがかなり複雑です。そうした中、潜在〜顕在化したニーズを刈り取るのはリードマーケティング&インサイドセールスが成果を出していたので、広報として視線はさらに先へ。
Salesの動きから先々の課題として認識していたのが受注確率を上げるための経営・マネジメント層への認知・信頼獲得。エンタープライズ企業のリード獲得のための市場拡大。
健康管理システム市場はまだまだ成長期にありました。市場を育てていくには上記のような従来の健康管理の方法に異議を唱え、健康管理システムそのものの認知をあげていくこと。そして、受注率をあげていくには担当者の課題解決ではなく「企業の課題解決においていかにして健康管理システムCarelyが貢献するのか」を認知してもらう必要がありました。そうすると、とっていく手法は啓発運動に近いものでした。
経営層への認知に欠かせないメディア露出。取り上げてもらうためには我々の価値を知ってもらうその手前の情報提供が重要で、メディアを1つ1つ開拓しては1対1のレクチャー。報道関係はお世辞にも「健康管理」が進んでいる業界・職業ではないので、余計にリアリティがない。
HR媒体・専門媒体やIT系の媒体を優先度高に設定し開拓していきつつ、健康管理システムは人事労務の業務課題ではなく企業の課題解決のために必要だ!と認知してもらえるよう、ビジネスメディアとコミュニケーションしていきました。
専門的で編集部に書き手がいない場合は、積極的に寄稿を提案。それもメディアや社会との信頼関係構築のメソッドなので。代表が現役の産業医であるという圧倒的専門性を強みに健康経営の企画やHR系の媒体など、月2本ペースで寄稿するようになりました。
これらの広報活動は入社3ヶ月目から立ち上がったブランディングチーム(私がメンバーで、マーケティングマネージャーだった上司がマネージャーへ就任)で実行することになっていました。主な機能は広報PRと認知広告(動画・記事広)、社外への情報発信ガイドライン(社外秘情報の定義付け、SNSや写真の扱いなど)の作成なんかも後にやりました。
情報収集に役立ったこと
広報って誰よりもその会社・サービスを熟知し、どう見せれば社会・メディアにとってバリューか?の観点を掛け合わせて接点を創出する企画を考えます。逆にいうと、何が価値かを定められなければ読むに値するニュースは書けないし、メディアとコミュニケーションもできないのです。
誰よりも会社・サービスのことを知る、誰よりも社会(企業)の動きを知る。後者は個人で頑張れることですが、前者は特に新米には大変。求められるスピード・成果に対して効率的なやり方などありません。業務時間内をフル活用して情報収集・学習しました。
1. 各部署・プロジェクトのチャンネル・会議
緊急事態宣言下で全社で出社制限が敷かれていたので、オンボーディングのために1週間ほど出社した後は在宅勤務ベース。「さて、情報収集どうしよう」です。フタしている場合ではないのと、上司からの「勝手にどんどん入っちゃいなよ」、CRO(現CPO)の「この会社では出る杭は打たれない」という言葉で勇気を奮い立たせ、Slackの[pj_]で始まる開発プロジェクトごとのチャンネル、[部署_general]がつく汎用性の高そうなチャンネルに飛び込んでいきました。気になるキーワードや有用な情報を投稿する人から通知が飛ぶように設定し、その都度チェック。
基本的に全ての情報・コミュニケーションがSlackベースだったことはある意味助かりました。探せば何かしら出てくるので。また、「誰よ、突然入ってきて」と冷たくあしらわれることもなく、優しい方々ばかりだったことは本当にありがたかったですね。
2.プロフィール紹介資料&カレンダー
これまでのキャリアで接触がほぼなかった部署がいくつもありました。開発エンジニアは何してるの?に始まり、名称からは何をやっているかわからないいくつもの部署。当時は組織図などはさほど整備されておらず、代わりにかなり活用させてもらったのが従業員ごとのペライチ紹介スライド集。もう舐め回しましたね。(これを作成・管理してくれているMさんに大感謝)
業務中はデフォルトでファイルを開き、メンション飛んできた人の顔とプロフィールをチェック。続いてその人のカレンダーを見て関わる人やプロジェクトをなんとなく把握。もはやストーカーです。
各部署のリーダーやリーダーっぽい人をまず覚え、DMや出社時に声かけして「〜好きなんですね」のようにラポールから始め、「どの定例に参加すれば全体感掴めるか」と相談→カレンダーコピペor招待してもらう。そんな感じで活かさせていただきました。
3.上司
私にとって最大級に幸運なことは、業界知識・顧客理解・マーケティング脳全てが圧倒的だった研究所所長みたいな人が上司だったこと。自分の無力さ・無知を憂うこともなくはなかったのですが、落ち込む時間より頼って学んだ方が早いと気づくまでに時間を要しませんでした。詳細は後述。
4.事例・CS部の提供ツール
もう一つ幸運だったことは、事例インタビュー創出の役割を広報でもたせてもらっていたこと。BtoCと違って、BtoBは顧客のイメージが掴みづらいし、全く経験のない業界だったのでペインのリアリティがない。
・ペインが何で、そこに対する自社・サービスの強みはなんのか
・どんな企業・担当者に支持されているのか
インタビュー音源を聞いたり、聞きながら記事を作成したりを通して本当に少しずつですが解像度を高めていきました。
インタビュー記事の作成・編集に係る工数以上に得たものの方が大きいので、仮に役割になかったとしても・他の優先業務があったとしてもアサインさせてもらっていたと思いますし、もしBtoB広報のたまごさんがこれを読んでくれていたら全力でお勧めしたい。それくらい貴重な情報源。
その他では、CS(カスタマーサクセス)部が提供している情報・ツールにアクセスすることも役立ちました。Slackチャンネルや会議に直接参加させてもらうことももちろんですが、「何を顧客に提供しているか」を目にする・触ってみる、ということです。例えばオンボーディング時に送付するマニュアルやQ&A集。どんなつまずきポイントがあり、どう解決策を示しているのか。事例インタビューの際に「マニュアルがすごい」と言われると「アレのことか〜」の顧客に共感することもできます。
1年目が終わる頃の成果
【パブリシティ30本/Q】
広報テクニックというより量>質の1年目。毎Q30~40本のパブリシティ指標をなんとか達成している状況でした。内訳は、取材露出は月2本程度、寄稿が月2本、それ以外はプレスリリース投げ込みで記事化・掲載されたものなので、ほぼ完全にアウトバウンドの人海戦術。なんとか達成にもっていっていた(見せかけていた)に等しい状況でした。
サービス軸でYAHOO !ニュースに3回掲載されました。それも過去との比較においては成果かなと思いますが、全体的な露出数は他の有力スタートアップ・ベンチャーの広報実績からすればなんてことない数字です。
【アワード受賞】
自他ともに認められる成果といえば、厚労省後援のHRアワード受賞だと思います。過去のリベンジ案件で、入社当初から「狙っていく」ではなく「絶対に最優秀賞でなくてはならない」と決まっていた(笑)プレッシャーたるや。エントリー時期は入社半年が経過する7月、総務省後援のASPICクラウドアワードのエントリーと2つ重なり、さらに大事なプレスリリースも控えていたあの時の忙しさ忘れもしません。受賞の内定が知らされたのは産休時で、眠れない産後期の大きな励みになりました。
広報における課題
【マンパワーではなく効率性・再現性】
私のやり方は自分でも見ても心許ないし、会社からしたらもっとそうだったはずです。必要なのは博打ではなく安定的な露出。それが続けられる仕組み・体制。産休きっかけで、お休み中からフリーランスの方にお願いし、おかげでメディア開拓が進みましたが、企画・戦略あってこそというのも浮き彫りに。企画を生み出し、リリース作成や寄稿執筆をする人はやっぱり自社。
a.メディア開拓をアウトソースして効率性を高め、時間創出を図る
b.社内の体制を充実し、広報機能を強化する
この両方の選択肢をもったまま広報経験者の採用活動が本格化したと記憶しています(採用戦略も採用も上司です)。
【目標の置き方→数ではない】
目標の置き方についてはどんな参考書を読んでも同じことが書いてありますが、数が重要ではないことは散々知られていることです。ただし、それはある一定の量をこなした先の話。最初は数をこなさなくては培うこともできないことをわかって「数(とりわけ露出数・獲得数)」を重視してきましたが、やっぱり「数」じゃない(笑)
他社の広報さんの情報を参考に、これかな?と思う指標が見えてきましたが、自信をもって決定できないし、測り方の正解がわからない。そんなモヤリを抱えていました。
【iCAREを取材する動機づけ・実績】
1年の終盤にシリーズEの資金調達ニュースプロジェクトが始動しました。HR・コーポレートと連携して実施した資金調達PR祭り。その効果は今ここにいる仲間の採用にも発揮したとのことで、HRに聞いてください。広報としては、弱さを再認識させられました。感じたのは“やっぱり強い”「スタートアップの資金調達」です。
これまでの上層部の認識として、資金調達で露出するのは当たり前なので、資金調達で露出してもあまり褒めてもらえませんし、指標にも換算されません・・・(自分のプレゼンテーション不足もある)。でも、紛れもなくスタートアップを取材する動機=資金調達なんだと実感しました。もちろんそれは大変有り難いことです。初めて取材いただいたり、1面・ボリューム大で報道されたものもあり、自信にもつながりました。ですが、もっと露出を高める、それも資金調達ニュース並みの反響・成果を感じるためにはもっと大きなビジネスメディアで「iCAREを取材する動機」を作らなくてはなりません。その動機を後押しする実績(を見せること)も。
2年目の広報活動
大きな変化が訪れました。2ヶ月後に広報経験の豊富なマネージャーが入社することに。1年間の広報の課題が見えてきた中で期待とプレッシャーをかけられて入社を決定されたと思います。
スタートアップなのでまだまだ0→1の部分もありますが、向こう1年のメディア露出を2倍3倍に増やし、デザイン部と連携したブランディングも強化していこうという方向性で対外的にはプロモーションも仕掛け始めていた段階。広報が2人いるスタートアップは多くないかもしれませんが、会社は100人規模を超え、戦略的にも広報への期待が大きくなりつつあったと思います。
一方の私は、ドメイン知識やメディアブリーフィングなどで頼りっぱなしだった上司の異動が濃厚になったことにより、iCARE広報としての自立の覚悟が決まりました。これまでどこか他人事というか、最後には助けてもらう甘ったれた自分を捨てる覚悟です。(今更)
量も質も社内広報も
量・数が重要ではなく、また露出させることそれ自体が難しいわけではないことを学びました。ではこれまで芽が出ていない“インパクトのある”広報、その成果はどうやったら出せる?という問い。次なるは「量」を活かすために「質」をどう高めるかが重点に。
・露出させる媒体の「質」
・露出させる中身の「質」
この大きく2つです。
新しい上司が中心となり、その「質」に意識づけ・注力するためのツール・パートナー選定が進みました。どの基準で選ぶべきか、勘も含めて成功体験を経てきた広報パーソンこそのスキルだと思います。絶対的正解はないかもしれませんが、成功に繋がった手法をどれだけもっているか、広報に求められているのが「成果」である時、この上司の成功体験は不可欠だと思いました。
そして、マラソンのような広報活動において、持続性と成果創出の2軸でどんな指標が適切か、それは大変重要な戦術に。上司も私も営業出身者というのもあり、数字を積み上げていくことには執着があります。それを活かして、さも売り上げが上がっているかのように見えていく(笑)計測方法を導入しました。詳細は公開できませんが、露出させる媒体の「質」が高ければ高い点数、露出させる中身の「質」が高ければ(高い基準を満たせば)高い点数、というこういった具合です。
私個人としては、露出を高めながらノウハウを蓄積し、再現性あるネタ作り・戦略戦術に時間をかける(学ぶ)ことがミッションに。そして、チームとしては社内の広報機能を確立することが新たなミッションに加わりました。
【社内広報の確立】とは
本格的な広報チームが誕生したからこそ、今注力すべきだと、むしろこれまで何やってたんだと半分は怒られ(笑)、そして教わりました。他にもありますが、大きくは以下の2つです。
何をやっているか成果が見えづらいからこそ活動や実績を社内にきちんと発信することで認めてもらうこと。社外の動きや“自社がどう見られているのか”を知ることが社内の士気を高め、視座を上げることに繋がる、そんな裏の意図もありました。また、メディアに対しても取材動機を後押しするのは実績(の見える化)です。コーポレートサイトの情報最新化を怠らず、SNSの更新を怠らず、です。怠るようであれば絶対忘れないタスクとセットタスクにすることで、習慣化させました。
引き続き専任広報ではあるものの、人数的に0→1ではなくなったことで、
自分というリソースでカバーする → チームでカバーする
頭では理解しつつ、蓄積したことを言語化し誰でもできるように整える、広報業務の仕組み化とはなんとまぁ難しいことか。
作ったはいいものの自分だけが使っていた広報年間カレンダーを適切な部門の責任者・代表者に周知し、全社の情報吸い上げに活用することになりました。それまでのように頭の中や誰かのタスク管理ツールに書くのではなく、各部門の情報をみんなが見える形で反映→吸い上げ→また反映、そのサイクルを習慣化。結局は突如降ってくるニュースもありますが、以前よりも計画的にどのニュースをいつどう発表していくのか、計画が立てやすくなりました。
評価の指標=広報のプレゼンス向上
以前の上司も、今の上司も同じことを言っていたのですが広報(私)の評価をどう見える化するか、ということ。自社に経験者が少ないスタートアップ・ベンチャーの広報パーソンにとって悩みのタネになるのではないでしょうか。会社にどう広報をプレゼンテーションするか。広報の成果はそもそも見えづらいし、わかりにくい。ボディブローのように効く遅行性を備えているかと思えば、1本の露出で即効性をも発揮する。
我々の場合、特にマーケティング部は結果重視。評価サイクルに合わせてQごとの露出量だけで判断されることは時に苦しい。プロセスも材料にして評価してもらうために、色々画策いただきました。広報は指標の置き方が確立されていない・難しい上に、会社の戦略にそってそれを置くことは本当に難易度高いと感じます。(少なくとも自分にはそう見えていた)
新たな人員を採用してチーム体制に移行するにも、ツールを導入すべく予算を獲得するのも、それは広報のプレゼンスが経営に認識されてこそ。経営に認識されるための上司・部長が評価をプレゼンテーションできるだけの、広報として頑張って(成果を上げて)いることがきちんと評価されるような指標を置くこと。そして、数多ある業務の中で、長期的に一貫した取り組みを行うために、自分にとっても頑張りどころがわかりやすい指標。これらの指標が変化したことは、いまいち介在価値を見出せておらず、ここで働き続ける意味に悩むこともあった自分にとって大きな大きな変革ポイントでした。
成果っぽい成果
嬉しい露出とエピソード
全ては書ききれませんが、多くのビジネスメディアに取り上げていただくことができ、商談企業や関係先、他社の広報さんからも「あれ見たよ」「あれ読んだよ」というお声を実際に耳にすることができたのが2年目です。日経CNBCの「IPOのタマゴ〜磨けイノベーション」にも出演させていただきました。
特にこの露出は嬉しかった!と思える案件はいくつかありますが、以下の2つは獲得こそ1年目 ですが、“【質】にこだわる”意識・指標を置かなければ露出内容は違っていたと確信する案件です。記者の迷うポイントがどこにあるのかを聞き出すことができ、その上で自サービスの価値を読者のニーズとどう結びつけるかというトークを展開できました。その点は営業経験・粘りが効いた(?)部分もあるかもしれません。
・日経新聞のメンタルヘルスケアサービス特集
・HRオンライン(ダイヤモンドオンライン)の「企業の両立支援を実現する産業医と総務・人事部のチームワーク」
他に、目標としていた日経でのサービス名(正式名称)の露出を実現させました。
チーム内で目指していたインバウンド比
新しい上司が着任した時、「iCAREってもっと取材取れても良いと思うんだよね」という言葉を発したことが今も強く印象に残っています。広報パーソンからすると、”価値ある情報が得られそうな企業”に見える面がありました。(実際にそれができると自負するに足る、専門性とコンテンツを持ちあわせていると考えます)ただし、それが伝わっていないということだったんですね。取材実績の積み上げは第一条件に、その実績を見える化し、それによるこの会社は“取材したくなる企業”“安心して取材できる企業”と思わせることができるかどうか。
また会社から求められる安定的かつ継続的なメディア露出のためには、アウトバウンド・マンパワーは不安定だしヘルスケアカンパニーとして心身の健康にも良くない(笑)いつか限界がきます。そんなわけで、チーム内でひっそりと追っていた指標が【インバウンド(記者からの取材問い合わせ)比】です。どれだけ取材したい企業になっているかの判断材料として密かに重視していました。結果として、露出量ももちろん底上げされたのですが、インバウンド比は1年前と比較して2倍、上昇トレンドです。
狙っていたといえば狙っていたのですが、タイミングとしては「Carely Sustainable Expo 2022」直後に露出が集中し、サービス名の月間検索数は史上最高値を叩き出しました。
恵まれたのは「ひと」
幸運にも最初の上司が研究者みたいな圧倒的なドメイン知識を備えたコンテンツマスターだったこと、というのは既にお伝えしました。さらに彼はiCARE歴が長いということもあり、社内でどう動けば仕事が進むかを熟知している。情報収集のためにどんな動きがベターか、私にもアドバイスをくれました。普段の1on1でも私の強みと性格を理解・尊重し、早道を教えず、ヒントに徹する。会社の成果のためには早道を教えた方が絶対的によかったと思いますが、そこを耐え見守ってくれていました。
彼の陰に隠れていればなんとかなることが逆に自分の存在価値を肯定しづらかったという悩みもありましたが、それは自分の甘いところ。異動に伴い自立しなきゃ、もう誰にも甘えられない!と思えたことは転機です。
書ききれませんが、改めてこの場でお詫びとお礼をお伝えします。可能な限り(実際38週目まで)「働きたいんだ!」という気持ちを優先してくれて、負荷を考えてOKRや(当時は少数派の)在宅勤務ベースの働き方を調整いただいたこと、いろんな業務を被ってもらった(ごめんなさい)おかげで今iCAREに生き残っています。
そして、まもなく一緒に働かせてもらって1年経つ広報PRマネージャー。前職でもひとり広報だったので、広報としてのスタンスを初めて上司から叩き入れられました。ひとり広報が多いスタートアップで、まずこれだけでも相当恵まれていると思います。それから戦術の選択。今の会社や状況においてどんな軸で戦術を選択していくか、そして広報はこうだ!と自信をもって強者ばかりの社内で調整交渉に挑む。経験が全てと言いたくないですが、広報は絶対それがある。それをこんな間近で目の当たりにすることができるって何度も言うんですが、ラッキーでしかないです。そんな上司にもう一つ感謝することは、キャリアでも人生でも圧倒的な経験がある立場にも関わらず、私なぞの意見をまともに聞いて受け入れてくれることです。管理者でありつつ伴走パートナーであり続けてくれた、その信頼関係を築けたこと、心理的安全性は組織で働く上で絶対にプラスでした。女性としてライフイベント前後の価値観の変化とどう付き合いながら働き続けるか、その視点で経験談からアドバイスいただけること、ディスカッションさせてもらえる環境も非常に恵まれていると思います。感謝しています。
これから
走り方が少し見えてきました。
働き方もそうですし、広報も。年数が求められるのはこの辺りなんだな、と。
広報って不思議な職種です。それ自体がスキル?といいますか。これだけ技術革新が進んでもテクノロジーが入れていない職種です。ですが、SNSやこのnoteなどでも、いろんな会社・広報パーソンが素晴らしい実績を披露されています。おかげで経験者じゃなくてもイメージはもて、内外から広報への成果に対する期待も高まっているのは有り難くもあり、苦しくもある部分です。
ネタを発信しまくっていた1年目から、出すものを選んで最も影響度高いところに狙って発信する2年目、仕掛けるネタを中長期スパンで練って調整していく最中の現在、これらを経て言えることは経営・事業戦略にそって見立てる、仕立てる、巻き込む・動かす。広報パーソンが価値を発揮するかしないかはその人のスタンス・素質こそ前提かもしれませんが、経営といかにともにあるかだと感じています。
そう感じ始めたタイミングも重なり、3年目は広報PRチームごとコーポレート側に異動し、サービス広報から軸足を全社にも向けることになりました。HR界隈に限って見ても相対的にはメディア露出の実績はまだまだであり、やっぱりテレビ・報道番組での露出は絶対に掴みたいところで、サービス広報のやるべきは多々あります。一方で、社内広報・社内の声も大事にし始めたこの2年目が終わる時に、広報の経験幅を広げさせてくれる今回の異動に至ったことは、チャンスと捉えるべきとも思っています。
コーポレート部門の全員がそうであるように、重要だが目立たない仕事がたくさんあり、成果も評価も見えづらい。まずはそこに光を当てていくことが介在価値の一つになるのかな、なんて思っています。超えていく山ばかりですが、新しいチャレンジを楽しむ気持ちを忘れず3年目をスタートさせたいと思います。
気づけば1万字!2年分の活動歴ともなればこうなるか〜
長文読んでくれてありがとうございました。
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