【世界遺産 吉野】金峯山寺と脳天大神 龍王院
『吉野』というと、山いっぱいの桜が有名です。
先日、ブラタモリ「奈良・吉野〜なぜ桜といえば吉野なのか?〜」でも紹介されていました。
かなり前に観光バスでお花見に行きましたが、『桜の名所』の印象が強すぎて神社仏閣の記憶がありません。
吉野に行きたいと思ったきっかけは、弘法大師・空海より前に現れる役行者(えんのぎょうじゃ)が開山、修験道の聖地という側面を知ったから。
吉野に桜が植えられていったのも、役行者が桜をご神木として信仰したから、でした。
子どもの頃から高野山にご縁があり、心地よいと感じた場所はあとで空海さんのゆかりとわかることが多く、いつの間にか空海さんの足跡をたどっています。
空海さんも唐に行く前に、吉野で修行をしていたそうです。
実際に行ってみると吉野は信仰の山というだけでなく、私にとっては日本史の迷宮への入口のような場所に。
調べてみると、飛鳥時代に皇子の隠れ家となったり、吉野宮を作り天皇家の神奈備・斎場となったり、その後南朝が置かれたり。
吉野には、いろんな歴史がつまっていました。
歴史が深すぎてなかなか進めませんでしたが、まずは最も有名な金峯山寺(きんぷせんじ)からまとめてみます。
時おり鉄柱に現れる『昭和3年建設』の看板。
ガクン!と揺れるたび満員のお客さんが一斉に、看板の文字が頭に浮かび不安な気持ちに!
小さな乗り物なのに行きも帰りも、職員さんがひとり一緒に乗り込むのもめずらしい。
あとから『日本最古のロープウェイ』と知りました。
ロープウェイを降り、少し歩いて金峯山寺に到着。
◇金峯山寺 大般若経転読
※ 手早く吉野を知りたい方は、金峯山寺公式の約5分の動画で ↑
訪れたのは7月2日の大般若経転読という行事の日。
10人程の僧侶がジャバラに折られた般若経六百巻を、パラパラと頭上で転読し、家内安全・身体健全を祈るというもの。
外からの見学と思っていたら、蔵王堂内の畳には椅子が置いてあり、尋ねてみると座って見学ができるとのこと。
思いがけず最前列に座り、目の前で見ることができました。
高野山・金剛峯寺の行事には参加したことがあるけれど、同じ真言宗でも蔵王権現・修験のお寺なので興味津々!
10名ほどの僧侶の祈りと装束は、修験・山伏さんの力強さをプラスしている感じ。
力強い太鼓とほら貝の音から始まり約1時間、迫力満点の読経LIVEのよう。
行事中以外は、蔵王堂内の見学が可能(有料・撮影禁止)で、日光東照宮を開いた天海僧正や聖徳太子、役行者などいろんな方の像がありました。
(ご本尊金剛蔵王大権現三体は、特別開帳時期のみ)
◇脳天大神 龍王院
金峯山寺境内から階段を降りた谷にある龍王院、「脳天さん」と呼ばれ、頭を割られた蛇を蔵王権現の化身としてお祀りしたことから、首から上にご利益がありパワースポットとしても人気。
古代からここでは「吉野山から大峰山までが一つの龍体である」という信仰があったようです。
途中、『吉野朝宮跡』という場所がありました。
皇居跡?
この時は、そういえば南朝って習ったな・・と記憶を掘り起こしてました。
いきなり剣が出てきたので、ちょっとびっくり。
きれいな階段を調子よく降りますが、またこれを450段以上を登ることを考えるとだんだん不安に。
見逃しそうな横道を少し登ると、『脳天大神示現の霊地』がありました。
頭を割られた蛇が現れた場所?
降りていくほど、滝の音が強くなります。
このあたりが一番気になった場所で、落ち着いた気持ちになれました。
狐忠信は浄瑠璃や歌舞伎に登場する源義経を守った狐とされていて、芸能の神さまとして霊碑を建てたそうです。
義経も静御前や弁慶と一緒に、吉野に逃げ込んできていたことを知りました。
平泉や鞍馬山にも行きましたが、吉野でも!
想像以上に龍さんがいっぱい。
昭和63年に夏に水が枯れるため新たに作られた行場らしいのですが、すごい水量で水が流れていました。
下る階段はここまで。
本宮内では、お百度参りもできるようです。
寺院なのに脳天の神さま(龍神)をお祀りし、鳥居が水源豊かな渓谷いっぱいに。
神仏習合の、力強い修験ワールドでした。
帰りは同じ道を戻りますが整備された階段なので、休憩しながら登れば心配したほどではありませんでした。(往復で1時間ほど)
階段が大丈夫であれば、ここは吉野の最後におすすめ。
このあとは歴史上の人物の所持品がいっぱいで、頭が大混乱になった𠮷水神社を訪れました。
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