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福島の甲状腺がん検診への言及例

弓月光氏の言及そのような事は言えません。現状の知見が示しているのは、 間接的だが安定した証拠によれば、成人に対する甲状腺がん検診で発見された甲状腺乳頭がんの高い割合が余剰発見(過剰診断)であると示唆される 発見した甲状腺乳頭がんを処置せず経過観察する(アクティブサーベイランス)研究では、微小であり明らかな転移や浸潤の無いものは、余剰発見になる割合が高いであろう事が示唆される(直接の確認は困難:超長期のフォローアップが必要だから) 小児に対するアクティブサーベイランス研究

    • ルックアップ(LOOKUP)を減らそう――MATCH関数とINDEX関数による機能分離

      ルックアップ系関数の多用実務的なシナリオ 実務上ではよく、 マスターの表があって そのマスターからキーに応じた値を取り出し 別の表にまとめる というシナリオがあります。製品管理表から売上表を作ったりするような場合ですね。業務にもよりますが、資産管理のアプリケーションから出力されるインベントリーやログのデータであれば、列が数十に及ぶ時もあります。 架空データとして、次のようなテーブルを用意しました。AIに作ってもらったのを適当に整形したものです。数式のための例示な

      • Excelの入力規則による、連動ドロップダウンリスト――シンプルバージョン

        Excelのドロップダウンリスト入力規則のリスト機能 Excelには入力規則に、複数の選択肢から選んでそれを値として入力するという、ドロップダウンリストの機能があります。 これはとても便利な機能で、手入力によるミスを防いだり、リスト以外の値の入力を禁止したり出来ます。 選択肢が多くなったら このように便利な機能ですが、入力出来る候補が多くなると、リストも長くなって、入力したいものを探しにくい場合があります。 連動ドロップダウンリスト そこで、選択肢を何らかのカテ

        • 需要あり?

          入力規則のリストを多段階フィルターにする方法はよく紹介されます。 それについて、セルアドレスを一切参照せずに書くやりかたがありますが、需要あるでしょうか。 検索した限りでは、同じ事をしているのは見当たりませんでしたので、もしかしたら興味を持つかたもあるかも知れませんね。

        福島の甲状腺がん検診への言及例

          Excel 2019までのExcelでFILTER関数風の数式を作る

          はじめに上掲の記事は、FILTER関数が実装されたExcel 2021より前のバージョンで、FILTER関数のような機能を数式で作るのを紹介したものです。 この記事を読んでみた所、私がその内に書こうとした事と重なっている部分があったので、ちょっとその内容も含めて、同じテーマ、つまり、 Excel 2019までのExcelで、FILTER関数のような機能を持つ数式を作成する 事を試みます。今回は簡潔に行きましょう。FILTER関数などの扱いに慣れているのを前提します。

          Excel 2019までのExcelでFILTER関数風の数式を作る

          区分ごとの最大値でのフィルター――MAXIFS関数とFILTER関数

          はじめにXで見かけたポスト 私はしばしば、勉強のために、Xのリアルタイム検索でExcel関連の検索をしています。その流れで、次のポストを見かけました。 要件 まず、日付・区分・改定の列からなる表があり、それについて、区分ごとで改定番号が一番大きい行のみを表示させる、という要件です。上記ポストでは、CHOOSEROWS関数やUNIQUE関数など、色々の関数を駆使して数式を構成しています。 今回は、この要件を実現した数式を作ってみましょう。 区分ごとの最大値でフィルタ

          区分ごとの最大値でのフィルター――MAXIFS関数とFILTER関数

          Excelの数式による、住所からの都道府県名抽出――FILTER関数とCOUNTIF関数で

          LEFT関数とMID関数の組み合わせ発端 Excel関連の記事が話題になっていました。 内容は、住所の文字列が入ったセルから都道府県名を抽出する数式が上手く出来ている、というものです。 話題の数式のしくみ その数式は、 =LEFT(A2,3+(MID(A2,4,1)="県")) このようです。これはつまり、 A2セルについて 左から4文字目に県の字が入っていれば、左から4文字抽出し それ以外なら、左から3文字抽出する こういうしくみです。このしくみは、

          Excelの数式による、住所からの都道府県名抽出――FILTER関数とCOUNTIF関数で

          福島県立医科大学による、甲状腺がん検診のメリットに関するミスリード

          福島県立医科大学の見解県民公開講座の動画 このYouTube動画は、 上記の肩書きを持つ古屋文彦氏による県民公開講座で、福島県で現在おこなわれている甲状腺がん検診についての説明がなされているものです。 この動画の中で古屋氏は、甲状腺がん検診のメリットについて、 安心 早期診断と早期治療 甲状腺検査の解析 を挙げています。しかるにこの説明は、甲状腺がん検診の実際について大きくミスリードするものです。 早期診断と早期治療 まず2番目からです。これには理由があり

          福島県立医科大学による、甲状腺がん検診のメリットに関するミスリード

          差別心モニタリング

          自分は差別していない 自分に差別意識は無い と考えたら、認識的にはそこでお終いだろうと思います。 いつ自分が他者を差別するか解らない いまの自分の言動が差別の可能性がある これらを常に考え続けるべきです。 綱渡りをしたり、平均台を歩いたりするような認識の状態で、それはとても気が休まるものでは無く疲れるし、自分の内心をネガティブにモニターするのは心地良いものでも無いですが、不快だから差別心と向き合わなくて良いとはなりませんからね。

          差別心モニタリング

          うっかりの記録――OR関数とAND関数

          はじめにこの記事は、下記の記事内容を踏まえています。 条件判定の総合FILTER関数の挙動の解説 上記の記事における話の流れは、次のようです。 FILTER関数は、ある範囲を行方向または列方向でフィルターする関数である FILTER関数の第2引数は、条件と説明される事が多いが、その実態は、行または列の可視状態を定義する配列引数である 第2引数には直接OR関数やAND関数は入れられないので、配列を返すような比較演算数式を入れる 複数条件になれば、上記比較演算数式の

          うっかりの記録――OR関数とAND関数

          COUNTIF関数を使った条件判定とフィルター

          はじめにこの記事は初学者向けではありません。基本的な数式・関数の仕組みや、引数と戻り値、行・列などの用語を把握しており、テーブルと構造化参照を理解しているのが前提です。 追記:2024年7月19日補足説明の記事を書きました。 比較演算による条件判定おさらい 以前の記事です↓ ここでは、FILTER関数の第2引数が、行または列の可視/不可視を決める、真偽値か数値からなる配列である、というしくみを説明しました。その中で、引数の内容を明確にするために、参照先のテーブルに作

          COUNTIF関数を使った条件判定とフィルター

          FILTER関数の突っ込んだ話

          はじめにご注意 この記事は初学者向けではありません。基本的な数式・関数の仕組みや、引数と戻り値、行・列などの用語を把握しており、テーブルと構造化参照を理解しているのが前提です。 流れ 以前、Excelのワークシート関数であるFILTER関数について詳細に説明しました。 ここでは、FILTER関数がどのような機能を持つか、それぞれの引数がどのような役割を持つか、などを細かく書きました。 特に、第2引数が、真偽値か数値を要素とした配列である事を強調しました。多くの解説で

          FILTER関数の突っ込んだ話

          《過剰診断という文字》

          説明の際に過剰診断の語、文字列そのものを使わない事に何らかの意図があるとして、意図の内容によってはそれは批判される場合もあるでしょう。しかるにそこからただちに、過剰診断という文字を使うべきだ、とはなりません。 着目しているのは検診、特にがん検診であり、そのプロセスにおいて、招待(invite)される対象がいかに、検診の便益と害の種類および、それらが発生する程度を正確に知る事が出来るかが、説明の手順には要されるわけですが、その要件に関して、 過剰診断なる文字列そのものを説明に

          《過剰診断という文字》

          そもそも難しい検診のはなし

          上記記事は、乳がん検診を受ける場合のメリット・デメリットについて解説しているもので、かなり丁寧に書かれています。 この記事を読みながら、読者の反応として受けが悪いかも知れないな、と思っていました。実際、Yahoo!のコメント欄を見ると、納得いっていないようなものが散見されます。案の定こう捉えられるだろうな、というのがいくつもありました。 当該記事のようなものがあまり受けが良くない、場合によっては批難さえされるのは、致しかたが無いところがあります。これまで散々、検診を受けま

          そもそも難しい検診のはなし

          PRESIDENT Onlineにおける、胃がん検診に関する記事について

          この記事の内容を真に受けてはいけません。以下、解説します。 がん検診において早期発見(early detection)とは、無症状時に疾病を発見する事です。検診の失敗は、検診と検診のあいだで症状が出て発見される、のような場合です。 先述のように、早期発見とは無症状の時に見つけるのを意味します。対策型検診も任意型の検診も死亡リスクを下げるのが効果ですが(どちらも結果の確率の事です)、それが指標として用いられるのは、たとえ発見が増えても、延命という結果を左右する点(クリティカ

          PRESIDENT Onlineにおける、胃がん検診に関する記事について

          統計学の良い資料

          神戸大学大学院経営学研究科の分寺杏介氏による、統計学関連の講義資料です。 今まで、いくつも統計学関連のテキストや講義資料を見てきましたが、豊富な図解と丁寧な説明を駆使してこれほど明瞭に仕上げているものは、ほとんど見た事が無いです。良い資料群だと思いますので、ここで紹介しておきます。

          統計学の良い資料