神武天皇ゆかりの神域『神津嶽』と枚岡神社
このところ奈良ばかり歩いていたのですが、今回はめずらしく大阪。
いつも人で賑わっている石切神社と同じ東大阪にある、枚岡神社へ。
初めての参拝なのですが行ってみてびっくり、創祀は初代天皇・神武天皇即位の3年前(紀元前657年)、ということは2680年超え!の歴史がある古社でした。
大阪に長く住んでいるのに、『河内国 一之宮』だったことも知らず、快速電車で通りすぎていました。
◆枚岡神社
神武天皇の勅命で国土平定を祈願するため、天児屋根命、その后神の比売御神の二柱を、本宮がある霊地・神津嶽に祀られたのが始まりだそう。
八咫烏が道案内した伝説の熊野路から入り、橿原で即位するよりも前。
生駒の豪族・長髄彦との敗戦の後、祭祀をして平定を祈願したのでしょうか。
のちにこの二柱を春日大社に分祀したことから、『元春日』とよばれているそうです。(春日大社より古かった。)
予想以上に近鉄・枚岡駅からすぐ!
後ろにある線路と参道が、くっつきそうな距離でした。
“駅近の神社ランキング”なら間違いなく上位?
このあたりは、ハイキングコースのようです。
レジャーとしてのハイキングは近代、神戸の六甲山麓に住んだ西洋人からの影響で一気に広まった、と聞いたことがあります。
もともと自然信仰を持っていた古代の人にとって山は、神として祈ったり、崇めたりする対象だったのかもしれません。
奈良と大阪の間には生駒山・信貴山・二上山・葛城山など、歴代天皇や聖徳太子ゆかりの山々(神奈備山)が連なっています。
役行者や弘法大師・空海が修行をしたので、紀伊山地と同様に修験の山岳信仰も残る地域。
今まではただの“背景”だった山々が、知れば知るほど“山の神さま”に見えてきています。
このような注連縄(しめなわ)は、初めて。
難波宮に遷都した650年、鬼門を守護するために山麓の現地に移されたそうです。
現在本殿には、春日神社と同じ四柱がお祀りされています。
右へ上がると、『感謝と祈りの道』と表示されている場所がありました。
なんで出雲?と不思議に思ったのですが、ここの住所が『出雲井町』でした。
調べたところ島根県には『出雲井神社』が存在しているのですが、かつては出雲の人々が移り住んていた、名残りでしょうか。
12月中旬でしたがまだ、紅葉が少し残っていました。
「楠木正行」は楠木正成の息子で、南朝・後醍醐天皇側として戦って散った武将。
この看板ではよくわからなかったのですが、調べてみると首を運ぶ途中にここで洗われた、という伝承がある井戸でした。(そういうゆかり・・)
『感謝と祈りの道』には、井戸が3つ!
生駒山麓の水源豊かな地、だからかも。
◆枚岡公園・梅林
神社から出た辺りは、枚岡公園の梅林。
ここは、眺めも良い高台。
梅の花が咲く季節はさらに、華やかなのでしょうね。
もう一度境内へ戻り、本宮がある神津嶽まで登ります。
◆姥ヶ池
登山口あたりにあった『姥ヶ池』が、とても気になりました。
名前と由来はちょっと怖いのですが、なぜかしばらくいたくなる場所。
もともとは、別の由来があった場所なのでは?という気がしてきました。
◆枚岡展望台
30分以上結構きつい階段を昇ったような気がしますが、やっと枚岡展望台に到着。
そこは大阪平野を一望できる、想像以上のパノラマ!
山登りが趣味の方には、有名な場所なのかもしれません。
こんなに障害物がなく、広く大阪を見渡せるお山は初めて。
これは階段がしんどくても、登る価値があります!(歩きやすい靴は必須!)
この日は空気が澄んでいたので、淡路島まで見えていました。
奈良方面から気持ちの良い風が吹いてくる場所があったので、しばらく受け取りました。
充分休憩ができたので、いよいよ本宮へ。
◆本宮・神津嶽
この階段を少し登ったら、すぐでした。
古代の祭場を築き、天児屋根命・比売御神を祀って国の平定が祈られたという場所。
長く禁足地になっていた神域で、昭和56年に石碑、他は平成5年に再建されたばかり。
鳥居前のこんもりした場所が、気になりました。
木々がない昔なら、ここから瀬戸内海まで見渡せた?
ここも何か意味のある場所だったのかも?
神津嶽の周辺には、古代祭祀跡と考えられるたくさんの磐座が残っているそうです。
今日も無計画でしたが、豊浦橋方面へ降りてみることにしました。
ちょっと不安になってきたので登ってきた方に聞いてみたら、こちらのほうが階段がなくてゆるやかな坂、とのこと。
◆豊浦橋・暗渓
坂をひたすら降りていくと、水の音が聞こえてきました。
紅葉がまだ残る、美しい瀧。
川沿いを降りて帰れそう!
木の上から雪のように、最後の紅葉が舞っていました。
こんなに素敵な場所なのに、誰もいない。
ひとりじめするのがもったいないくらいの、マイナスイオンたっぷりの小道。
大阪の市街地から少し電車に乗っただけで、こんなにも山と水に癒される場所があったことにびっくり!
額田駅が近いけれどもう少し歩いて、久しぶりに石切劔箭神社 上ノ社に寄ってから帰りました。
(石切劔箭神社についての過去記事はこちら ↓)
【追記】 20240114
枚岡神社の行場で歴史をわかりやすく、説明してくださっている動画がありましたので、追記でご紹介させていただきます。
ずっと知りたかった古神道・修験道のこと、今までは口伝のみで公開していなかったことも、YouTubeで配信してくださっていました。
宮中にも近い山蔭神道を継承し、出雲観光大使、官公庁関連の海外イベント企画されている、表 博耀(おもて ひろあき)さん。