本よみ日記 父との日々
春休みになり、家族で海へ行く。息子と夫は生きもの探し。私は陶片さがし。探しながら父と同年代くらいの人が、砂浜をざくざく歩くのに目がいく。
石田千さん『窓辺のこと』を読んだ。50歳になるその一年間に書かれたものをまとめた本。
同じ箱に夏、冬と書かれた器の話や、誕生日にお好み焼きを焼き、マヨネーズで50と書く話、おばさんが自分で束ねる供花の話がよい。そのあいまあいまに、父との日々が書かれていた。
見舞いして、電話して、亡くなって、思い出して。毎年、東京で買った手帳を父に送る話に、父亡き後、ふと手帳を見れば秘密の気配はない。子どもの仕事に興味を示さなかったらしいが、千さんの本の書評が貼ってあった。
誰かの父の話を読み、つまりこうして私は、自分の父の老いを受け入れる練習を少しずつしているのだと思う。
先日、電話で春休み中に遊びに行く約束をした。いちおう同じ県内なのだから、もう少しまめに会いにいくのが今年の目標である。
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