棍棒で腰痛改善
数十年以上悩まされていた慢性的な腰痛が「棍棒」で改善した体験の記録になります。
今回活用したのは鉄製の棍棒。これを使ってみました。
○私の腰痛について
日常生活の中で、時々腰痛になります。
特にハードワークが続いた後は、大抵下の写真にある右側のおしりの膨らみの上から骨盤の下辺りの筋肉がこり始め、じわじわと鈍い痛みが出るようになります。
色が濃くなってる部分を中心に痛みが広がり、酷くなると右側の股関節全体がじんじんと不快な痛みを放つようになります。
始まりは高校生辺りで社会人になってからは頻度が増しました。痛みはいつも右側に偏っているので「偏腰痛」と私は名前をつけており、かれこれ30年以上のお付き合いです。
最盛期は営業職で勤務時間の殆どが車の運転だった時です。車のシートに長時間座ることが本当に苦痛でした。
その後、職場が変わったので一旦改善しましたが、デスクワーク中心の仕事の影響で次第に腰痛になっている時間が増えてきました。
どうやら長時間椅子に座ったままの行為がいけないようです。
○朝が酷い
朝の寝起きの時が一番酷く、なるべく痛まない体勢を探りつつ、よっこらしょとベッドを起き上がります。通勤で少し歩くと次第に痛みが和らいできて、身体を大きくねじったりする動作が楽になってきます。
仕事中も常に鈍い痛みが続き、時々椅子の座り方を変えたり、休憩時間に立ち上がって歩くようにしてみました。
家では柔軟体操をしてみたりジョギングをしてみたりするのですが、運動で若干痛みが和らぐ時もあるものの、その場しのぎでなかなか効果が継続しません。
結局は、そのまま放っておき痛みが和らぐのを待つか、若しくは多少痛くても慣れるのを待ちます。
なので、今の所は生活に大きな支障をきたす訳でもない為に、ちょっと気になる身体の不具合という感じで腰痛と共に過ごしていました。
しかし、原因や対処方法が解らないままなのは不満でもあり、時折身体に意識を向けては、腰痛を改善するには何が足りないか、どんな活動が他に必要なのかを探ってもいました。
○棍棒を振ってみたくなる
そんなある日、ふと、棍棒を振ってみたくなりました。
部屋の中で振るのに何か丁度良い棍棒はないかとインターネットを巡回して、目に止まったのは素朴な鉄の棍棒。
商品名としては、六角鉄棒や鍛練棒と言われているもので、そのシンプルな形、鉄の塊感と色、販売サイトで過剰な宣伝文がない点が気に入ったのと、理屈や思考抜きに「これだ!」という感覚があったので早速購入。
知らないアーティストなのに、CDアルバムのパッケージデザインだけ見て買う、ジャケ買いに似てます。少し。
○棍棒到着
待つこと数日、長さ900㎜重さ5㎏程の木刀より若干短いが数倍重い鉄の棍棒が到着。
素材は鉄なので磁石が付きます。表面は艶消し黒色の焼き付け塗装がされているよう。
艶消し塗装には滑り止め効果があるのかもしれません。鉄の塊感を醸し出す塗装の質感も気に入っています。
棒の先端は厚さ30㎜の六角形。角は軽く面取りがされているのが怪我防止や家の傷防止になり嬉しいポイント。
持ち手の部分は細く機械加工されており、端には穴が空いていました。
持ち手は若干細く感じましたが、まずはこれで使ってみようと思います。
○棍棒を振ってみる
ひとしきり鉄の棍棒を観察した後、両手で木刀のように持ち構えてみました。
その時の体の状態は棍棒を「持つ」というより、「支える」という表現が適切に思えました。何もせずにただ構えているだけでも抵抗が大きい。
次に、素振りをしてみました。
長さが木刀より若干短いおかげで166cmの身長では部屋の天井をあまり気にせず振れます。
ただ、その重量から最初はまともに振れず、どうやって身体を使うか模索しながら素振りを繰り返しました。
手のひらの負担は大きいですが、握る部分が細目なので握りやすく、思ったよりも握力の消耗は少ない模様。
振り始めは重いですがその重量ですぐに加速します。しかし、振り終わりに落下運動中の棍棒にブレーキをかける時に使う力が半端なく必要です。
○腰痛が‥‥ 軽くなっている!?
数十分程、ああでもないこうでもないとやっていて、ふと、腰痛が軽くなっていることに気がつきました。
最初は気のせいかと思いましたが、腰を曲げたり伸ばしたり、捻ったりしてみると明らかに素振り前より改善しており、気のせいではない模様。
素振り前を腰痛レベル10とすると、素振り後は2〜3位です。同様のレベルには集中的なストレッチやヨガで緩和したことはありますが、そこに至る時間の短さは経験した中では最短です。
これにはかなり驚きました。
○何故、腰痛が改善したのか?
その後棍棒を用いた素振りの、どの動作が私の腰痛に作用するかと考えながら、身体に意識を向けつつ観察を繰り返しました。
まず、木刀より遥かに重量のある鉄の棍棒を振る際は、腕の力だけでは到底足りません。
なので、自然と背中やお腹の筋肉も使うようになります。
コツとしては、振り終わりの際は腕を若干内転させながら肩甲骨の下から骨盤の上辺り、腹筋の背中側の筋肉群を「ぎゅっ」と締めるようにすると姿勢も更に安定し、棒のブレも減ります。
棍棒の上げ下げの過程をよくよく観察していると、特に棍棒の落下運動を止めようとするネガティブ方向の力を出す時に、例の腰痛の場所の筋肉がお仕事をしているように思えました。
腰回りの一つの筋肉だけを使うのは人体の構造上難しそうなので、腰痛中の筋肉を含めた周りの筋肉群と言った方が正確かもしれません。
これまでは腰痛があるとその場所はなるべく負担が掛かるような使い方は控え、揉んだりほぐしたり、ストレッチして対処してきました。
私の腰痛には緊張緩和ケア的なものが効くのだと思っていましたが、その傷んでいる筋肉や周りの筋肉に、むしろお仕事してもらい「活用」することで腰痛が改善したのは初めてで、考えたこともありません。
○腰痛の原因
推測ですが、生活習慣や身体の使い方の癖からくる筋力低下、それに伴う腰回りの筋力バランスの偏りが私の場合は腰痛の原因かもしれません。
腰痛になりやすい関節の形状や、筋肉の緊張が抜けにくい家系的な体質など先天的な要素ではなく、後天的な要素が多く関係していると思えます。
この様な考え方ができたのも私の中では新しい出来事で、かれこれ40年以上お付き合いをしている私の身体には、まだまだ私の知らない可能性が秘められているのだと思えました。
また、この素朴な棍棒との出会いを通して、日常のふとした気づきや選択、行動の積み重ねが今の身体を作り上げているのだと実感しました。
身体は食べた物からできているので、「何を食べるか?」は健康的な身体で過ごす為とても大切な要素です。
同じ様に「どのような活動をするか?」も身体に大きな影響を与える要素ではないでしょうか?
安直に習慣や従来型の思考パターンに従うだけではなく、立ち止まり、一旦「今」起きている事に目を向けて意識的に、未来の自身の糧となりうる活動の内容を選択したい所です。
○最後に
今回の体験からは、棍棒を振るという動作を通し「今」動いている身体から、生活習慣や慣れでいつからか無意識化してしまった癖を顕在化させ、更にフィードバックできました。
結果、棍棒素振りで身体とより深いコミュニケーションをとれると体験できました。
より深くコミュニケーションが取れた身体は、どんな活動を欲しているでしょうか。
その活動は、年齢と共に変化はすれど身体本来の在り方を呼び覚ますものかもしれません。
始める前からあれこれ推測したり、期待しすぎるのは控えていますが、少なくとも楽しそうです。
その楽しみを探してみたくなりました。
※腰痛の原因や対処方法には個人差がありますので、全ての腰痛に棍棒が効くわけではありません。状況に応じて専門家の意見も参考にしながら、ご自身に合った方法でご自身の身体に向き合うことをおすすめします。