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ブラック企業に呑まれる日本人の精神構造

なぜ、日本人労働者はブラック就労、ブラック企業に
呑み込まれてしまうのか。


労働組合歴の長い私も、長らく分からなかったのだが、思いがけないところで答えらしきものを見つけた。


社会人類学者・民族学者のクロード・レヴィ=ストロースの講演集に、次のような記載があった。

(以下、上記の本より一部引用)

(日本人は)商品としての労働、労働の対価としての報酬という意識になじみが薄く       [下の画像に続く]

「労働」と「お金」が一対一で結び付いておらず、
人格形成、社会参加、社会奉仕、
社会的評価など、多様な価値観に
結びついている


このような「真面目な労働者」の思考のあり方を、ブラック企業の悪い奴らは巧みに操つる。

その表れの一つが『やりがい搾取』である。

「ブラック就労も仕方なし」という諦めや、
労基法違反の働き方に積極的に加勢してしまう
「出来のいい奴隷」根性は、
一般的な"イデオロギー"より深層にある
『民族の理念』というレベルに根ざしている。


このような深層意識の上に立つ表層の意識が、「無賃の残業140時間」や「過労で突然死」をするまで、疑問を抱かせないのだろう。


他にも、過労によって大脳新皮質を始めとする脳の機能が全体的に低下し、正常な判断が下せなくなるという、神経科学的な要因が絡んでいることも無視できないし、同調圧力とか、空気を読むとか、そういうのも関係している。

マイナス要因が多すぎる・・・。


"制度的な虐待"に押しつぶされる労働者


アーノルド・ミンデルの『対立の炎にとどまる』を読んでいた時に見つけた一文も気になった。

内面化された抑圧

見えやすい虐待、見えづらい虐待、あるいは制度的な虐待から自分を守ることができない場合、知らず知らずのうちに攻撃者を内面化し、彼らの考え方を取り入れ、批判を受け入れてしまうことがある。自分でも理由がわからないままに、自らを卑下し、抑圧し、最終的には自分には価値がないと感じる。しばらくすると、もはや自分自身についての否定的な考えに気づくことさえなくなり、ただ単に、生きていてもしかたがないと感じるようになる。ときには自殺さえ考えるようになるだろう。  

日本の心療内科や精神科は、子供の頃のトラウマを癒す「インナーチャイルドワーク」などには力を入れず、投薬治療に夢中なので、多くの人は「内面化された抑圧」を、無自覚に抱えこんだまま生きている。
(この文章を読んで、自分には全く関係ない話だと思った、そこのあなたも、きっと抑圧を抱えているはずだ。無自覚な人には、"完全に無自覚である"いう共通点がある)

内面化された被支配感、無価値感、抑うつ感は、抑圧行為を自覚していない政府のもとで、不公正を感じる文化に住み続けなければならないことによって悪化する。

日本の社会は、まさに此のあり様なので、多くの国民はブラック就労(悪)から脱却"出来ない"と思い込み、決めつけることによって、①思考放棄し ②自ら無力になり ③硬直してしまっているのだろう。



はある。

まずは、一人一人が、内面の抑圧に気がつき、解消し、心の"柔軟性"を取り戻すことだ。


「一人一人の精神が健全になれば、悪い奴らは力を失う」

少年マンガの鉄板ストーリーみたいだけど、ほんと、コレに尽きる。

一朝一夕にはいかないけど、一人一人が取り組むべきだ。
この心理教育は、義務教育にしてほしい。

でも・・・

「内的に抑圧されなくなった人間は、
 外的にも抑圧されなくなる」

政府に都合の悪そうな真実だから、義務教育には盛り込まれないかもね。



さて、その他の方法や可能性を考えてみよう。

私たちは、どうしたら、ブラック就労を奨励する「ブラック企業の奴隷」意識から解放されるだろうか?

・一人一人が「公正な社会を作る」という大志を抱くこと
グローバルな交流を通して、他国の文化を学び、良い面を取り入れる
・若い世代に、ブラック就労や奴隷根性を継承しない

これらを心がければ、過去から受け継いできた呪いとも言える負の労働文化と断絶出来るかもしれない。



エンパワーメントと柔軟性は社会全体の発展を促し、その正反対の、無力感漂う硬直化したブラック社会は、いずれ崩壊する・・・てか、もう崩壊は始まっているんだよ。


たとえば、少子高齢化だけの問題ではない『物流問題』なんか、その一端。

ドライバー不足だけが問題ではなく、倉庫で働く人も不足

死亡事故多発を放置して、反省しないで「持続可能性(サスティナブル)」なんて、言ってられないよね。


意見を表明し:  「安全なところで働きたい」
権利を明確にし:  「従業員を守れよ」
奴隷という立場から脱却する:  「さようなら」OR  ストを起こす、という強い意志を持つこと。


例えば、この最新のニュース。

ヤマト運輸の倉庫で仕分け作業をする男性社員(55)は19日、東京都内で記者会見し、熱中症対策の拡充を求めてストライキを実施したと明らかにした。男性は「風通しの良くない倉庫内では、気温計の針が40度で振り切れ、身の危険を感じる労働環境だ」と訴えている。

(中略)

男性を支援する個人加盟型の労働組合「総合サポートユニオン」は、猛暑の中で働く労働者の相談を受けつけるため、無料の電話相談「緊急・熱中症相談ホットライン」を開設。20、22、23日の午後5~9時。電話番号は0120・333・774。

総合サポートユニオンさんは有名な労働組合




結局、「ブラックな環境では働かない」のがベストな選択!?

人が寄りつかなければ、人手不足倒産して、ブラック企業は徐々に消滅していく。

そうした事例が増えれば増えるほど、企業側も「正そう」と思うのかな。


※世界の取り組み※

結局、ブラック企業は労働運動でお仕置きするのが、主流みたいね。

みんなで声をあげ、働く場のルールをつくる労働組合。一時は多くの国で「時代遅れ」ともみられてきたが、世界ではいま息を吹き返し、再評価されている。一体なぜ?



まだの人は、前回の記事も読んでみてね。


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おおかみ のみね@521社で働いた運期研究家
不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。

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