読書中:『美術の物語』Ernst.H.Gombrich著
『美術の物語』は世界35ヶ国で翻訳されていて累計800万部を突破(2022年5月発行の帯から)している美術史の本である。初版は1950年、それから改訂を繰り返し、今、私の手元にあるのは2022年5月30日発行分である。実に半世紀以上。「はじめに」には新版が出るにあたって書かれた「はじめに」の追記もあり、「はじめに」だけでも8ページある。その8ページも著者の想いや執筆にあたっての方針が書かれていて面白い。1950年初版と書いたが、正直に正確に今手元にある装丁された本の初版は2019年になっている。そして、これはその第6刷。もう「「美術の物語」の物語」も書けそうなくらい、歴史がありそうだ。当然、大きく重厚なのでゆっくり読み進めていこうと思っている。長い本を読む時は気になる章から読むことにしている。多くの章が西洋美術に関してであるが、第7章「東方を見てみると」でオリエントに関してのことが載っている。そこには今まで私が何かの本や展覧会で見知って来た、日本の絵師たちの、写生よりも先輩絵師たちの模写を重んじた修練方法や絵師たちが絵の対象物そのものを見ずとも自在に紙面に表現したということなどが中国美術も含めた東洋の特徴として触れられていた。著書の生まれはウィーン。自分の親しんだ文化圏とは違うことを書くのは簡単なことではないのではと想像するが、オリエントの美術へも分け隔てのない愛と尊敬が感じられた。いい本に出会えたと思う。他の章を読んでいくのが楽しみだ。
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