喫茶店アルバム-K町のあの店へ-
何にちか前の話。
朝から寝具を片付けるなどしていて、収納のための買い物をしたいとおもっていた。午後から出かける気になって、身支度をして外に出る。
まず1件用事を済ませて、どこに買い物に行こうか考えを巡らせていたときにふと、行きたい場所が浮かんだ。買い物のことじゃなく、ある喫茶店だった。
以前もここに書いたとおもうけど、父母の後輩が店主の、夫婦でやっている喫茶店で、近所というにはちょっと遠い場所にある。向かう国道が混雑しやすいこともあってしばらく行ってなかった。今日は時間に余裕があるからと、行く気になった。
行ってみたら店が混んでいた、ということもときどきあって、そういうときはなんとなく気が引けちゃうんだけど、この日は空いていた。カウンターにひとりのお客さんがコーヒーを飲んでいるのみだったから、ほっとして私もカウンターに座った。ブレンドコーヒーを頼んで、ひと通り近況報告や世間話をした。
この店は自家焙煎珈琲を出す。ブレンドは深煎り気味で、あと味がすっきりとしていて私の好みだ。安心できる味というのはいい。
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先日のジェラート店なんかもそうだけど、こういう、生活圏内からちょっとはずれた場所にある店を主な目的にして行くというのがわりと好きみたいだ。もちろん近所にあればしあわせかもしれないけれど、ここに行くときにはこの店のことだけを考える、そういう感じはなんとなくいい。
あまり大きな声では言えないけれど、自分がそういう存在であったらうれしいという、子どもじみた欲求をもっていることについ最近気づいた。以前からあったおもいだろうけれど、あらためてそんなことを考えた。
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おいしいコーヒーを飲んで、会話をたのしんで、コーヒー豆を包んでもらって店を出た。そういえば買い物をしなくちゃならないんだった。
豆はブレンドを買ったのだけど、他のお客さんのために焼いたという深煎りのモカをおまけにつけてくれた。まだ飲んでないけれど、たのしみだ。
ちょっと遠いけれど、時間をかけて行くだけのことはある店だとおもっている。
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