幼少期の記憶
幼稚園に通っていた頃、私は毎晩母と同じ布団で寝ていた。ある夜。いつも通り母と布団に入り、ぼんやり暗い部屋を眺めて考えに耽っていた。
(ままははーたんを産んでくれてそれから今日までずっと育ててきてくれたんだ。そんなすごいこと。ありがとうって伝えなきゃいけない。)
どういうわけか突然思いついたその思考は幼稚園児なりに初めて感じた心からの感謝だったかもしれない。
勇気を振り絞り、、、思い切って言ってみた。
「まま、今まで育ててくれてありがとう。」
すると母はぷひゃー!と何かが弾けたような驚き混じりで、「どうしたの急に!そういうのはお嫁さんが結婚式とかで言う言葉だよ!」と笑った。
私は勇気を出して言ったのが恥ずかしくなり、「だって知らなかったんだもん。」と思い切り泣いて、母に抱きついた。