1010
語呂が良い日だ。朝は曇天だったけど、午後になったら太陽が顔を覗かせた希望の日。祝日だからなんとなく怠惰になってしまって、本当は手をつけないといけない約1ヶ月後の試験勉強を後回しにして、こたつに入りながら読書をした。
辻村深月さんの「傲慢と善良」を読んだ。もう、これはめちゃくちゃ凄い複雑でえげつない物語だと思った。無意識のうちに私たちは選択をするときに傲慢さを発揮してしまっている。そして自分が経験したことに対しては他人におせっかいのように善良に振る舞ってしまう。そんな抉られたくないような、自意識とか自己愛、自己評価の黒い部分が露わになっていくようで、すごく面白かった。結婚や婚活に対して、そして子育てに対して、実際自分が真剣に向き合っている最中だったら、凄く痛いところを突かれている気分になってしまっていたと思う。どこか他人事で、でもいつかは自分の身にも起こるんだろう、というその視点こそがもしかしたら傲慢であり善良であるのかもしれないと思った。
読み途中だった「まじめな会社員」という漫画も最後まで読んだ。「傲慢と善良」を読んでしまったから、まさに・・・という感想を抱いた。自虐や自分の価値を低く見せる行為をしておきながら、自意識が高くて、人を選ぶ立場ではないと言っておきながら選んでいる。そんな主人公が傲慢で善良だと思った。4巻は本当に苦しくて、読んでいて何ひとつプラスの感情が湧いてこないんだけど、でもわかってしまうというか、痛みを感じたくないけど、感じる方へわざと行ってしまうおかしさや愛しさ。「社会は『ちょっと苦しい』くらいで満足してほしいと思っている」「くそくらえ、だったら私は自分で選んだ地獄へ行く」「私は幸せじゃない、でもやっていく」、それが人間なんだろうか。
どこかブルーな気分になってしまったので、JUDYandMARYのそばかすを聴きながら散歩をした。最近は平成初期ポップスをプレイリストで流すのが日課になっていた。ジュディマリもそうだし、The Blue Heartsとか宇多田ヒカルが今の私のお気に入り。太陽が出ていたからか少し暑かった。外の新鮮な空気を体いっぱいに充満させて、今日も生きていると実感する。1010。父と母の結婚記念日、友達が海外で家族のみで結婚式を挙げている日。私の幸せは私が一番知っているはず。
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